風治八幡宮〜神功皇后紀 33

投稿日:

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「おお、立った、皇子が立ったぞ」

どこから見つけてきたのか、皇子はきれいな石を手に遊んでいる。
それを母に見せたかったのだろう、神功皇后の膝に手をかけ、おもむろにつかまり立ちをした。
皇子が初めて立った瞬間だった。
皇后と、取り囲む重臣たちの歓声が響く。
豊前にも近い山村では、賑やかな笑い声がこだましていた。

が、その頃、大和では怒気をはらんで、軍議が為されていた。

「ふざけている、あの女、我らを謀ったか」

一際大きく、声を荒げていたのは「麛坂王」(かごさかのみこ)である。

「兄者、そればかりか息長帯比売には皇子が生まれたというぞ。
きっとそいつを王位につかせようとしてくるはず。」

そばにいるのは麛坂王の弟の「忍熊王」(おしくまのみこ)。
麛坂王と忍熊王は神功皇后よりも先に仲哀天皇に嫁いだ「大中姫」(おおなかつひめ)の子だ。

「父上が崩御されたことを我らに隠し、偽った上に我が皇子を王位につけようなどおこがましいのだ。
父上が亡くなったというのなら、次に大王に立つのはこの俺だろうが。」

「まったくその通り。
新羅を征服したと言っても、それを為したのは父上の重臣らじゃ。
あの女はきっとうまく兵らをたぶらかしたに違いない。」

「かの者共は正当なる王家の俺たちに対し、叛逆の意思を持っておる。
大和は直ちに、この者達を征伐せねばならない。
今すぐ兵を集めよ。
準備ができしだい、すぐに進軍せよ。
まずは明石、そして豊浦へ進むのだ。」

麛坂王らの怒りは頂点に達し、その怒りに呼応するかのように、筑紫では強い風が吹き始めた。

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【位登八幡神社】
田川の位登というのどかな集落の中に「位登八幡神社」(いとうはちまんじんじゃ)があります。

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長い参道を抜けた先の丘に本殿があります。

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そこは鬱蒼とした杜に囲まれたところでした。

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木が茂っていますが、風が心地よい、そんなところです。

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神功皇后と皇子は半年の間、ここに留まったと伝わります。

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ここからほど近いところにある「田原正八幡神社」の由来によると、ここは「田原麿」の屋敷があったと思われます。

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田原麿は神功皇后の三韓征伐に馳せ参じた人です。
帰路、半年も幼子を抱えた皇后が留まったということは、神功皇后の田原麿への信頼が厚かったことの表れでしょう。

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【風治八幡宮】
田川市のほぼ中心にある「風治八幡宮」(ふうちはちまんぐう)にも神功皇后の「腰掛け石」があります。

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正面入り口の左となりに、玉垣で囲われた中に、その石がありました。

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神功皇后が三韓征伐の凱旋後、筑紫から豊浦に向かう途中に立ち寄ったこの地で暴風雨に見舞われます。
そこで皇后は、この大石に腰を掛けて祈祷すると、たちまちその嵐が治まったそうです。

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また最澄の伝説も伝わってました。

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この地の大干ばつの時、伝教大師「最澄」が祭神の「伊田大神」に祈願すると恵みの雨がもたらされ穀物が豊かに実ったと云います。

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「伊田大神」とは、ここの元々の祭神で海神だといいます。
こんな内陸部で、海神を祀っているというのも面白いです。

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またここは、筑豊地区を代表する福岡県五大祭りのひとつ「川渡り神幸祭」の舞台としても知られています。

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境内には割と新しい「封宮」(ふうじぐう)という社が建っています。
ボケや病気を封じてくれるそうです。

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【岩獄稲荷社】
京都郡と田川郡の郡境の峠のような場所に「岩獄稲荷社」(いわたけいなりしゃ)があります。

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神功皇后が宇佐へ行く途中、たまたまこの地に旅駕を止め、四国の風光を賞でたと云います。

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この日は雨だったこともあり、人気のない山道の稲荷社は、ゾクゾクくるものがありました。

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詳しくは分かりませんが、「三次郎ぎつねの伝説」という話も伝わっているようです。

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【山浦神社】
岩獄稲荷社の手前の分かれ道の先に「山浦神社」(やまうらじんじゃ)があります。

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山中の田園にある小さな神社です。

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その神社境内入口に神功皇后腰掛石がありました。

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苔むしていますが、皇后がここで祭祀を行ったのかもしれません。

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またこの神社では、狛犬が、立ちあがったものと、逆立ちをしたもので、入口で対をなしています。

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ユニークで珍しいこのタイプの狛犬は、近傍の古い神社で見かけます。

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緑の参道を歩いて本殿へ。

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とてもしっとりとした神社でした。

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【生立八幡神社】
京都郡みやこ町にある「生立八幡神社」(おちたちはちまんじんじゃ)です。

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小川で結界が張られた境内に、杜が寄り添います。

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石橋の手前には、風化しつつある狛犬があります。

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神功皇后が筑紫の蚊田で皇子を生んで、翌春大和国へ行く時、仲哀天皇の別の后の二皇子が反逆を企てていると耳に入りました。

「穴門は早戸の狭い門である。どんな密謀があるか分からない」

皇后は言って、豊の国のこの地にやって来て船路の準備を行いました。

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境内にあるご神木です。

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神功皇后は船底についた「蜷貝」(にながい)をこの木にお守りとして付けたそうです。

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皇后らがこの宮に留まっていると、皇子が誰から貰ったのか、美しい石を転がして遊んでいました。
やがてその石を母親に見せたかったのでしょう、石を持って母君の膝に手をかけて初めてお立ちになったそうです。

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神功皇后はとても喜んで「もう生い立ったよ。」と言った事から、ここを生立(おいたつ)と言うようになったと伝わります。

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また霊石を置いた所が境内左手にある「二子大神」だということです。

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大和の応神天皇の義兄たちは、この皇后と応神天皇たる皇子の存在が面白くありません。
当然、次期天皇は自分たちだろうと考えていたことでしょう。
仲哀天皇の死を、皇子が生まれるまで隠し偽った神功皇后らを敵と見なし、戦の準備を整えます。
ここから先は、神功皇后の東征とも言える、最後の戦いへと向かうのです。

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