そうだ、海へ行こう!
1年半経ってもロクな政策を打ち出せない全ての政治家と、不安を煽ることしかできない全てのマスメディアにうんざりな僕は、鳥取に向かうことにした。
あの砂の丘を目指して。
7月末の昼間の砂丘では、こんな油の乗ったボディはこんがりローストになってしまう、そう危惧した僕は宿を取って翌朝一番に行くことにした。
広島の三次では蕎麦屋に泊まったが、今回は寿司屋に泊めてもらう。
鳥取の「常天」(つねてん)さんでは、気さくな奥様とご主人がとても気持ちよく出迎えてくださる。なんと心地よいことか。
そして何より楽しみなのは夕食の寿司。
カウンターに座って目の前でご主人が握った寿司をいただきます。
うまい!回ってない寿司なんていつぶりだろうか。
営業マン時代に接待で行ったきりかも。
写真のネタはほんの一部で、およそ2人前の20貫を一人でいただきました。
高級ネタもずらりと並びます。
大変ごちそうさまでした。
常天の奥様はとても情報通で、鳥取の見どころ、穴場情報もたくさん教えてくださいました。
防砂壁を越えると、
砂~~~~~♪
どこまでも砂の浜が続いているのですが、
中程にはなんとオアシスがあります。
水が湧き出て川になってる。
水量が多い時は池になることもあるそうで。
鳥取砂丘は中国山地の花崗岩質の岩石が風化し、千代川によって日本海へ流されたあと、海岸に集まったものが主な砂となっています。
しかしその地層には時代ごとの火山灰などもあるそうで、それが水の沈下を妨げ、オアシスを形成するのだと常天の奥様が教えてくれました。
中には鹿児島桜島の火山灰の層もあるのだとか。
そしてもうひとつ教えていただいたのがこの丘。
砂丘と言うだけあって、見上げんばかりの砂の丘があります。
これがなんとビル8階建に相当する高さなのだそうで。
うひゃ~せっかくなら一番高いところに登っちゃる!
と勢いよく駆け出した僕は、
ものの数分で呼吸困難に。
ゴールは見えているのに、一向に近づいてこない。
昇っているのか堕ちているのか、今、蟻地獄に飲み込まれる虫の気持ち。
靴の中を砂まみれに、体中を汗まみれにしながら登りつめると、そこには淡く青い海が見えていました。
嗚呼、鳥取の海よ、やっと逢えたね。
よく「鳥取砂丘てちょっと広いだけの砂場やん」って声を聞きますが、それはこの千代川の東側の545haだけを鳥取砂丘だと勘違いしてのことでしょう。
実際はさらに東の福部町岩戸から鳥取市白兎にかけての「浜坂砂丘」を指します。
鳥取砂丘は陸軍の演習地として利用されたこともあり、今でも稀に銃弾がみつかるのだとか。
また平成23年(2011年)に4体の人骨が頭を西に向け縦1列に並べられた状態で発見され、鳥取大学医学部の鑑定で江戸時代後期から明治時代初期に埋葬された30代から40代の男女3体、20代から50代の男性1体と見られることがわかりました。
埋葬された詳細は不明ですが、海難事故で埋葬されたもの、明治時代のコレラ患者が埋葬されたものなどの推測がなされています。
また近年では砂丘の落書き事件が注目を浴びました。
自然公園法では許可なく広告物を掲示することが禁止されていますが、砂丘への落書きが広告物に当たるかどうか、難しい判断が求められました。
今は「日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例」が施行され、これによって落書きが5万円以下の過料の対象となりましたが、未だ落書きは後を絶たないそうです。
とある番組では砂丘に番組名を大書した件で、環境省から厳重注意も受けています。
行き過ぎたTV番組制作やフォトジェニック流行における、「ウケればいいや」という他人に配慮のない愚行とモラルが問われます。
素敵な景色を前に愚痴を言うのは野暮ですが、日本人の誇りを取り戻そう!そう言いたい。
大谷翔平選手のような野球を僕らはプレイできないが、彼のような精神性を実践することは今この時からでもできる。
ゴミを捨てる側になるな、拾う清々しい心持ちを持とう。才能を奢るな、才能を誰かのために役立てよう。
まだかろうじて日本人は愛されている。愛想を尽かされるようにはなるな。
これは僕自身や個人にも言えることですが、政治家やメディア関係者、大企業の経営者、大手広告代理店etc.etc.皆が今、心に刻むべきことです。
誰しもがいつかは死を迎える。
貪欲に溜め込んだ私財はあの世にまで持っていけないが、生きぬいた誇りは持っていけるし、後に遺していけるのだから。
朝の砂丘は汗ばんだ体に海風が心地よい。来てよかった。
ラクダに会えなかったのが少々残念ではあります。
月の砂漠ごっこしたかった。
鳥取砂丘に来たら行きたい場所がもう一つありました。
「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバがある」
平成26年まで47都道府県で唯一スターバックスコーヒーの店舗が存在しなかった鳥取で、平井伸治県知事が発した言葉、それをもとに地元企業「ぎんりんグループ」が開いた喫茶店が「すなば珈琲」です♪
僕はてっきり鳥取砂丘の前に店舗があるものと思っていましたが、そこにはなく、 “新”鳥取駅前店にお邪魔しました。
知事の発言を受けて同年4月に1号店を開店したすなば珈琲ですが、空気を読んでか読まずか、翌年の平成27年5月23日、鳥取県内で初めてのスターバックスコーヒーが開店しました。
これを受けて鳥取県内は騒然となります。知事は「スタバが来てもスナバ県は永久に不滅です」と発言。
「鳥取にはスタバもある…地元すなば珈琲ピンチ?」と記事になり、すなば珈琲では「鳥取駅前店でスタバのレシートを持参すればブレンドコーヒー・税込324円を半額の162円で提供し、スタバよりおいしくなければ無料にする」といった大胆な「大ピンチキャンペーン」を展開。
その後も他メーカーとの積極的なコラボを行うなど、とてもユニークな活動で知られるようになりました。
現在は鳥取県内で10店舗以上の展開を見せる人気店になっています。
肝心なお味はというと、砂丘の砂で焙煎したというコーヒーは思ったよりすっきりとして飲みやすい印象でした。
なんちゃらフラペチーノはさておき、ブラックコーヒーを愛する僕にはスタバのコーヒーは粉っぽいクセが少々強いので、苦手とまでは言いませんが好ましくもなく。
コンビニで手軽に美味しいコーヒーが飲める時代になりましたが、こうした店にも頑張って欲しい。
通販サイトもありましたので、帰宅後、お土産に買った砂焼き珈琲を追加注文させていただきました。
しかしあえて言うなら、やはり砂場の前にすなば珈琲は在って欲しかった、かな。