試しの鎖でイキった挙句、大量にHPを消費してしまうという失態を犯した僕は、果たして最後まで辿り着けるのか。
いや正直もう帰りたい、そんな気持ちになっていました。
しかしこの先、またこの霊山にトライできる機会があるとは限りません。
そう気持ちを奮い立たせて前に進むと、
おお、なんという絶景!
突然辺りが開けて、かの霊峰が僕を歓迎してくれているではありませんか!
ここは「夜明峠」(よあかしとうげ)。
標高1,600~1,700m付近に位置し、登山道が整備されていなかったころは、ここで夜が明けるのを待ったと言われるのがその由来。
他の景色も最高です。
思えば八丁からの、あのえぐい勾配をここまで登ってきたのでした。
気持ちも軽くなってきた頃、
出ました、「一の鎖」です。
石鎚山山頂まであと1km。
33mの崖に下げられた鉄の鎖。
74mの試しの鎖に比べれば容易ですが、すでにHPを削っているので油断は禁物。
試しの鎖を含む4つの鎖場は近世頃より掛けられたとされ、安永8年(1779年)に鎖が切れ、翌安永9年(1780年)に鎖の掛け替えを行ったという記録が残されています。
もちろんこの一の鎖も迂回路が設定されています。
くれぐれも無理は禁物。
なんとか無事、登り終えました。
僕が今回登っている、石鎚登山ロープウェイ使用の「成就社コース」は石鎚山登拝の表参道と呼ばれています。
他には最も高低差の少ない、石鎚スカイラインから至る「土小屋コース」、裏参道と呼ばれる「面河渓谷コース」などがあります。
一番楽なのは土小屋コースだそうで、登頂まで約2時間半ほどだとのこと。
初心者おすすめはこのコースでしたが、せっかくなら表参道を歩きたいと、僕は成就社コースを選択しました。
ネットの情報では成就社コースも初心者向けだと案内するものが多くありましたが、
まっぢきついよ、このコース。
僕の浅い登山経験でも最恐クラスのキツさです。
この広々とした展望台のような場所は、二の鎖のある場所でした。
ここには登山道最後のトイレもあり、皆ゆっくり一休みしています。
そしてこれ。二の鎖。
ずいぶん悩みましたが、HP枯渇状態の僕は、無理せず迂回路を進むことを選択しました。
怪我しないことが大切です。
よって三の鎖もパス。
と、あれ?鼻の長い石像がありました。
これはもしやサルタ・・・いやまあ違うでしょう。
この辺りからは葉も色付いていました。
「日本七霊山」の一つでもある石鎚山は、山自体が神と崇められていると云います。
なるほど、確かに神々しい。
石鎚山の有名な伝説に、「石鎚の神の投げ石」というものがあります。
その昔、石鎚山の男神と伊曾乃の女神が加茂川の土手で出逢いました。
いつしか二人は恋仲となり、月日を重ねていきます。
ある日、男神は石鎚山頂で修行を積むのでしばらく下山できないと女神に告げました。
女神は「私も石鎚山についていくわ」といいましたが、石鎚山は女人禁制なのでした。
そこで男神は「私が山頂に着いたら三つの大きな石を投げるので、真ん中の石が落ちた所に館を造って待っていてほしい。下山したらそれを目印に君に逢いに行くから」と言い残し、山頂へ修行に行ってしまいました。
それから間もなく石鎚山から三つの大きな石が飛んできました。
そして、女神は真ん中の石が落ちたところに伊曾乃神社を造営し、今も鎮まっているのでした。
ああ、なんとロマンチック。
しかし後日談では、男神は修行が終わった後も伊曾乃の女神に逢いに行かなかったのだとか。
それで怒った女神が追いかけてきたらとの不安のあまり、天に昇ろうとして石鎚蔵王大権現の御姿は右足を上げているのだと云うことです。
/ )
| ̄|/ └┐
| | |なるほどね!
|_|―、_ノ
さて、きました、来ましたー!!
山頂です♪
たっぷり3時間オーバー、4時間近くかかっての登頂です。
足が、もう、やばい。。
ロープウェイ朝一の便で出発したはずなのに、山頂はすでに渋滞しています。
四国霊峰・石鎚山の看板には、標高1,982mの文字。
しかし実際は、今僕が立っている場所は標高1,974mの「弥山」(みせん)になります。
この石鎚山は西日本最高峰と謳われる「天狗嶽」、石鎚神社頂上社がある「弥山」、それと「南尖峰」(なんせんぽう)の三つの峰からなる総体山を呼びます。
弥山にある社殿内には、撮影禁止でしたが3体の神像が祀られています。
祭神は「石鎚毘古命」(いしづちひこのみこと)一神のみですが、神徳の仁智勇を表す玉を持つ神像(和魂 にぎみたま)、鏡持ち神像(奇魂 くしみたま)、剣持ち神像(荒魂 あらみたま)で3体となっています。
石鎚大神は、伊邪那岐命と伊邪那美命の第二子で、天照大神の兄に当たるとされている神です。
礼拝の作法は「二拝→二拍手→心中祈願→二拍手→二拝」と少し特殊になっています。
頂上社の竣工は平成14年(2002年)10月と比較的最近のことで、5月1日~11月3日の間は神職が常駐し、朝拝や夕拝が行われています。
また弥山頂上の磐座に立つこの石の祠は2016年に新設されました。
弥山頂上には神社が経営する山小屋もあり、開山の期間中は一般登山者の宿泊や食事などもできるようになっています。
弥山山頂からの展望は美しく、宿泊してご来光を望むのも良さげです。
空気が澄んで見通しのよい日には、大山を始めとする中国山地、そして九州の阿蘇や九重連山まで望むことができるのだそうです。
そして真の西日本最高峰、天狗嶽がこれ。
美しく紅葉したその姿は、まさに天狗の鼻を彷彿とさせます。
石鎚山は石鉄山、石鈇山(しゃくまざん)、石土山とも表記され、「伊予の高嶺」と麗しい名でも呼ばれてきました。
弥山の上では、この秀峰を眺めつつ昼食を取る人たちの歓談で賑わっています。
僕もコンビニで買ってきたおにぎりを頬張ります。
ふむふむ。
ふむふむ。。
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ごくり。
さて、いきますか、あの先へ。。。
西日本最高峰・天狗嶽、もちろんその頂上も登拝可能です。あなたに勇気があるなら、ね。
足場が狭い分、一層恐怖感に襲われる鎖を降り、そしてその先にある
この龍の背骨の如き岩場の上を、
柵も鎖もロープもないナイフのような岩の上を、歩いて行けるなら、ね。
やっば、こわ。
石鎚山は新第三紀の1500万年前ごろまで、火山として活動していたと言われています。
山体は三波川変成帯を覆う、安山岩からなっています。
この安山岩は環状割れ目噴火によるバイアス式カルデラを形成しており、約2万年前の最終氷期に岩石が砕かれ、このような岩稜の山が形成されたと推定されています。
石鎚山及びその周辺の森林は、暖帯林(カシ林)から温帯林(ブナ林)、標高1,700メートル以上の亜寒帯林(ダケカンバ林、シラビソ(シコクシラベ)林)と変化に富む豊かな植生が広がっています。
亜高山帯針葉樹林は日本最南端のものであり、多様な動物相をも呈しており、クマタカやハヤブサ、ヤマネなどの生息地として重要であることから、国指定石鎚山系鳥獣保護区(大規模生息地)に指定されています。
石鎚山は日本が仏教の影響を受る以前の古くから、「石鎚神のいます山」としてあがめられた名山で、石鎚の古名はイワツチであって、そのツチは南洋系語のチュチで長老を意味し、岩山の頭目という意味でイワツチと呼ばれ、頂上付近の露岩からきたものであるとされてきました。
開山の伝承として役小角の話があり、空海も修行したとされていますが、当山信仰の根源はもっと古くにあったものと思われます。
四国といえば古くは出雲と親交の深かった土地。
出雲の聖なる山の一峰が「天狗山」と呼ばれ、本来は「天宮山」と言ったことを思い出します。
この天狗嶽も「てんぐうだけ」と呼ぶようです。
それにしてもこの場所、
下から見るとこんな場所になります。
最近、地震多いじゃないですか。
頼むから、今グラっと来ないでくれよ、南無三。
頂が見えてきました。
ここが標高1982m、石鎚山の真の頂点。
この先の南尖峰も行けるようですが、これはもうパス。
後ろを振り返って見てみれば、よく来たよ、こんなとこまで。
天狗嶽の頂に鎮座する石祠は、三十六王子社の36番。
それにしても精も根も尽き果てました。
足ばかりでなく、全身が悲鳴をあげています。
今回の登頂で再び思い知ったのは、山を舐めてはいけないこと。
準備を怠ってはいけません。
軽装で登っている人もいましたが、2000m級の山であれば、最低限の装備と水・食料は準備すべきです。
僕が今回舐めてかかったのは、水。
500mlペットボトル1本の水のみ用意していましたが、それでは帰りの分が足りませんでした。
弥山の山小屋でも買えたのですが、もう下りだし、わずかに残った分だけでも足りるだろうと舐めてかかりました。
帰りも相当きついのです。
それで途中で太もも、ふくらはぎがつって歩けなくなってしまい、何度も足を休めながらの辛うじての下山となりました。
これは水不足も大きな原因があります。
結局、朝8時30分にロープウェイに飛び乗り、下山したのは夕方4時を過ぎていました。
予定では2時過ぎには下山するつもりが、この様です。
それでも、この紅葉のタイミングで念願の石鎚山に登拝できたのは嬉しかった。
この景色こそが神からの贈り物。
「代々の帝がお治めになる国に温泉は数あれど、山や水辺が美しいと帝が気に入られた険しい伊予の高嶺。
いざ、にわの岡にお立ちになり、歌を思い言の葉を思案された湯のほとり、林を見ると、樅(もみ)の木は今も茂って鳥の声も変わらない。
さらに未来の遠くまでも、神々しくあらんことよ」
山部赤人も伊予の温泉(道後温泉)を訪ね、謳ったものでした。
So beautiful landscapes and peaceful places! Your pics are really perfect. Thanks for explanations too
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Thank you A JACOB!
I’m glad you enjoyed it ♪
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神々しい山だと思うのですが、滑落してしまう人が毎年居ないのでしょうか。少し心配になる光景です。
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はい、調べてみると事故がないわけではないようです。しかし規制がないところを見ると、無茶をする人は少ないようです。
僕が行った時には鎖を登っている人は僅かで、ほとんどの人が迂回路を進んでいました。
天狗嶽まで行く人も、弥山まで登った人の1割くらいの印象です。
が、それなりに危険な行程なので、やはり無茶はやめたほうが良いでしょうね。
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無茶もなにも、汚い山には普通に誰も登りたくないだけです。
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ゴミひとつなくて綺麗な山でしたよ😊
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穢れた空気の蔓延している場合には綺麗な魂を持つ人々は絶対行きたくない。何故なら穢れた空気がその人々の魂を汚しまくるから。死にたくない我々。
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自分が清らかであれば、穢れに染まることはないですよ。心が弱ければ、まあそんなこともあるかもしれませんが。
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そもそもそんな場所は我々は好きでは無い。
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小汚い山。
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😅
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