遠賀川沿いの道すがら、大きなイチョウの木を見かけます。
この大イチョウがある所は「八劔神社」(やつるぎじんじゃ)と言います。
神功皇后の時代から遡ること、景行天皇の時代、日本武尊(やまとたけるのみこと)は九州の熊襲征伐にやってきたと記紀は語ります。
その時、尊はこの地にあった立屋敷に立ち寄りますが、ここで讒言により都から逃れてきた「砧姫」(きぬたひめ)と出逢います。
やがて二人は結ばれ、その証として植えられたのがこの大イチョウです。
熊襲征伐を成し遂げた日本武尊は都へ帰っていきます。
砧姫はこの地に残りますが、尊は強く再会を誓って旅立ちました。
しかし後に砧姫が聞いたのは、尊は東征の果てに亡くなったという悲報。
深く悲しんだ砧姫は、二人が過ごしたこの地に祠を立て、尊を祀りました。
二人の過ごした、短くも穏やかな日々が残された、穏やかな聖地です。