元伊勢「宇多秋宮」に比定されると云う、奈良県宇陀市大宇陀宮奥の「劔主神社」を訪ねました。
細い車道の一角に鎮座します。
こじんまりとした境内に、巨木が立ち並んでいます。
見渡すと、やや寂れた感じを受けました。
祭神は「剣根命」(つるぎねのみこと)とも、「天照大神」とも云われますが、「不詳」ということのようです。
本殿の背後に天然石が鎮座します。
それは白い珪石の磐境です。
社殿北西の約550m、山上に珪石の巨岩があり、その一つが奥宮「白石さん」であると云われています。
往古には当社の磐境を通じて、奥宮を祭祀していたと考えられています。
境内を歩くと、他にも珪石の磐座が見られました。
山中にあって白い石は、神懸かって見えたことでしょう。
地図を見ていたら、近くにもう一社「劔主神社」の名を見かけたので向かってみました。
しかしどこにも案内板も無ければ、入り口を示す鳥居もありません。
もしや、と思い、まさか、と思いながら、なんとなく気になる方へ歩いてみました。
と、見つけました。
わずかに開けた場所に鎮座する社殿。
巨木の杜が取り囲みます。
静かに佇む劔主神社。
こんな辺鄙な場所にあって、境内は清浄です。
朱色の本殿が目にも鮮やかに映ります。
丁寧に祀られ続けている印象を受けました。