大谷資料館

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日頃、自然美を求めて秘境にまで足を運ぶような僕ですが、人間もたまにはすごいものを造り出すもんだと感心した話です。

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宇都宮市大谷町へ車を走らせると、巨大な岩山が見えてきます。
大谷石凝灰岩でできた山で、よく見る日本の山とは、ずいぶん印象が違って見えます。

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その一角にある「大谷寺」(おおやじ)を訪ねました。

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山号は天開山、院号は千手院。

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岸壁に囲まれるように鎮座する本堂の中は洞窟になっており、そこに国の特別史跡および重要文化財に指定されている「大谷磨崖仏」が彫られています。

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堂内は撮影禁止となっていますので、絵葉書を購入しました。
が、実際の迫力を伝えきれないのが残念です。
本尊は、凝灰岩の岩壁に彫られた丈六(約4.5m)の千手観音で、一般には「大谷観音」の名で知られています。

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寺院参拝で残念なのは、基本的に堂内は撮影禁止なこと。
撮影できるのは飛鳥大仏くらいのものです。
誠に残念ではあるのですが、撮圧とでも言いましょうか、多くの人が写真を撮ることによって何らかの圧力、神聖さの劣化が生じるというのはあるように思います。
なのでそう決められているのであれば、受け入れるべきでしょう。

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大谷寺の千手観音は、平安時代の弘法大師の作と伝えられていますが、その彫り方がシルクロード・バ―ミヤン石仏との共通点が見られることから、実際はアフガニスタンの僧侶が彫刻した、日本のシルクロ―ドではないかと考えられているそうです。

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また、大谷寺の洞窟には、古代の「大谷岩陰遺跡」が見つかっており、古代人が生活した痕跡が認められていると云います。
そこから出土した人骨は、20代前後の男性で、縄文時代草創期(約1万1千年前)のものと判定されています。

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さて、お目当の「大谷資料館」へやってきました。

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大谷資料館とは、その名からは想像もつきませんが、広大な石材採掘跡になります。

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帝国ホテルにも使われたという「大谷石」の採掘現場は、まるで地下のラビリンスを巡るような世界が広がっていました。

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深さ30mの地下坑内へ降りていくと、

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中世の遺跡のような世界が。

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何というか、圧巻です。

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1919年から1986年の約70年かけ、職人さんが大谷石を掘り起こしてきたのです。

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まさにミュージアムと呼ぶにふさわしいのですが、現在はコンサートや美術展、映画やドラマの撮影スタジオとしても使われています。

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洞内の平均気温は約8度。
夏でも涼しく過ごせる場所です。

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ブランケットの貸出はあるそうですが、防寒対策はしていったほうが、ゆっくり楽しめそうです。

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ところで一つ注意が必要です。

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近年の写真ブームもあって、そのマナーが問題になっております。

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写真撮影に際しては、三脚・一脚・自撮棒の使用が禁止されています。

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どうしても三脚を使いたい場合は事前に許可をとっておく必要性があるようですが、週末は特に混み合うので注意しなければなりません。

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また階段や通路等で立ち止まっての撮影、カメラを床や手すりに固定した撮影も禁止されています。

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とはいえこれだけの暗さの撮影ですと、どうしても立ち止まらなくては不可能です。
フラッシュをバシバシ焚いて撮影するのも、他の方に対してナンセンスだと思っていますし、写りもイマイチ。
混雑を避け、他の見学者の迷惑にならない範囲で撮影するのであれば、さほど咎められることはないようです。

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ありがたいことに、この日も平日でそんなに混雑はしていませんでした。
とはいっても、やはりあまりゆっくりとは撮っていられません。

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単焦点レンズで絞りを開放し、感度を可能な限り上げて撮ってみます。

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それにしても美しい。
人の所業がこれほどの美を造り出すこともあるものだと、感心させられます。

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その他の注意点として、大谷資料館では2時間以上の滞在も厳禁とされます。
多くの人に楽しんでもらいたい、と云う意向でしょう。
ただまあ、1時間くらいの滞在が丁度良いと思われます。
なにせ、結構寒いので。

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また当館は音楽ビデオ・映画・ドラマ等の舞台としてよく使用されています。

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ゆえに臨時休館・入場規制の可能性も高く、事前に確認しておいたほうが良いようです。

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またベビーカーや車椅子を乗り入れることができませんので、こちらも事前にお電話しておくと良いようです。

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広場に出ると、恋愛スポットがありました。
出雲的な幸神のような造形でした。

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14件のコメント 追加

  1. 匿名 より:

    私も仕事でパリに行った際、スケジュールを無理矢理変更して、ルーブル美術館に行きました。笑
    なるほど、tabisurueiyoushi様の仰る通り似ていますね!
    古代より西洋も日本も「石工」は権威である職業集団ですからね。
    フリーメイソンなどなど…

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    1. CHIRICO より:

      確かに、日本でも古くからある石の階段などで、当時の石工が褒め称えられている話をよく聞きます。
      相当の技術がなくては加工できなかったでしょうし、何千年経ってもその偉業が残ることを考えれば納得ですね。
      ピラミッドは、その最たるものかもしれません。

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  2. すごいところですね。まるで日本じゃないみたい!!
    地下の採掘場、パリのルーブル美術館の地下に似てる!!

    いいね: 2人

    1. CHIRICO より:

      ルーブル。。。う、羨ましいです。
      死ぬまでに一度は行きたい場所の一つですが、果たして行くことができるのかどうか。
      行けたとしても、うんとおじいちゃんになってからでしょうね(笑)
      ルーブルの地下はこんなんなっているんですね、知りませんでした!

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      1. 昔の城壁を使っていて、そのまま保存してるみたいです。
        ルーブル、みんなが知ってるピラミッドの正門入口からだと並びますので、翼の横の裏出入り口がお薦めです(*^^)v
        パリ、最近は物騒なので、テロが起こってからは行ってないです(^^;

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        1. CHIRICO より:

          貴重な裏情報ありがとうございます!
          いつか、いつか、きっと役に立てる日が来ると信じて頑張ります 笑

          テロ、そうでした。
          そんなことで素敵な場所や物が壊されたり、行けなくなってしまうのは本当に悲しいです。
          ここ数年、僕が無理をしてでも行きたいところに出かけるのは、自分の体が自由に動くうちにというのもありますが、自然災害や人的災害で失われることもあるんだと知ったからです。
          どんな素敵な場所も、いつまでもそこにあるとは限らないと考えるようになりました。

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          1. 本当にそうですよね。行きたかったけど二度と無理な場所にバーミヤンの遺跡があります。行ける時に行っておくというのは重要ですよね。確かに自分の体力も必要ですよね。ヨーロッパの城は広く、階段が多く疲れます。城ではないですが、パリの凱旋門も果てしなく続く螺旋階段を登らされます(^^; モンマルトルのサクレクール寺院の階段もひどかったです(>_<) 旅行するためにも、どんな場所に行っても大丈夫な体力をつけたいものです(^^;

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          2. CHIRICO より:

            熊本で「日本一の石段」ってやつを登ったことがあります。
            3333段、山を延々と階段で登るのですが、登頂してもほとんど展望もない山なんです。
            ただ登るだけ、あれは参った(苦笑)
            でもおかげで、今は1000段くらいは平気で登るようになりました。

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          3. そうだったんですね~。でも登頂しても何もないって…。登ったという達成感だけですね(^^;
            1000段平気ですか??さすがです。だったらどこへでも行けますね(*^^)v

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          4. CHIRICO より:

            はい、どこにだって行っちゃいます!笑

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  3. asesorlegal 999 より:

    大谷寺にも行っていたのですね!
    本家の塀は大谷石です。笑

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    1. CHIRICO より:

      おお、そうですか。
      なかなか上質な石ですね!
      ではあの山から切り出したんですねっ!!

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      1. asesorlegal 999 より:

        そうです。
        昔は、結構使っている家が多かったのですが、最近ではあまり見かけなくなってしまいました。

        いいね: 1人

        1. CHIRICO より:

          時代の流れですかね。

          いいね: 1人

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