会津富士「磐梯山」(ばんだいさん)の北側に、裏磐梯と呼ばれる地域があります。
そこに広がる湖沼群は、様々な色の沼が点在し、「五色沼」(ごしきぬま)と呼ばれています。
その自然が生み出した芸術を堪能するため、裏磐梯まで足を運びました。
五色沼を気軽に楽しむなら、「五色沼自然探勝路」がおすすめです。
3.6km、徒歩約1時間程度のトレッキングで、美しい沼々を見ることができます。
まずはビジターセンターを目指します。
そこから一般駐車場を抜けると、湖沼群の中で最も大きな「毘沙門沼」が姿を現します。
毘沙門沼では、手漕ぎボートでの遊覧が可能です。
カップルだらけの中で一人ボートに乗るのは悲しかったので、僕は遠目に羨ましげに眺めていました。
そこから探勝路は続いていますので歩いていきます。
熊注意!
日中は人も多いので大丈夫だと思いますが、用心だけは怠ってはなりません。
沼のほとりはどこも美しく、撮影ポイントに欠きません。
するとずいぶん人懐こい鯉に出会いました。
毘沙門沼は比較的酸性度が低く、プランクトンが豊富なので、元気に鯉が泳いでいます。
その中に赤いハートの模様がある鯉がいるらしく、「見つけることができれば幸せになれる」と噂なのだそうです。
それにしてもあまりに透明度が高いので、まるで鯉が空を泳いでいるようです。
五色沼は1888年7月15日、磐梯山の噴火により、山体の北側の小磐梯が山体崩壊を起こし、岩屑のなだれが川をせき止めたことにより生まれました。
その大小の湖沼の数は約300といいます。
五色沼の名の由来となっている様々な湖沼の色合いは、流入している火山性の物質や、植物・藻などによって変化しているそうです。
五色沼が今のような観光地になったのは、「遠藤現夢」という人物の働きかけがきっかけだと言われています。
山体崩壊の土砂・岩によって荒れた地域をなんとか再生させようと、遠藤現夢は私財を叩いて植林を始めました。
それが今では散策路が整備され、宿泊施設が集まるほどの観光地へと発展しているのです。
再び探勝路を進むと
「赤沼」が見えてきました。
赤い沼が見れるのかと思いきや、
絵の具のような濃い緑です。
しかし美しい。
赤沼は水そのものが赤いのではなく、水に鉄を多く含み、周りの草木の根元が赤褐色に見えることからそう呼ばれるようになったということです。
ただ近頃は、金属イオンの含有量が少なくなってきているため、色が薄くなってきているのだそうです。
すぐに次の淡い黄緑の「みどろ沼」が見えてきました。
と、ここで、雨が降ってきました。
7月の福島旅では曇り空だったので今日に延期した五色沼でしたが、むしろ裏目だったか。
しかし雨は雨の景色を堪能すれば良いのです。
みどろ沼は水深も浅く、水生植物が豊富なので微妙な色合いの変化が楽しめる沼となっています。
また少し歩くと、「竜沼」という案内板があります。
が、その姿が見えません。
木の隙間を目をこらすと、かすかに水面が姿を見せています。
おそらくこれが竜沼。
幻の沼といったところでしょうか。
雨が結構降ってきましたが、森の木が覆いかぶさって、僕を水滴から守ってくれています。
おかげでなんとかカメラを濡らすことなく、撮影できました。
「弁天沼」に着きました。
弁天沼は、この探勝路で毘沙門沼に続く2番目に大きな沼で、天気が良い日は吾妻山の稜線を見ることが出来るそうです。
対岸には葦の葉が繁り、
見事な美しいツートーンの色を醸し出しています。
雨の雫もまた、味のある模様を描いています。
個人的には弁天沼が一番好きです。
ただせっかく設置してある展望台からの眺めは、イマイチでした。
左手に「瑠璃沼」が見えてきました。
瑠璃沼は、五色沼湖沼群の中で一番上流にある沼です。
大きく育ったコケマットが特徴的。
晴れていれば、なお美しい景色を見せてくれたことでしょう。
瑠璃沼に続いて右手に見えてきたのが「青沼」です。
その名が示す通りのブルー。
五色沼の中で最も青い沼と言われています。
よく見ると青沼に流れ込む小川のようなものもあり、その透明度に驚きます。
ブルーサファイアのような美しい青、その神秘の姿に思わず息をのみます。
光の加減で色彩も微妙な変化を見せるらしく、晴れていたならより深い青が観れたのかもしれません。
ゴールも間近になったころ、五色沼開拓の功労者「遠藤現夢」氏の墓といわれている場所への入り口がありました。
が降る雨はさらに激しく、今回はスルーさせていただくことに。
そして最後の五色沼「柳沼」に到着しました。
今までの五色沼に比べて普通の池に見えますが、ひときわ高い透明度を誇ると言います。
水面が穏やかな時は、美しく風景が写り込むのだそうで、とくに紅葉の頃は絶景だそうです。
探勝路を抜けると「裏磐梯物産館」があり、ここからバスやタクシーでビジターセンターへ戻っても良いです。
「神の子池」や「丸池様」とはまた違った美しさの裏磐梯「五色沼」。
福島まで来たなら、寄り道する価値ある湖沼群でした。