室生の海神社(かいじんじゃ)を訪ねたついでに、ぶらり「龍鎮神社」(りゅうちんじんじゃ)を訪ねました。
が、それはぶらりなんて気分を吹き飛ばす、驚くべき場所でした。
深谷渓谷の奥地に鎮座するその入口は、赤い龍鎮橋が目印です。
しかし龍鎮橋まで車で向かうには、かなり細い山道を進む必要があり、また近辺には十分な駐車スペースもありません。
運転に自信がない方は、室生ダムに車を停めて20分ほどの遊歩道を歩かれることをおすすめします。
龍鎮橋から参道に入れば、濃密な水の気配。
この辺りは雨によって増水しやすく、参拝時の天候に注意しなければなりません。
また2019年には落石の影響で、実際に龍鎮神社のアクセスが禁止されていました。
参道を歩いていると、深海の龍宮の世界に迷い込んだような錯覚に陥ります。
龍鎮橋から数分、
その神域が姿を見せました。
室生といえば日本三大龍穴の一つ「室生龍穴」が有名ですが、どちらも山の深淵にあり、身震いするような気配に圧倒されます。
三本松の海神社縁起によると、当社は応永3年(1396年)に祈雨止雨のために室生龍穴神社から善女竜王を勧請したとありました。
この龍鎮神社は今から500年ほど前に海神社で雨乞いの祈願をする際に龍神の鎮まる所として見出され、以後大野の海神社に仮殿として龍鎮神社が祀られており、当社も境外摂社となっています。
龍鎮神社の鳥居を下ると、そこには拝殿がありました。
狭い渓谷にあるため、その様式は他の神社と少々違っています。
拝殿の中に入って、振り返って遥拝するようです。
そして拝殿を背にしたその先には、
微かな光を灯した、幽玄な社が鎮座していました。
この小さな社が龍鎮神社。
祀られるのは、龍神「高龗神」(たかおかみのかみ)であると、大野の海神社に記してありました。
社の右手には、これぞ龍神が棲まうと言わんばかりの甌穴があります。
仄暗い水底から、じっと何者かが僕を見ているような気がしてきます。
背筋がゾクっとし、こわ~っと一人で佇んでいると、
川下の方に霊域を掃除している方がいました。
ここの氏子の方です。
氏子の方は僕に寄って来てくださって、いろいろとお話を聞かせてくださいました。
彼によると、ここに鎮まる龍神は、その中でも最高位の神なのだそうです。
雨乞いは、この滝つぼで汲まれた霊水を日暮れに松明片手に古大野岳の頂へ運んでなされたそうで、そこにある善女龍王に霊水を捧げたのだと云います。
霊水奉納の後は海神社で「さめ踊り」という演舞が奉納されました。
さめ踊りとは鮫踊りなのか?豊玉姫の正体はサメ(鰐)だったと云いますが。
ともかくも、それは善女竜王や高龗神の名から、やや仏教に寄った話のように思いましたが、数ある聖域を訪ねた僕自身も確かに、この霊地は抜きん出ていると感じました。
しかしこのような場所は得てしてスピリチュアルな人の好物になってしまいがちです。
僕はスピ系の人が苦手なので、今日はゆっくり参拝できて良かった。
当地には、神域に棲息する大蛇の目をみると病気になるという伝承も伝わっており、それは人の身勝手を戒めているのだと思われます。
海神社で雨乞いのために龍神の鎮まる所を探すことになった時、すぐに当地が見出されたとのことですが、すでに往古からここが聖域として守られていたことを地元の人たちは知っていたのでしょう。
今はダムのおかげで道も整備されていますが、本来は簡単に人が入り込めるところではなかったはずです。
正に龍宮そのものと言わんばかりの、このような数々の美しい聖域が今も残っていることに感謝し、あまり俗世の思惑など持ち込まない方が幸せだと、僕は思うのです。
間違いなく、「何か」が棲んでいますね。それが自分にとって幸を運んでくるものなのか、否か。。。想像が膨らみますね!!!
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そうです、ここに立っていると色々なものを見透かされているようです。
とても怖いような、でももう少しそこに居たいような、不思議な気持ちでした。
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