宗像大社 辺津宮:海祇ノ比賣巫女 03

投稿日:

p5206857-2016-01-2-01-46.jpg

「吾田片隅様、お生まれになりました。女子にございます。」
「なに、そうか!」

海辺に面した吾田片隅の屋敷は開放的で、爽やかな潮風が吹いていた。
懐かしい出雲の地を離れて筑紫まで来たが、彼はこの土地をとても気に入り、愛していた。
時に荒々しさを見せる玄海の海も、航海術に長けた吾田片隅の一族にとっては、多くの魚介をもたらす恵の海だった。

この日は空も海も、眩いくらいに碧く澄んでいた。
足早に産屋へ駆けつけると、そこには愛しい妻とまだ幼い二人の娘が彼を迎える。
吾田片隅は妻のもとへ寄り、その傍にいる生まれたばかりの三人目の娘をそっと抱え上げ、見つめた。

「おお、儂はなんと果報者よ。わが娘たちは皆、宝玉のように見目麗しいことよ。
儂の娘たちは、一族が祀る島々の聖地にふさわしい巫女となろう。
そして王にも恥じぬ、高貴な后となるに違いない。」

彼は幼子を両手で天高く差し出し、神に届かんばかりに声を上げていた。
大いなる大和時代の到来を告げるかのように、産声は響き渡った。

b_ornament-2016-01-2-01-46.jpg

p5206846-2016-01-2-01-46.jpg

ついに世界遺産の認定を受けた『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群ですが、その祭祀の中心はやはり、宗像大社「辺津宮」(へつみや)となります。
宗像大社とは沖ノ島の「沖津宮」(おきつみや)、大島の「中津宮」(なかつみや)、そして「辺津宮」の三社の総称となります。

p5206847-2016-01-2-01-46.jpg

辺津宮は本土にあることもあり、規模も最も大きく、気軽に参拝できます。
そのためいつも人で賑わっています。

p5206848-2016-01-2-01-46.jpg

御祭神は三女の「市杵島姫命」(いちきしまひめのみこと)。
他、「沖津宮」が長女の「田心姫命」(たごりひめのみこと)、「中津宮」が二女の「湍津姫命」(たぎつひめのみこと)を祀っています。
この三姉妹をして「宗像三女神」(むなかたさんじょじん)と云います。

p5206850-2016-01-2-01-46.jpg

「宗像三女神」は「道主貴」(みちぬしのむち)とも呼ばれます。
この「貴」(むち)とはとても高貴な神に用いる敬称で
天照大神=大日孁貴(おおひるめのむち)/伊勢神宮の御祭神
大国主命=大己貴(おおなむち)/出雲大社の御祭神
と、そうそうたる神のみに与えられる称号であると云われます。

p5276893-2016-01-2-01-46.jpg

宗像三女神誕生の神話はこう伝えられています。

スサノオが高天原にやってきたときに姉のアマテラスは武装して迎えました。
これはアマテラスは、スサノオが高天原を荒らしにやってきたと早合点したからです。
これに対し、スサノオはそんな思惑はない事を誓約(うけい)によって証明することにします。

p5206851-2016-01-2-01-46.jpg

誓約(うけい)とは占いによって正邪などを判断することをいいます。
アマテラスはスサノオの持つ「十握剣」(とつかのつるぎ)を噛み砕き、スサノオはアマテラスの持つ勾玉を噛み砕きました。
それぞれ噛み砕いたものを吹きかけると、スサノオのつるぎを噛み砕いたアマテラスからは美しい三姉妹の神が、
アマテラスの勾玉を噛み砕いたスサノオからは勇ましい五兄弟の神が生まれた。
この美しい三姉妹が宗像三女神であり、スサノオの剣から生まれたのでスサノオの娘ということになります。
つまり美しい娘が生まれるほどに、スサノオの心は穢れなくやましさはないということの証明となりました。

p5206852-2016-01-2-01-46.jpg

やがてアマテラスの孫ニニギノミコトが地上に降り立ったとき、
アマテラスはニニギノミコトの道行きを助けるよう、この三姉妹を地上に遣わします。
このことが航海や交通安全のご利益につながっているようです。

さて、立派な御本殿を後にして裏の杜へと入っていきます。

p5206889-2016-01-2-01-46.jpg

その先にあるのが「第二宮・第三宮」(ていにぐう・ていさんぐう)です。

p5206881-2016-01-2-01-46.jpg

向かって右の「第二宮」には沖津宮の御祭神で長女の「田心姫命」を

p5206884-2016-01-2-01-46.jpg

「第三宮」には中津宮の二女「湍津姫命」を祀っています。

p5206885-2016-01-2-01-46.jpg

どこかで見たことのあるこの社殿は伊勢神宮の遷宮の折、別宮のものを下賜されたそうです。

p5206891-2016-01-2-01-46.jpg

清浄な気配が伝わってきます。

p5206853-2016-01-2-01-46-2016-01-2-01-46.jpg

そしてさらに奥にある「高宮斎場」はぜひ訪れるべきです。

p5206854-2016-01-2-01-46-2016-01-2-01-46.jpg

少しきつめの階段を上っていきます。

p5276898-2016-01-2-01-46-2016-01-2-01-46.jpg

樹木の息遣いが聴こえてきそうです。

p5206855-2016-01-2-01-46.jpg

その先には大聖地「沖ノ島」と同等の聖地であるという神籬(ひもろぎ)がある場所なのです。

p5206856-2016-01-2-01-46.jpg

神聖な気配が漂うその場所。
ここは宗像三女神が降臨したと伝わる場所です。

p5276894-2016-01-2-01-46.jpg

記紀では、誓約の話から、宗像三女神はスサノオ、もしくはアマテラスの子供であると云われてきました。
しかしそれはどうやら間違いのようです。

p5206868-2016-01-2-01-46.jpg

「出雲と大和のあけぼの」の著者「斎木雲州」氏は、古代出雲王朝の王家「富家(向家)」の直系の子孫のようです。
富家では、記紀の創作により失われてしまった正確な古代史を、口伝で秘密裏に今日まで伝え受け継いできたそうです。
その氏が、著書で驚くべき、真実の古代史を述べておられるのですが、その中に宗像三女神にまつわる話も出て来ました。

p5206870-2016-01-2-01-46.jpg

出雲王国の6代目王「臣津野」(八束水臣津野/やつかみずおみつの)がおりますが、その孫である「吾田片隅」(アタカタス)が筑紫にて宗像家の祖となります。
出雲王朝は富家(向家)と神門臣家の二つの王家があり、時の最年長者が王に、別の王家の年長者が副王になりました。
王は「大名持」(おおなもち)、副王は「少名彦」(すくなひこ)とその役職名を呼んだそうです。
臣津野は神門臣家の出身でした。

p5206876-2016-01-2-01-46.jpg

吾田片隅は「新撰姓氏録」によると、「宗形君、大国主命六世孫、吾田片隅命之後也」とあり、宗像氏の祖であると伝えていますが、同時に大国主の6世孫であると云います。
また、素盞鳴尊8世孫であるとか、宗像三女神の7世孫とする説もありますが、これらは真実と違っているようです。
大国主というのは歴代出雲王の8代目の王「八千矛」(やちほこ)に付けられた個人名です。
吾田片隅は渡来人であるスサノオとは全く血縁がなく、大国主よりも古い出雲王家の血筋というのが真実のようです。
そしてその吾田片隅の子として生まれたのが、その名も麗しい、宗像三女神になるのです。

p5206866-2016-01-2-01-46.jpg

出雲王国の時代には、王の死後は風葬だったと云います。
王の遺体は朱で死臭を防ぎ、駕籠に入れて山奥の大木に隠し置いたそうです。
その木はしめ縄が巻かれ、紙幣が付けられました。
そしてその木は遺骨がなくなって後も、「ひもろぎ」(神籬・霊モロギ)と呼ばれ続けたそうです。

p5276895-2016-01-2-01-46.jpg

この高宮斎場の神籬に、三女神の遺体が置かれたとは思えませんが、何やら神聖であるということだけは間違い無く感じます。
三姉妹のうち、長女の田心姫は7代目大名持の「天之冬衣王」(アメノフユキヌ・富家)の妻となり、次女の湍津姫は8代目大名持の「八千矛王」(ヤチホコ・大国主・神門臣家)の妻となります。
そして末の市杵島姫は渡来人「饒速日」(ニギハヤヒ)の妻になります。
饒速日は又の名を「火明」(ホアカリ)、また別の名を「スサノオ」といい、物部氏の祖となる人です。
宗像の姫神はそれぞれの王の子を成し、その子孫たちが複雑に絡み合って、初期の大和王国、つまりこの日本の礎を築いていくのです。

p5276905-2016-01-2-01-46.jpg

0218e5ae97e5838fe5a4a7e7a4be-2016-01-2-01-46-2016-01-2-01-46.jpg

1件のコメント 追加

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中