宮処野神社:八雲ニ散ル花 土雲歌譚篇 10

冬十月、景行は速見邑に着いた。その土地は広大で美しく、故に碩田国(おおきたのくに)と呼ばれた。 「大君、速見邑の女が来ております」 「うむ、通せ」 海沿いの仮拵えの宮は、凛とした冷たい空気に満たされていた。そこへ一人の女…