時は奈良時代、順風に帆を揚げ、大和に向けて海原を進む遣唐使船で、真備は困り果てていた。 彼の前には16歳ばかりになる、目に涙を溜めた美しい少女が座っていた。 「何ゆえそなたは儂の船に乗っておるのだ」 しばらく押し黙ってい…
薄花弁 散り咲き揺れる 陽だまりの 傾く影に 偲ふこころは - chi.
時は奈良時代、順風に帆を揚げ、大和に向けて海原を進む遣唐使船で、真備は困り果てていた。 彼の前には16歳ばかりになる、目に涙を溜めた美しい少女が座っていた。 「何ゆえそなたは儂の船に乗っておるのだ」 しばらく押し黙ってい…