吉備の中山で出会ったご婦人の妖精がささやきます。
「鬼ノ城にお行きなさいな」
まるでロールプレイングゲームの主人公のように、僕は鬼ノ城を目指すのでした。
真っ白。。
雨が降って来ました。
「鬼ノ城」(きのじょう)は、岡山県総社市の鬼城山(きのじょうさん)に築かれた日本の古代山城。
筑紫方面ではお馴染みの、神籠石式山城とされます。
白村江の戦いで唐・新羅連合軍に大敗した大和朝廷の中大兄皇子は日本防衛のために、対馬~畿内の至る要衝に、1~2年のうちに防御施設を築かせました。
しかし鬼ノ城は史書に記載が無く、築城年は不明とされますが、その一群の城であると考えられています。
鬼ノ城は、桃太郎の鬼ヶ島といった風に吉備津彦の温羅退治伝承地として語られてきました。
それが僕には少々面白くもなく、また近年のパワスポブームで芸能人やユーチューバーやらがガヤガヤやってるのが好ましくなく、これまでさほど興味を示してこなかった場所です。
しかし妖精さんに「奥に、すんごい岩があるわよ」と耳元で囁かれれば来ないわけにはいきません。
まあ、耳元で囁かれてはいませんが。
そして離合もままならない、細い山道をぐいぐい車を走らせて来て見れば、一つの疑問が湧き上がりました。
「ここは本当に、白村江の戦い後に建てられた山城だろうか」と。
山道を走っていて思ったんです。こんなところに山城を建てても、防衛の意味はないだろうと。
瀬戸内で迎撃を想定するなら、黄色のエリアあたりに城を建てると思います。
鬼ノ城は山に深すぎるのです。
また日本海・出雲方面から上陸して来た敵を想定するにしても、中途半端な位置になります。
当然、鬼ノ城の背後に守るべきものも無いのです。
そこで思い浮かぶのが「神籠石式山城」。
北部九州に集中する神籠石は、敵の侵入を阻止する砦というよりは、聖域を守る結界のような意味合いが強いと感じます。
そしてそれら神籠石式山城は、土雲族の伝承地、つまり豊族の末裔らの土地に築かれているのです。
では鬼ノ城が守った聖域とは何か。
そう、妖精さんが囁いた奥のすんごい岩が、ほんとうにすんごかったのです。
さて、鬼ノ城からさらに車を走らせ、岩屋寺の駐車場までやって来ました。
雨、降ってます。
霧、出てきました。
しばし僕はためらいましたが、またここまで来るチャンスもそう無いでしょう。
それにせっかくいただいた妖精さんとの一会を無駄にはしたくない。
僕は傘を取り出し、ひと気のない山道を進むことにしたのです。
こっわ。
後ろから、何者かがついてきているような気が、しなくなくもなくもなくないない。
目的の鬼の差し上げ岩は、この奥にある岩屋寺の境内にあるといいます。
ちなみにそこは、僕が知らなかっただけで、わりと有名な磐座のようです。
「天地無用」の聖地だとか。ほう。
そして岩屋寺周辺には他にも磐座群があり、1時間弱で周回できるようになっています。
でも周回なんてムリムリ。
雨も結構降って来たし、こわいし。
よそ者は帰れ~と森もおっしゃっておられますし。
長い階段を登った先に、
光が差し込み、
開けた場所の奥に、それはあったのです。
「ひゃ~なんじゃこりゃ」
思わず声が漏れます。
まさにロールプレイングゲームのラストダンジョン。
『天地無用!』の魎呼という鬼が封印された洞窟がここなのだ!
ほう。
吉備津彦が退治した温羅の棲家がここなのだ!
ほほう。
でもこれ、サイノカミの夫婦岩ですよね。
僕たち男の子♪
君たち女の子、へいへいへいっ♪
けどなんでしょうか、このヌメっとした質感。
これは相当こだわり派の職人さんのお仕事ですわ。
これまで見てきた天然岩の磐座とは対照的に、かなり緻密に人の手で加工された感じがします。
ひんやりとした洞窟。こわしゅぎる。。
冬至の頃、ここに朝日が差すようなので、日光感性神話を想定しているのでしょうか。
男の子の根元にも窟があって、不動明王が祀られています。
その岩壁が少し抉れていて、これは鬼が差し上げるときに手をついた場所なのかもしれません。
岩手を思い出すね。
こちらの窟は、上部から光が差し込んでいました。
男の子岩の先は周回ルートになっていて、鯉岩の標識が立っています。
温羅が逃げる時に化けたという鯉か。
気にはなりますが、この先は雨で濡れてつるつるだし、生きては帰さぬ気配が濃厚なので今日はこれまでとします。
振り返って男の子を見てみれば、おお見事にそそり立っているではないか。
これはもちろん、お○んちんにも見えるのですが、亀の磐座にも見えるんですよね、僕には。
この辺りでは土師器片が出ているそうですが、それは平安時代のもののようです。
ここで古い時代に、子孫繁栄の祭祀が行われたのは間違いないのでしょうが、それはいつの時代なのか、どの種族なのか。
鬼ノ城が意味することとは何か。
まだまだ古代は、謎に満ちているのでした。
驚きの存在感の磐座ですね。
今の我々の視点ですらそうなのですから昔の方はもっと深い捉え方をしたのでしょうね
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目の当たりにした時、唖然としてしまいました😅
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見事に切って積んで組んで磨いて岩の組み立て祭祀場🦑磐座とは何ぞや🐥
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今では神のよりまし、神体のような意味でしょうね。ただ何でもかんでも磐座と言い過ぎのような気もします。
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…この組み立て式磐座は子供の秘密基地ですかね🐥何だかワクワク🦑
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写真がCGにみえて仕方なかったです。
言葉の力とは、すごいものです😊
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生で見てもCGのようでした😄
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