宮島の主峰「弥山」(みせん)は太古からの祈りを感じる、神秘のスポットです。
決して楽に辿り着けないからこそ行ってみたい、
そんな弥山に二度目の登頂をしてきました。
弥山の標高は535m。
歩いて登るルートは3つあります。
決して高い山ではないので、歩いて登ることも可能です。
登頂時間は2時間弱といったところ。
しかし僕は、ロープウェイをおすすめします。
なぜならこの弥山、勾配が尋常ではない。
トレッキング程度の軽い気持ちで登り始めたら、必ず後悔します。
前回歩いて登ったら、軽く吐き気がするほどきつかったです。
宮島の国天然記念物の原生林はとても素晴らしいです。
もしこの原生林を肌で感じたいなら、ロープウェイで登って、歩いて下山するというのも良いでしょう。
それでも十分疲労感は味わえます。
ロープウェイは途中で乗り換えます。
そしてロープウェイの終着、「獅子岩駅」に到着です。
そこでもすでに絶景がありました。
これが獅子岩展望台からの絶景です。
眼下には瀬戸内の島々が一望できます。
そしてその反対側に見えるのが、弥山の山頂です。
今からそこを目指して行きますが、ここから40分ほどの登山になります。
これだけでも十分きついです。
山頂までは楽な道ではありませんが、清々しい空気に満ちていて、キツさを和らげてくれます。
しばらく登ると、小さな祠が見えました。
弥山(みせん)は弘法大師空海が開山した由緒ある霊場と伝わります。
ここは「閼伽井堂」(あかいどう)と言い、弘法大師が初めて、求聞持法の修行に用いられた清浄水(閼伽水)が湧いているそうです。
獅子岩駅から約20分ほど登ったところに、「恋人の聖地」の幟旗がいい感じに台無しな、
「弥山本堂」と「霊火堂」が見えて来ます。
弘法大師「空海」が唐から帰国し霊地を探し求めて辿り着いた地だと云います。
こちらが「弥山本堂」。
顔出しのパネルが設置してあったりと、観光地感が滲み出ています。
が、堂内は聖地感あふれていました。
マンダラや大聖院の鐘楼などが展示されています。
空海さんも優しく微笑んでいらっしゃいました。
そしてその向かいにあるのが「霊火堂」。
ここは間違いなく、弥山登頂の目玉の一つです。
この大きな鉄釜を沸かし続ける火は、弘法大師が護摩焚きを行ったときの火で、806年以来、1200年以上もの間、今まで一度も消えたことがないと云います。
この火は「消えずの火」と呼ばれ、古くより伝わる弥山七不思議のひとつに数えられます。
堂内にある不動明王は、煤でまっくろくろすけになっていました。
釜の中の水はけして沸騰しないと云われています。
確かに沸騰していないようでした。
消えずの火で沸かした湯は万病に効くそうなので、僕も飲んでみます。
甘い鉄釜ならではの味がしました。
これでお茶やコーヒーを淹れたら、間違いなく美味しい。
「消えずの火」の火種は、広島平和記念公園の「平和の灯火」の元火にもなっているそうです。
霊火堂から再び登山を開始すると、すぐに「三鬼堂」が見えて来ます。
まだまだ登ります。
立ち枯れた木なども神々しく見えます。
道は続きます。
空海も登ったであろう道を、人々も祈りながら登って行くのでしょう。
「文殊堂」、
「観音堂」などもありました。
そして巨石が迫ってくると、山頂が近いということです。
楼門のような「くぐり岩」が見えて来ましたが、その手前に
まるで神殿のような、「不動岩」があります。
中に小さめな不動明王が祀ってありましたが、
左右から見ると、その表情がずいぶん違いました。
不動岩は通り抜けられます。
自然に組み上げられたとは思えませんが、果たして人の手によるものなのか。
その先は平坦になっていて、太古の祭祀場だったのではないかと思われます。
不動岩を反対側から見た写真です。
道を戻り、天然のアーチ、くぐり岩をくぐります。
空が青い。
くぐり岩が天然の結界になっているのでしょうか、空気がここで変わったような気がしました。
大岩と木々に囲まれた世界。
光が降り注ぎ、自然と幸せな気持ちになります。
この石碑が見えてくると、いよいよ山頂です。
大きな岩の隙間を抜けると
たどり着きました。
「日本三景の一の真価は頂上の眺めにあり」
たびたび弥山に訪れていた「伊藤博文」は弥山頂上からの眺めをこう評したと云います。
岩の隙間にあるこの場所も、太古の祭祀場だったのではないかと感じます。
自然の造形か、人知を超えたものの作品か、見事なストーンサークルです。
弘法大師が開山した弥山ですが、この山頂にある巨石群は、そのはるか以前から此処が神聖な場所であることを物語っています。
こんな山頂でありながら、前の登山では鹿がお出迎えしてくれましたが、
今日も顔を見せてくれました。
こいつ、やっぱ神の使いなのではないだろうか?
さて、しばらく山頂の空気を堪能したら、下山です。
登って来た道とは反対のルートを下ると、
「干満岩」という場所があります。
これも「弥山の七不思議」のひとつで、10cm程度の穴があり、中の水が潮の干満に応じて上下すると伝わります。
この日は中の水が凍っていました。
ちなみに他の七不思議は
弘法大師が立てかけた錫杖が根を張ったという「錫杖の梅」、
弘法大師が梵字を彫った「曼荼羅岩」、
旧正月初旬の夜に宮島周辺の海上に謎の灯りが出現する「龍燈」、
深夜に天狗が鳴らす拍子木の音が聞こえる「拍子木の音」、
晴天でも常に地面が濡れている「時雨桜」
などがあります。
降り続けると、「舟岩」や、
「疥癬岩」などがあり、
「大日堂」へと出てまいります。
ここから弥山本堂方面へ向かえばロープウェイ乗り場に戻ることができますが、余力があればもう少し先、「大聖院・大元コース」方面へ下って行くことをおすすめします。
少し下ると「水掛地蔵」があります。
そこから数分のところに、僕的に弥山最大の聖地だと感じる「御山神社」へとたどり着くことができます。
「御山神社」に関しましては、別記事にてご紹介させていただきます。
さらに降って、そこにあるのが「仁王門」です。
この仁王門は、平成11年の台風18号で倒壊したものを平成24年に再建したそうです。
真新しい香りのする仁王門を後に、山を降ることとします。
ご覧になるのはご自由だと思います。今年は例の病気の関係でどうなるのでしょうかね。
境内を大きな松明が行き来するから、見る場所が限られるかもしれません。
火がつく瞬間がとても好きですね。
中学ぐらいから参加していないので、今の様子がわからずすみません。
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ありがとうございます!
そう、厄介なのはコロナですよね。
広島にいた時に見ておけば良かったですね。大松明に火がつく瞬間、ふわっと広がる火が美しいですね、ますます見てみたい!
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興味深い記事をありがとうございます。地元なのに知らないことが多いです。
この消えずの火を神主さんが清めて弥山から運び、厳島神社の東岸へ。
そこには、大きな松明や小さな松明を持って待ち構える人たちが今かとソワソワ。
うちの商店は小さかったので、子供数人のサイズの松明をじいちゃんがお手製で造りました。
よし、というときに我先に火をもらいに男たちが走り、真っ暗な境内が、わっと炎で明るくなります。
小さい松明は大きい松明から火をもらいます。
松明を担いで「よいよい!」と言いながら大人も子供も境内の端から端まで往復します。
大きな松明とすれ違うと火の粉がふってきます。ハッピの背中に炭が入ってやけどしたことも。
お祭りが終わると、燃えた状態の炭を持ち帰って、正月にそれで餅を焼いたりしましよ。
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部外者でも祭りを見ることはできるのでしょうか?
すごく興味がわいてきました!
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