「おお、立った、皇子が立ったぞ」 どこから見つけてきたのか、皇子はきれいな石を手に遊んでいる。 それを母に見せたかったのだろう、神功皇后の膝に手をかけ、おもむろにつかまり立ちをした。 皇子が初めて立った瞬間だった。 皇后…
日: 2017年8月19日
大分八幡宮〜神功皇后紀 32
まだ肌寒さを残す頃、梅の花が咲き、桜は固い蕾を膨らませる。 神功皇后らは雪解けを待って険しい峠越えを決行した。 皇后自ら、竹で編んだ籠に紐をつけて背負い、そこに皇子を入れて運んだ。 そうして辿り着いた平地が大分の村だ。 …