三瀧神社跡

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神というのは時に遷され、分祀され、まこと人間の都合良いように祀られることが多い。
立派にしつらえた社殿でさえ人の自己満足に過ぎず、神にとってははなはだ窮屈そうに見えることもある。
しかしそうした神とはつまり人が都合よく形作った姿であって、本来の神の御姿とは違っているのではないか。
本来の神とは、人が祀ろうと祀るまいとに関わらず、ただただ気高く美しいものである。
我々の生き穢き傲慢も意に介さず、今も御座す御姿に、畏み畏み感謝申し上げるのです。

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大田市水上町白不の山中に、あまり知られていない聖跡があります。

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旧「三瀧神社」(みたきじんじゃ)と呼ばれるその場所を訪ねた僕は、当初無事辿り着けるか不安でしたが、住民有志の方々のはからいで案内板や整備がなされ、迷うことはありませんでした。

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案内板が無ければ、このような道を探り当てるのは至難の業です。

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がさりと木々が擦れる音がしました。
猿でもいたのでしょうか。

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道行くこと数分、

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長い石段と竹林の先に、そこは在りました。

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大きくえぐれた谷。

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大きな岩が被さり、岩屋となっています。

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写真ではわかりにくいですが、上から雫のような滝が滴っています。

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この場所を最初に僕に教えてくれたのは脊振山中にご一緒した「磐座女子」さんでしたが、

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大野女史さんご執筆の『続 石神さんを訪ねて』にもご紹介されていました。

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本には次のように記されています。

「水上村郷土史によると、877年9月8日の明け方に天地の震動とともに出雲の方から奇雲が降臨し岩窟に入った。人々は驚いて見に行くと、奇石が2個あった。これは神様に違いないと、小さな祠を建て、オオナムチノミコトとスクナヒコナノミコトを祭り、常世國津神社と称した。その後、境内に流れる滝にちなんで御瀧神社に改め、後に三瀧神社となった。」

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御神体となった二つの岩を探してみます。

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滝は岩がえぐれていることもあって、裏見の滝となっています。

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道はあるのですが不安定なので、足元に注意が必要です。

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ふむ、

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巨岩といえばこれくらいですが、果たしてこれが御神体でしょうか?

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奥の方もごろごろと岩が転がっています。
フレアがいい感じ。

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反対側の岩屋へ向かいます。

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そこにはかろうじて原形をとどめる、朽ちた社殿が。

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淡路島の「いわんど」でも思いましたが、日本の建築美は朽ちても美しい。

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三瀧神社は1971年に水上神社に合祀され、その後参道は荒れ果てていたそうですが、失われかけた地域の宝を守ろうと「高山みらいの会」の声掛けで、近年住民有志の清掃活動をなされているそうです。
おかげで僕は無事、辿り着くことができたのです。感謝。

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この岩屋は、未固結の凝灰岩層の上をデイサイト溶岩が流れ、石清水が少しずつ凝灰岩部分を洗い流した跡のようです。

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人が山中でこの自然の圧倒的な造形美を目の当たりにした時、そこに神を感じえないはずがありません。

人が神を遷したからといって、この地に神は不在なのか。
そんなことは決してありません。僕が跪坐く今もなお、神は気高くそこに在るのです。

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朽ちた社殿の奥の岩から、清水が滲み滴っていました。
人々の信仰があつかった頃、岩窟から湧出する冷水は「お乳がよく出る」「洗うと傷が治る」「飲めば病気が治る」と言い伝えられてきたとありましたが、それはこの水だったのでしょうか。

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下山中、最近薄さが気になるお年頃のつむじの毛がぴーんと立ちました。

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「とうさん、神の気配がしますっ!」
「なんじゃ、また髪のはなしをしている」
「いえ、神です」

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などとエア目玉のオヤジと会話をしていると、

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ktkr!!!

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なんかすごいのが出てきました。

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小さな岩屋に

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小さな命が芽生えています。

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はふぅ、これが御神体の磐座だったのではないでしょうか。
違うかな。

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その造形は一面から見ればアダムスキーさんちのUFOのようであり、

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また別の一面から見れば、炭治郎くんがエイヤっってかち割ったようなスッパリとした断面になっています。

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これはもしや、もとは炭治郎面を下に立っていたのでは。

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だとしたらどんな磐座だったろう、それはまるで龍の背びれのような形ではなかったかと夢想するのでした。

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7件のコメント 追加

  1. narisawa110 より:

    瀧神社のタキって、タギリなのか、タキツなのか色々考えてしまいますね。
    実は、二田物部神社の近くにもタキ神社があって、あの辺りでも結構な古さなんだそうですよ。(宮司さんお話)

    越智は、やっぱり宗像とも習合してますよね、きっと。

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    1. CHIRICO より:

      縁戚関係ってのはもう出雲も海部も物部も宗形も豊も越智もヒボコもなんもかんもぐちゃぐちゃんぷるーでしょうね😅
      あとは何を主体に継承していったかでしょうか。ただ、越智と宗像は何だか近いような気がしています、祭司形態とか。というか越智から出雲の匂いがするんですよねぇ。クナト族で出雲にとどまらず、南下した一族がいたんじゃないかと。宇佐族で「出雲にサルタ族がやってきた」と伝承されているのは、越智がそう伝えたからじゃないですかね。

      三瀧って御瀧からきてるのかもしれませんが、瀧姫三姉妹ってことかもしれんですよ。前々からなぜ末だけ市杵島なのか不思議に思っていました。末っ子も元はタキなんちゃらって名前だったのではないでしょうか。

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  2. mame58 より:

    見事な竹林!炭治郎さんの訓練場かもしれない、、、
    冒頭の文章も美しかったです😊

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    1. CHIRICO より:

      ありがとうございます😊
      竹林といい、炭治郎が錆兎と訓練した場所にそっくりですよ、実写の際はぜひ候補地に入れて欲しい!
      そして 真菰ちゃんは可愛い♪

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  3. Nekonekoneko より:

    びっくりしました。こんな場所に石切り場があったなんて。しかし、竹は広範囲に根が広がる植物ですが、岩を包む様に根が張ったんですかね?美しい映像を見た後、David Bowie のModern Love を聴けたのは良かった。ドラムのリズムとボーカルの絡みが絶妙ですね🐥

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    1. CHIRICO より:

      石切場!石切場ですかね、あの炭治郎面は!
      なんて見事に切ったものです。
      David Bowie、カッコいいおじさんを僕らは失ってしまいました。あんなおっさんになりたい。

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  4. Un posto meraviglioso!!! La natura sorprende sempre!

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