例年の酷暑に気分だけでも涼を、と小ネタ的な記事をアップします。
山口県美祢市秋芳町にある「別府弁天池」です。
秋芳町といえば「秋芳洞」をはじめとする鍾乳洞が有名ですが、カルスト大地特有の景色も見応えがあります。
まるで羊が群れなすような石灰岩の数々。
古代の祭祀跡のような雰囲気さえ漂わせています。
そんなカルスト大地の片隅に鎮座する厳島神社にある湧水池が「別府弁天池」(べっぷべんてんいけ)です。
池から湧き出でる地下水は昭和60年(1985年)に名水百選に選定されました。
当地の伝承によると、そのむかし堅田の長林という林を開墾するために日夜努力していた当地の長者おりました。
長者はある時、夢に現れた老翁に2つの鎌を託され、林を切り開くように言われます。
そこで言われた通りに開墾していましたが、水がなくて困っていました。
そうしたところ、諏訪明神より「これより北にある弁財天を勧請して祭りをすれば、必ず神の恵みがある」とのお告げがあり、早速に社を建立し祭を催すことに。
するとその夜、わかに水が湧き出し、実に清らかな池になったのです。
以来、毎年秋にはこの神与の水に感謝の気持ちをこめ、念仏踊りが奉納されているのだそうです。
水温14. 5℃、カルシウム含有量が20PPmで人間の味覚にあう良水は、毎秒約168リットル湧出し続けています。
この水は地域の方々の飲み水等の生活水でもある為、手や足を池の水に浸ける行為は禁止されています。
しかし光が差し込み、コバルトブルーからエメラルドグリーンにグラデーションを描く奇跡の水は、眺めているだけでも心に涼を届けてくれるのでした。