奈良市秋篠町にある「八所御霊神社」(はっしょごりょうじんじゃ)にぶらり立ち寄りました。
秋篠寺南門の南東、旧境内に鎮座します。
なんとなく名前に惹かれて誘われた神社。
「火雷大神」「崇道天皇」「伊豫親王」「藤原廣嗣」「文室宮田麻呂」「橘逸勢」「吉備大臣」「藤原夫人」を祭神とし、秋篠寺の鎮守社であったと云います。
祭神の面々は「八所御霊」として非業の死、不慮の死を遂げた人物らが中心となっており、火雷神は菅原道真のことであるとする説もあるようです。
創建は奈良時代の宝亀11年(780年)と伝わりますが、不詳な点も多く残ります。
日本には非業・不慮の死を遂げた人物の御霊を祀り、国の守護をしてもらうという「御霊信仰」があり、その典型的な神社となっています。
非業・不慮の死とは今も昔も、人の傲慢により至らしめられたもの。為しておきながら祟りが怖いと祀る、なんとも手前勝手な祭祀です。
しかしながら、祀らぬより祀った方が良いのも事実、国の礎になられた尊い御霊に、手を合わせ頭を垂れることは大切です。
出雲の大国主・事代主祭祀も御霊信仰の始まりと言えるかもしれません。かの大社さまには、早く本来の大国主祭祀に戻していただきたい。
三間社流造の当社本殿は室町時代の造立と言われ、春日大社末社三十八所神社本殿と酷似していることから、その旧社殿の可能性が高いと言われているそうです。
数々の怨霊を生み出した藤原氏の氏神神社社殿が御霊を祀ると言うのも奇縁なもの。
誰しも死からは逃れられないのですから、現代の怨霊を生み出し続ける人たちもそろそろ心を入れ替えて、御霊を祀り、少しでも魂の浄化をなされては如何かと思われます。