熊野磨崖仏

投稿日:

7200454-2020-07-23-07-01.jpeg

大分県の豊後高田市、国東半島の付け根あたりの山奥にある、大分のアンコールワットを訪ねてきました。
「熊野磨崖仏」(くまのまがいぶつ)です。

7200424-2020-07-23-07-01.jpeg

途中、先の大雨で土砂崩れの道もある中、なんとか無事に到着です。

7200503-2020-07-23-07-01.jpeg

熊野磨崖仏への入り口は、田染の田原山(鋸山)山麓にある「今熊野山胎蔵寺」(いまくまのさんたいぞうじ)になります。

7200504-2020-07-23-07-01.jpeg

せっかくなので境内にお邪魔すると、

7200505-2020-07-23-07-01.jpeg

銀ピカの大黒さんたちが。

7200506-2020-07-23-07-01.jpeg

銀ピカの秘密は、梵字が印刷された金のシール。
これを願い事を唱えながらそれぞれの仏像に貼るのですが、

7200507-2020-07-23-07-01.jpeg

最初は金ピカで、色がはげて銀ピカになっていたようです。

7200509-2020-07-23-07-01.jpeg

c1d-2020-07-23-07-01.jpg

7200425-2020-07-23-07-01.jpeg

さていよいよ熊野磨崖仏を拝みに向かいましょう。
プレハブのような受付と売店兼社務所の建物がありますので、入場料を払います。

7200423-2020-07-23-07-01.jpeg

「途中から石の階段があるけど、上の方ほど傾斜が急だからね、気をつけてね」とおばちゃんが忠告してくれます。

7200426-2020-07-23-07-01.jpeg

了解っ☆と気を引き締め、歩いていきます。

7200429-2020-07-23-07-01.jpeg

蒸し暑さMAXの中、汗がじわりと湧いてきました。

7200428-2020-07-23-07-01.jpeg

磨崖仏までは片道20分くらいという話。

7200430-2020-07-23-07-01.jpeg

受付では枝を削った杖が置いてあり、よかったらどうぞと言われましたが、まあ大丈夫だろうとそのまま登ってきました。

7200431-2020-07-23-07-01.jpeg

ちょうど中間地点で残り200m。
ということは片道400mということですか。

7200432-2020-07-23-07-01.jpeg

サワガニ発見。

7200433-2020-07-23-07-01.jpeg

と、ちょっと雰囲気が違う場所に出ました。

7200435-2020-07-23-07-01.jpeg

なるほど、ここが例の石の階段というやつですね。

7200437-2020-07-23-07-01.jpeg

鳥居で一礼。
と、ん!?
お気づきでしょうか!!

7200440-2020-07-23-07-01.jpeg

先ほどから写真の上端いっぱいまで連なる石の階段を。。。

7200442-2020-07-23-07-01.jpeg

昔この田染の里に毛むくじゃらの赤鬼がやってきて、権現様に「人間の肉が食べたい」というのでした。
何か良い方法はないかと考えた権現様は、「一夜のうちに百段の石段をこさえたら許そう」と約束しました。
権現様はそのようなことは、よもやできもしないだろうとタカをくくっていたのです。

7200443-2020-07-23-07-01.jpeg

ところが赤鬼は、なんとあれよあれよという間に九十九段まで積み上げてしまいました。
慌てた権現様は、鬼が最後の一段を完成させようとしたその時、「コケコッコー」とニワトリの鳴きまねをしたのです。
鬼はこの声を聴いて「負けたぁ」と石を抱えて逃げ去ったとさ。

7200449-2020-07-23-07-01.jpeg

それにしてもさすがは鬼の雑な仕事、石段は自然石を乱積みにしただけの急勾配です。
そして確かにおばちゃんは、上に行くほど急勾配だとは言っていましたが、

7200445-2020-07-23-07-01.jpeg

垂直か!

7200453-2020-07-23-07-01.jpeg

ほうほうの体であと少し、というところまで来てみれば、

7200451-2020-07-23-07-01.jpeg

あ、あるやん♪

7200466-2020-07-23-07-01.jpeg

大分のアンコールワット、熊野磨崖仏が!

7200455-2020-07-23-07-01.jpeg

岩壁に刻まれた2体の巨大な磨崖仏。
向かって左が「不動明王二童子像」、右が「大日如来像」だそう。

7200469-2020-07-23-07-01.jpeg

不動明王像の高さは約8m。
その表情は、仁王像らしく牙をむき出しにして睨んでいる、と言うよりは、イィ~っとアニメチックに顔を歪めているように見えます。

7200464-2020-07-23-07-01.jpg

鎌倉時代の作とされる不動明王像は、安山岩質の礫混じりの硬い岩壁に造られたため彫り口がやや浅いのも、このような表情になっている理由の一つのようです。

7200470-2020-07-23-07-01.jpeg

左右両脇には高さ約3mの矜羯羅童子像、制多迦童子像の痕跡が認められるのだそうです。

7200471-2020-07-23-07-01.jpeg

奥の大日如来像は高さ約6.7m。
高さ約8mの龕(がん)というくぼみの中に彫り出されています。
螺髪等の造形的特徴から、不動明王像よりも制作年代が遡ると推定されているそうです。

7200472-2020-07-23-07-01.jpeg

光背上部の種子曼荼羅は鎌倉時代の追刻。
大日如来像は端正な顔立ちで、不動明王よりも精巧に掘られています。

7200463-2020-07-23-07-01.jpeg

しかし個人的には、不動明王のイ~顔の方が好き、怖くない(笑)

7200474-2020-07-23-07-01.jpeg

両像の間や裏手には御所帯場と呼ばれる洞窟があります。

7200515-2020-07-23-07-01.jpeg

仏師が籠もったとされるものですが、修験者などもここで修行をしたのではないかと思われます。

7200502-2020-07-23-07-01.jpeg

自然に飲み込まれるように、1000年もの間風雨に耐えた磨崖仏。
その姿は正しく大分のアンコールワットにふさわしいもの。

7200476-2020-07-23-07-01.jpeg

ちなみに大分のアンコールワットとは僕が勝手に呼んでいるもので、検索しても引っかかることはありません、たぶん。

7200458-2020-07-23-07-01.jpeg

c1d-2020-07-23-07-01.jpg

7200477-2020-07-23-07-01.jpeg

さて、目的地には到達したのですが、あと数段登れば熊野神社があるというので登ってみます。

7200499-2020-07-23-07-01.jpeg

静謐な空気の中に佇む社殿。

7200479-2020-07-23-07-01.jpeg

熊野神社ということですから、祭神は和歌山の熊野三山の神ということになるのでしょう。

7200483-2020-07-23-07-01.jpeg

今はスサノオ系の神と解釈されていますが、本来は出雲系クナトの神のはず。

7200482-2020-07-23-07-01.jpeg

養老2年(718年)に宇佐神宮の祭神「八幡神」の化身である仁聞菩薩が磨崖仏を造立したという伝説もありますので、元々は八幡神が祀られていたのかもしれません。

7200487-2020-07-23-07-01.jpeg

拝殿の奥も、アンコールワット・ワールドが展開しています。

7200488-2020-07-23-07-01.jpeg

自然と同化しつつある石積み。

7200490-2020-07-23-07-01.jpeg

壁面には板状の石と祠が祀られます。

7200494-2020-07-23-07-01.jpeg

本殿は、覆いかぶさるような岩壁を支えるように建っているのですが、

7200491-2020-07-23-07-01.jpeg

本殿の裏側をよく見てみると、

7200496-2020-07-23-07-01.jpeg

あ、穴が空いとる。。

7200498-2020-07-23-07-01.jpeg

先ほど小祠の横に祀られていた平たい石は、この穴の欠けた一部でしょうか。
穴があったから社殿を建てたのか、社殿を建てた後に穴が空いたのか不明ですが、この分厚い岸壁にそこだけ薄い部分があるのか、なんとも不思議です。
穴から外を覗き見てみたい思いに駆られますが、それは当然神域で叶いません。
が想像を駆り立てているくらいが、神秘を感じられて良いのかも。

7200500-2020-07-23-07-01.jpeg

まあそれよりも、もっと気にかけなければならないのは、帰り道のことです。
ああ、杖を借りてくれば良かった。。

7200501-2020-07-23-07-01.jpeg

2511e8838ee894b5e5afba-2020-07-23-07-01.jpg2512e7868ae9878ee7a3a8e5b496e4bb8f-2020-07-23-07-01.jpg

12件のコメント 追加

  1. wildsum より:

    懐かしいです。16年前に大分の石仏を訪れました。その時、撮った写真をパソコンの中から、取り出して見ました。何仏かわかりませんでしたが、お陰さまでわかりました。大日如来でした。ありがとうございます。

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      大分にはたくさんの石仏がありまして、熊野磨崖仏はその一つに過ぎませんが、他の石仏も見て回られたのでしょうか。
      私も仏教は詳しくないので、仏像を見てそれが誰なのかは分かりません。
      如来と観音くらいは、なんとなく判別できますが。
      今は思い出を旅するくらいしか、なかなかできませんね。

      いいね: 1人

      1. wildsum より:

        昔撮った写真と照らし合わせてみました。まったくおなじです。

        いいね: 1人

      2. wildsum より:

        石仏を見たのはこの磨崖仏だけだと思います。大分は別府や湯布院などの温泉地、それに、滝を見に行ったりしましたね。今は、神奈川に住んでいて、移動範囲は徒歩で行けるところだけです。

        いいね: 1人

        1. CHIRICO より:

          神奈川は今年行った、旅行らしい旅行の最後でした。
          鎌倉始め、とても素敵なところがたくさんありました。
          寒川神社は、特にお気に入りです。
          僕もいつか、旅に出ることができない日が来ると思います。
          いや、もうそうなっているかもしれませんね。
          そんな時に、もう一度思い出の旅ができるようにというのが、このブログを書いている目的の一つでもあります。
          たとえ明日、何があっても後悔がないように、生きているつもりです。

          いいね: 1人

          1. wildsum より:

            寒川神社、いいですね。名前は知っていますが、まだ、行ったことがありません。

            いいね: 1人

          2. CHIRICO より:

            いいところですよ、せっかく神奈川にお住まいなら、ぜひ!

            いいね

  2. Yopioid より:

    インディジョーンズに出てきたのは知りませんでした。
    たしかシリアのペトラ遺跡ですよね、舞台。
    ペトラだけに、隊商貿易でインドを含め各地の文化が持ち込まれたんでしょうか。
    体型もキレンジャー・・・うるちゃいですw

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      ペトラ遺跡は3作目ですね。
      シヴァ・リンガが出てくるのは2作目の方です。
      邪神教の司祭がリンガを3つ集めて、その力で人の心を支配して思うがままに王家を乗っ取ろうとする、みたいな話だったです。
      てことは、あのジャングルの中の舞台はインドだったのでしょうかね。

      https://ja.wikipedia.org/wiki/インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説

      体型はね、もうね、僕も仕方ないお年頃ですね、コロナのせいにでもしときましょ。。

      いいね: 1人

      1. Yopioid より:

        三作目でしたか。適当に見ていた映画がちゃんと筋立てしてあって古い映画を見直すのも面白いものです。ヒンドゥーに対置される邪神教、イスラム教だろうか・・・。イラン系遊牧民が北西からインドに入ってきて、ドラビダ族が突き出される結果になったのを思い出しました。時代が違いますねw

        いいね: 1人

  3. Yopioid より:

    エローラの石窟寺院や莫高窟の磨崖仏とか、仏教やヒンドゥー系を思わせます。ヒンドゥー系の遺跡にはシヴァ神のリンガの神器があり、石製なのでまず消えないで残ってると思います。九州で見つかったら、オオゴトになると思います笑。チャンパの遺跡では墓石みたいなサイズのリンガが立っていて、上から水をかけて、垂れてきたのを飲むと子を授かると聞きました。
    宮島の風変わりな陵王の舞は雅楽ですが元はインドシナチャンパ方面から来たはずです。クナト神が北まわりで、時代は違いますが、南から伝来したインド文化もあったみたいです。私がカレー好きなのはもしや、インドの血が!

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      シヴァ・リンガ、なんだろうと調べてみたら、インディジョーンズで村から盗まれた秘石のやつですね。
      あれは危険です!!!
      インディもあれのせいで命落とすところでした。
      で、普通にネットで売っているものですね。
      値段も手頃だし、一つ買い求めてみようかな。
      ただ、ヤフオクなんかで「未使用」って表示されているのが気になります。
      「使用済み」だったら、それはそれで怖い。。何に使用したというのだろうか。

      インドからは南ルートの方が合理的ですよね。
      クナト族は無益な争いを避けるため、極寒のシベリアルートを選択しましたが。
      yopioidさんがカレー好きなのは、前世がキレンジャーだったのかもしれませんね(笑)

      いいね: 1人

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください