味水御井神社〜神功皇后紀 14

(山門の巫女だと…) 「気持ち悪い。」神功皇后は身籠っていた。橿日宮での神託は、皇后の子が国を治めるだろうと告げていた。しかし子を孕むということが、これほどきついとは思っていなかった。 皇后はこんこんと湧き出る泉のそばで…

美奈宜神社〜神功皇后紀 13

この川のせせらぎの、なんと美しく、清らかなことだろう。 神功皇后は、気丈にも兵士らを鼓舞し、ようやく仇の羽白熊鷲を討ち倒した。皇后にとっては初めての戦であり、この先に続く大波乱の序盤戦に過ぎない戦いではあったが、その胸に…

荷持田村〜神功皇后紀 12

「どこで間違ったというのか。」 羽白熊鷲の顔には、深いくたびれた皺が見えていた。 「地の利もあり、腕自慢の奴らも大勢いた。」 荷持田村を拠点に、周囲の山々を支配した山の王、それが熊鷲だったはず。それが拠点をことごとく制圧…

大己貴神社〜神功皇后紀 11

3月末、冷えた空気は神聖さをさらに引き立てた。夜空がにわかに明るくなる頃、大勢の兵達を前に、一人の女性が立っていた。神功皇后である。 「我が民よ聞きなさい。王の兵士らよ、我らが王に弓引く者どもは目前である。我らはこれより…

砥上岳〜神功皇后紀 10

朝倉の「荷持田村」に豪傑の男がいた。その人となりは強健で、鷹の羽を飾り、朝倉の山々を悠々俊敏に駆け回る。その様はまるで、大翼で天高く飛ぶ猛禽類のようだ。 鉱山を持ち、刀剣の類を造ることに長けていた。力と人望もある。平地の…