奈良時代の末、下野の人沙門勝道は、その伯父・大中臣諸清たちと、かねて深く尊崇する霊峯二荒山（男体山）の登頂によって鎮護国家、人民利益のための大願をたてました。
天平神護2年3月（766年）勝道上人一行は大谷川のほとりにたどりつき川を渡ろうとしましたが、岩をかんで流れる大谷川の激流のため渡る方法がなくこまりはてました。
上人はひざまづいて一心に祈念を凝らすと、川の北岸にひとりの神人が現われました。
その姿は夜叉のようで、身の丈一丈余、左手は腰にあんじ、右手に二匹の蛇をまき、上人に向って「我は深沙大王である。汝を彼の岸に渡すべし」といいながら手にもった蛇を放つと、赤と青二匹の蛇は、たちまち川の対岸とを結び、虹のように橋をつくり、背に山菅が生えたので、上人一行は早速これによって急流を渡ることができたといいます。
ふり返って見ると、神人も蛇橋もすでに消え失せてしまっていたので、上人は合掌して、深沙大王の加護に感謝し、それ以来この橋を山菅の蛇橋と呼んだといいます。

ー　神橋の伝説（日光二荒山神社 神橋ホームページより）

2019年4月2日、僕は栃木の日光へ足を踏み入れました。

昨夜から降り出した季節外れの雪は、僕に思わぬギフトを届けてくれました。

路面凍結を恐れ、ゆっくり宿から車を出しましたが、幸い路面の雪は溶けていました。
夜明け早朝、まずは日光の玄関口、大谷川（だいやがわ）に架かる日光二荒山神社の「神橋」（しんきょう）に向かいます。

凛とした空気の中に佇む、美しい朱の橋。

古くは「山菅の蛇橋」（やますげのじゃばし）、または「山菅橋」「蛇橋」とも称された名橋。

この神橋は「日本三奇橋」の1つに数えられています。

橋の長さは28m、巾7.4m、水面からの高さは10.6mになります。

奈良時代末、勝道上人の日光開山に際して、深砂大王が2匹の大蛇をして橋となしたと伝承される橋は、上人が渡りきると消えてしまいました。
それで蛇の橋を模して渡した現在の橋は、奈良時代の創建と考えられていますが、詳しくはわかっていないと云うことです。

昔は神聖な橋として、一般の通行は下流に仮橋（日光橋）を架けて通行していました。
今は有料ではありますが、橋の上を往復することができます。

また橋の入り口に設けられた社務所で水に溶ける紙を購入し、紙飛行機にして願掛けをするのが流行りのようです。

橋の先まできたら折り返しです。
渡りきることはできません。

意外に渡っている人は少なかったのですが、ぜひ自分の足でこの奇跡の橋の上に立ち、神秘を感じてみたいものです。

神橋のあるあたりは門前町として商店が立ち並んでいます。

板垣さんや

徳川家とゆかりの深い天海さんの銅像もあります。

神橋そばの丘の上にある「金谷ホテル」まで足を伸ばしました。

宿泊はしなかったので、外観だけでもと訪ね歩きます。

日光東照宮の楽師（雅楽演奏者）であった金谷善一郎が、日光を訪れる外国人のために1873年（明治6年）に前身となる「金谷カテッジイン」を開業、

1893年（明治26年）に「金谷ホテル」として開業されたそうです。

以来、多くの著名人も訪れているそうですが、その中には「アルベルト・アインシュタイン」氏もいたそうです。

さて日光の美食といえば「ゆば」。

「ゆば御膳」なるものをいただきました。

煮物の「福ゆば」「高野豆腐」「ぜんまいゆば」

しの巻きゆばのあんかけ

ゆばのつくだ煮
串ゆば
ゆばおからの酢物
胡麻豆腐とゆば
山菜の煮物
ゆばのお吸物
ゆば珈琲ゼリー

といった献立です。
ゆばもいろんな味付けと調理法があって楽しめました。

また、別の店ではゆばそばをいただきました。

日光とはそのエリアに、有名な東照宮を始め、二荒山神社、輪王寺が複雑に、絡み合うように境内敷地をめぐらせたようになっています。

その中でも最も広い敷地を有しているのが「日光二荒山神社」（にっこうふたらさんじんじゃ）です。

先ほどの「神橋」も二荒山神社に属していますが、本社は東照宮の隣奥に鎮座します。

神橋から車道を渡ってすぐのところにある「本宮神社」も飛び地・別宮として女峰山登山口入口に鎮座します。

境内には様々な石が祀られています。

磐座信仰と呼ぶほどのものではありませんが、

出雲系信仰の匂いを感じ取ります。

こぶ杉という立て札を見つけました。

御神木の裏に回ると、立派なこぶがあります。

このこぶを撫でると、喜びが回ってくるというので「喜こぶ杉」とも呼ばれているそうです。

二荒山神社では出雲系の神が祀られているようです。
当社の祭神は大国主の息子「味鋤孝彦根命」（あじすきたかひこねのみこと）が祀られていました。

それではしばし歩いて、本社を目指したいと思います。