岡山市北区吉備津に鎮座の備中国一宮「吉備津神社」(きびつじんじゃ)にやってきました。
一時期はこちらを「吉備津彦神社」と称したこともあるそうで、少し混乱します。
参道入口に「矢置岩」という磐座があります。
由来には「当社の西北8kmの新山に、百済から来た温羅という鬼神がいた。凶暴で庶民を苦しめた」とあります。
そして大吉備津彦命は吉備の中山に陣取り、鬼神とたがいに弓矢を射合うと、両者の矢が空中で衝突して落ちた。落ちた所に矢喰宮ができ、落ちた矢を置いた岩
がこの矢置岩だということです。
また矢を撃ち負けた温羅は鯉に化けて逃げだし、大吉備津彦は鵜となってこれを追い、捕らえ食った場所に「鯉喰神社」が建てられたと伝えています。
歴史は勝者によって残されていきます。
つまり勝った側は自分たちを正当化するために、善し悪しに関わらず、負けた側を悪者にして伝承する傾向があるということになります。
そうした大吉備津彦・若健吉備津彦兄弟の勝利の話は、民話・桃太郎としても広く言い伝えられることになっていくのです。
そして「鬼」となった敗者、これは新羅の渡来人を先祖とするヒボコ勢を表す意味と、裏日本の出雲王家を指すためであったと考えられるとのこと。
立派な社殿に祀られる主祭神は「大吉備津彦命」(おおきびつひこのみこと)。
第7代孝霊帝の第三皇子で、元の名を「彦五十狭芹彦命」(ひこいせさりひこのみこと)といいます。
吉備津神社の社殿は出雲大社・八坂神社に並ぶ規模を誇る「比翼入母屋造」となっています。
入母屋造の二つの屋根を一つの大きな屋根で結合したもので、全国でも唯一の構造であるため「吉備津造」とも呼ばれます。
比翼造といえば思い出すのは島根の美保神社。
こちらは「比翼大社造」と呼ばれていました。
社伝によれば、大吉備津彦命は吉備中山の麓の茅葺宮に住み、281歳で亡くなって山頂に葬られたとあります。
創建は、5代目の子孫の加夜臣奈留美命によるものとする説と、吉備国に行幸した仁徳天皇によるものという説があります。
加夜臣奈留美命、カヤ臣ナルミ命?カヤナルミ?
カヤナルミは『出雲国造神賀詞』に登場する賀夜奈流美と思われ、飛鳥坐神社に祀られています。
カヤナルミとは出雲王家9代大名持の「布忍富鳥鳴海」(ヌノシトミトリナルミ)のことであり、富家の、つまり事代主・八重波津身の息子の一人です。
大吉備津彦の子孫の加夜臣奈留美と富家の鳥鳴海とは別人なのでしょうか。
よくわかりません。
当地に伝わる特殊神事に「鳴釜神事」があります。
大吉備津彦が討ち取った温羅の生首ですが、死してもなお、うなり続けたのだと云います。
それで頭蓋骨をかまどの下に埋めたところ、数日して大吉備津彦の夢に温羅があらわれました。
温羅は「わしの妻に、この釜で神饌を炊かせよ。幸福が訪れるなら釜はゆたかに鳴り、不幸が訪れるなら荒々しく鳴るだろう」そう告げました。
それが鳴釜神事の始まりであり、釜の音で吉凶を占う神事となっています。
釜戸神(かまどのかみ)は古くは、イズモ族のサイノカミの女神の象徴でした。その釜の湯はお祓いの力があるとされ、古くから神社の神事で使われました。
ここでいう鳴釜神事の湯が沸く音は、イズモ族の怨霊のうなり声を象徴するものなのです。
吉備津神社のもう一つの見所が360mにも及ぶ一直線の回廊。
天正年間(1573-1591年)の造営とされますが、とても情緒深い建物です。
どこまでも続くこの回廊のように、闇の歴史の先は、まだまだ見えないのでした。
本殿の幣束が青と白だったので、一瞬干珠満珠かと思った覚えがあります。
上田秋成の「吉備津の釜」では主人公は磯良ですしね。
と、無理矢理豊玉姫にこじつけてみます。😝
(幣束の色は別の意味でした。)
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なるほど。
吉備に豊族がきていたという根拠は、僕が個人的になんとなく感じているだけです。
でも僕がこれまで考えていた以上に、出雲と豊は近しかったのではないかと日に日に思うようになっています。
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Beautiful Kibitsu shrine! Well shared with beautiful photos ☺️
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The long corridor is especially beautiful.
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Yes absolutely ☺️
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CHRICO様 おはようございます。
5年ほど前、吉備津神社を訪れました。そのとき一番印象に残ったのは「平賊安民」の額。ブログにも書いたのですが、神様をまつる神社には似つかわしくないような言葉だと、あれこれ思いを巡らしたことでした。懐かしい思い出です。
asamoyosi
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asamoyosi様、おはようございます。
「平賊安民」、私も印象的でした。福岡では箱崎八幡宮の楼門に高々と掲げる「敵國降伏」の額でしょうか。平安を願うということでしょうが、物騒な空気も感じられますね。
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吉備津神社は確か数年前に元夫と一緒に行った場所です。元夫は電車の時刻表と運行の組み合わせを考えて出発時間と各々の電車の乗り合わせ時間を割り出し、計画通りに吉備津神社に到着しました。朝に🐥。吉備津神社の長い回廊を見てそれを思い出しました。御神籤の種類がやたら多かったのを覚えています。セルフサービスの御神籤🐣
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御神籤は見落としていました。面白い御神籤もあったのかもしれませんね。回廊は長谷寺に匹敵する美しさです。どこまでも続く道、というのが良いのかもしれません。
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https://pflkwy.wordpress.com/2016/06/09/historico-de-fundacao-do-blog-pflkwy/
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