間近に見ることのできる発電所跡があるというので行ってみました。
大分県豊後大野市にある「沈堕発電所跡」(ちんだはつでんしょあと)です。
豊後大野市には二つのナイアガラがあります。
そのひとつ「沈堕の滝」(ちんだのたき)は、2007年7月26日に国の登録記念物として指定され、「豊後のナイアガラ」、「大野のナイアガラ」とも呼ばれます。
ちなみにもう一つは、近年観光スポットとして有名になった「原尻の滝」。
こちらは「東洋のナイアガラ」と呼ばれています。。。
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……って、ナイアガラに失礼やろ!!
と壮大に突っ込みながらも、今回の目的地は別にあるのでそちらへ向かいます。
沈堕の滝を間近に見れるという展望台のそばに数台の駐車スペースがありました。
当地には明治42年(1909年)に豊後電気鉄道株式会社によって沈堕発電所が建設されました。
その遺構を見るのが今回の目的。
駐車スペースからはぐいぐい崖を降りて行くのですが、その入り口には鳥居がありました。
ちなみに一段下がったところにある広場から覗き込むと、おお、風格ある遺構が見て取れます。
わくわく。
鳥居の下には当然ながら社があります。
その反対側には、沈堕の滝へと続く遊歩道。
手前の発電所遺構の右側には水路跡があり、
そこから発電所へ水が流れていたことがわかります。
沈堕の滝の落差を利用したこの水力発電所が造られたのは明治42年のことです。
当発電所は大分~別府間に電車を走らせるために豊後電気鉄道株式会社により建設されたということです。
遊歩道を少し先に進むと、発電所へ至る道に分かれます。
そう、この遺構は自由に中に入ることができるのです、ヤッホーっ♪
上からだけでなく、間近に見ることのできるその遺構のなんとノスタルジックなことか。
鹿児島の「曽木発電所跡」(そぎはつでんしょあと)などもそうですが、歴史ある発電所遺構はどことなく教会を思わせるデザインですよね。
当時の建築家のロマンあるデザインセンスに脱帽です。
沈堕発電所は大正5年に九州水力電気株式会社と合併。
しかし経営圧迫から鉄道部門は切り離され、「別府大分電鉄株式会社」へと事業が移されました。
この別府大分電鉄株式会社が、現在の大分交通株式会社へとなっていきます。
石造りの壁は堅牢で、長い時を経てロマンを今に残してくれています。
神々しく美しい。
わざわざ足を運んだ甲斐がありました。
せっかくなので沈堕の滝の展望台まで行ってみます。
ナイアガラは言い過ぎですが、素晴らしい滝の姿がそこにありました。
沈堕の滝は名瀑として古くから有名で、室町時代に「雪舟」が訪れ『鎮田瀑図』を描いたことでも知られています。
今は上流に九州電力の取水堰が作られ、滝自体も人工的に補強が加えられ完全な自然の景観ではなくなっています。
それでも川幅いっぱいにいく筋も流れる瀑流は迫力満点。
実は『豊後国志』によると、「淵の深さは測るべからず」との記載があるほど危険な場所と知られていたようで、岡藩では刑罰を科すべきかどうか判断に困った時、「沈堕落とし」として被告人をこの淵に突き落としたのだそうです。
死ねば有罪、無事に生きて泳ぎ抜けたら神慮として無罪放免。
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……岡藩、超・適・当☆。
しかも助かったのは一人だけだったという話です。
まあ、今の欺瞞に満ちた裁判とどちらが公平かというと、どうなのでしょうね。
素晴らしい投稿ありがとうございます。明治期の建築遺構、用が済んで自然に帰っていく姿、胸が熱くなります。沈堕、のニュアンスに重なります。ハイ、わたくし変態です。環境だのエコだの薄寒い掛け声などを抜きに、技術を試してみたいと言う原動力のようなも勝手に感じます。
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よっちゃんさんに喜んでいただけて良かった。
コロナ自粛のため、近場の遺構巡りを計画中です。
カタストロフィを感じますね。
技術を否定したエコロジストなんて、所詮まがい物です。
そんな奴ほど、バンバン電気に頼って生きているんだから。
人間はどうせ傲慢な生き物なので、超便利社会と超エコロジックを両方矛盾なく叶えてしまうくらい強欲でいいんじゃないかと思います。
たとえ失敗しても自然は滅亡しませんよ、滅亡するのはせいぜい人類だけなのですから。
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