四国八十八箇所霊場の第十一番札所、「金剛山 一乗院 藤井寺」(こんごうざん いちじょういん ふじいでら)です。
参道前に大きな有料駐車場があり、僕もそこに車を停めましたが、細い道の先まで行くとお寺の境内に無料で停められるスペースがあるようです。
のどかな山村の寺院といった趣き。
本尊は薬師如来。
本尊真言「おん ころころ せんだりまとうぎ そわか」
ご詠歌「色も香も 無比中道の 藤井寺 真如の波の たたぬ日もなし」
弘仁6年(815年)に弘法大師・空海が42歳の厄年に当たり、自らの厄難を祓い、衆生の安寧を願って薬師如来像を彫造して、堂宇を建立。
その地からおよそ200メートル上の8畳岩に、金剛不壊といわれる堅固な護摩壇を築いて、一七日間の修法を行ったと云います。
その堂宇の前に5色の藤を植えたという由緒から、金剛山藤井寺と称されるようになったと伝えられています。
また名前の藤井寺(ふじいでら)、寺号の「寺」を「じ」でなく「てら」と読むのは四国八十八箇所の中で当寺だけだそうです。
藤井寺は真言密教の道場として栄え、七堂伽藍を構える壮大な大寺院と発展しました。
しかし天正年間(1573~92)の兵火により全山焼失、天保3年(1832)の火災と火難に遭いますが、万延元年(1860)に再建され今に至ります。
藤井寺から次の十二番・焼山寺までは、「遍路ころがし」と呼ばれるへんろ道が通じています。
それは細く嶮しい山道で約13kmあり、男で8時間、女で9時間かかるといわれる遍路の難所。
途中、弘法大師が修行中に休息したという遺跡や石仏、標石が残されており、通には外せないへんろ道となっているようです。
朱印をいただき帰ろうとしていると、地元の方らしき男性が「本堂の龍は見たね」と尋ねられました。
もしや、と思い再び本堂へ赴き扉の隙間から天井を見てみると、
なんと見事な龍が描かれていました。
これは地元出身画家の作による雲龍の絵だそうで、比較的新しいものの、目に生き生きとした力強さがあります。
教えていただいた男性にしっかり礼を述べて、藤井寺を後にしました。