奈良県宇陀市榛原にある「篠畑神社」(ささはたじんじゃ)は、『倭姫命世記』にある「佐佐波多宮」の比定地のひとつです。
篠畑神社を探していると、棚田が広がる細い道に入り込みました。
たまたまいらっしゃった、地元の方にお願いして、敷地内に少しだけ車を停めさせていただきました。
白い鳥居が目に眩しいです。
参道の階段を頑張って登ると、
のどかな景色が待っていました。
汗ばんだ体を、涼しい風が癒してくれます。
そこから折れた先に社殿があります。
祭神は天照皇大神。
いわゆる元伊勢の一つとされています。
境内社には、市杵島姫命が祀られていますが、相殿に「篠畑姫神」も祀られているとのことです。
この「篠畑姫神」はヤマトヒメが、佐々波多の門、菟田の筏幡に差し掛かった時に出会った童女「宇太乃大称奈」(うだのおおねな)だといいます。
ヤマトヒメは天照大神の神託の真偽を確かめるため、阿紀神社の「照巣」で誓約(うけい)をします。
そしてそれが真である証拠として出会うことになったのが、童女「宇太乃大称奈」でした。
ヤマトヒメはこの宇太乃大称奈を「大物忌」(おほものいみ)に定め、天岩戸の鍵を預け、近くに仕えさせました。
彼女は『皇太神宮儀式帳』の「瀧原宮において笹を刈り宮地を整えた」童女と同一視されており、当社にて「佐々波多姫」(篠畑姫)として祀られるに至っていると云うことです。
10月の体育の日に執り行われる「神幸祭」は、「鱠祭り」とも言われています。
頭屋から奉斎の神饌は二合餅を半分切りにして盛り、野菜は大根の輪切り、つるし柿、ざくろ、栗その他を二盛りにして供えられますが、それを稚児七人がそれぞれ頭上にのせて神前に運び奉斎されます。
これはヤマトヒメを助けた篠畑姫神に因む祭りであると云われていました。