淡嶋神社

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兼ねてから気になっていた、和歌山加太の「淡嶋神社」(あわしまじんじゃ)を訪ねてみました。

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淡嶋神社は、ラピュタの島として有名な「友ヶ島」の渡船場近くに鎮座しています。

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人形供養で知られ、全国にある淡島神社(淡嶋神社)・粟島神社・淡路神社の総本社であり、式内社「加太神社」の比定社の一つとされます。

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祭神は「少彦名命」(すくなひこなのみこと)・「大己貴命」(おほなむじのみこと)・「息長足姫命」(おきながたらしひめのみこと)の三神。

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淡島神について記紀には、イザナギとイザナミの国生みの際、「蛭子神」(ヒルコ)に次いで2番目に生まれた子として登場します。
しかし蛭子・淡島ともに不具の子であったため、葦の舟に乗せて海に流され、子の数には数えないとしています。

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その淡島神ですが、『古事記』や『伯耆国風土記』に、国造りを終えた少彦名神が粟島から常世の国へ渡って行ったとする記述があり、このことが祭神「淡島神=少彦名神」であることの根拠となっているようです。

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それにしても噂通り、当社の社殿・境内のいたるところに、様々な人形が奉納されています。

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この淡嶋神社への人形奉納という風習は、「淡島神=住吉明神の后神」であるとする説に由来するようです。

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その説によると、天照大神の6番目の御子神として生まれた淡島神は住吉明神に嫁いだが、婦人病にかかったことにより粟島に流され、そこで婦人病の人々を救うという誓いを立てたと伝えられています。

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また似たものに、「婆利塞女」(ばりさいじょ)の話があります。
婆利塞女は16歳の3月3日に歯を染めて住吉明神に嫁ぎますが、その後婦人病を患ったために夫婦の仲に障りを来す事を嘆き、形代を作ってその障りを除いたのだそうです。
加太の淡嶋神社に女子から人形が奉納されるのは、この形代で障りを除いたという行いによるものと伝えられています。

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社伝には、祭神の一柱「息長足姫命」に絡めて、次のように記されています。
神功皇后(息長足姫命)は三韓出兵の帰途、瀬戸の海上での突然の嵐に遭遇しました。
皇后が船中で祈りを捧げたところ、少彦名命と大己貴命から「船の苫を海に投げ、その流れのままに船を進めるように」とのお告げを受けます。
お告げに従い船を進めると、一行は無事に友ヶ島の「神島」(淡島)にたどり着き、皇后は神に感謝して、持ち帰った三韓渡来の宝物を奉納したそうです。

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その数年後、神功皇后の孫とされる「仁徳天皇」が友ヶ島に狩りに来た際、その由来を聞き、島では不自由であろうと考え、社を対岸の加太に移し、現在のような社殿を建築したことが淡嶋神社の起こりとされています。

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歴史的には当社の鎮座する加太と、対岸の友ヶ島は住吉神社の社領であった時期があり、このことが祭神=住吉明神の后神という繋がりになっていると思われます。
また神功皇后は住吉社創建に深い関わりがあり、住吉大社に祀られる后神は神功皇后本人であるという話も聞かれるところです。

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境内を散策していると、様々な人形が奉納されていることに驚きます。
その数、約2万体とも。

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訪れる前は、もっとおどろおどろしい所だと思っていましたが、しかしながらなかなかに清々しい場所です。
海が近いということもあるのでしょう。

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一部のマスコミ・雑誌等が心霊スポットとして当社を採り上げることがありますが、そのような不浄な空気は、深夜はともかく日中は全く感じられません。

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当社の御神職は、「遊んでもらえる、見られることが供養につながる」という考えに基づき、人形に関心を持ってもらえることを第一に考えておられるようです。
人形とは子供に遊んでもらうために生まれたものであるなら、手放された人形たちが、訪れる参拝者たちに構ってもらえるのは嬉しいことなのかもしれません。

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しかし当社と日本人形協会とは反発しあっている背景もあり、以前ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが開催するハロウィーン・ホラー・ナイト「祟 TATARI ~生き人形の呪い~」というイベントに、供養のために納められた数百体の人形が、供養を依頼した本人に無断で貸し出されたということがあり、世間の批判を浴びる事態になりました。

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人形供養、雛流し神事で有名な淡嶋神社ですが、他にもユニークな見所が境内にはあります。

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境内にある針塚では毎年2月ごろに全国から集められた針が供養されています。

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また社が乗った大きな岩の下には「塩つぼ」というものがあり、

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その水を体に振り掛けると願いが叶うのだとか。

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境内奥にある社殿には、婦人病祈願・子授け祈願のためにたくさんのビニール袋に詰められた下着が奉納されています。

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かつては祈願のため男根形や自身の髪の毛などが奉納されていたそうですが、時代と共に風習が変化して、現在は一度身につけた下着を奉納するようになったと云われています。

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また境内の隅の方には少彦名の姿社なるものがあり、

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そこを覗いてみると、祭神の凛々しい彫り物が安置されていました。

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その手前にはあからさまな石も鎮座しており、出雲的なサイノカミ信仰の片鱗が窺えたのでした。

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5件のコメント 追加

  1. Tyakura より:

    懐かしい。小学生くらいまで毎年お参りに行ってました。女性だけで毎回参ったことを覚えています。弟達は、神社には入らなかったです。女性の願いだけきいてくれるってことでした。カップルで行っちゃダメとか、色々いわれがあります。最後に行った時に、霊感の強い子と行ったので、狛犬さんが怖くて、いやなかんじがしました。彼女はここは入れないわって所がありましたよ。

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    1. CHIRICO より:

      とても独特な雰囲気の神社ですね。
      しかし思っていたほど、嫌な雰囲気はありませんでした。
      天気が良かったのと、潮風が気持ちよかったからだと思います。
      本当は友ヶ島に渡りたかったのですが、あいにく欠航でした。
      またリベンジしたいと思います!

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      1. Tyakura より:

        友達と行った時だけですね、怖い感じになったのは。習慣から夫とは一緒に行きたくないですけどね😅

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  2. Ciao Chirico, che strano posto! davvero particolare!

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    1. CHIRICO より:

      Ciao, Alessia!
      Il Santuario di Awashima è un santuario speciale un po ‘insolito.

      いいね: 1人

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