初瀬路は かしこき道そ 恋ふらくはゆめ 〜『人麿古事記と安万侶書紀』の世界

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日頃より『偲フ花』を応援いただき、ありがとうございます。
そして私「五条桐彦」の初となる著書『人麿古事記と安万侶書紀』をお買い上げいただいた方、心から感謝申し上げます。
この本を書くきっかけとなった、斎木雲州氏との奇跡のような出会いから約一年、駆け足ではございましたが無事著書が日の目を見ることができました。
実本を手にしページをめくった時、他の大元出版の本と同じ「出づ芽」色の見返しを見て、僕はどれほどの感動を覚えたことか。

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15年ほど前のことでしょうか、ふと京都旅行をしようと思い立ちました。
僕は幼少時から神社仏閣好きではありましたが、その頃はまだ、旅行といえば一般的な観光コースを巡るものでした。
京都旅行を計画しているとき、母が言いました。
「平家物語を読んでいきなさい」
なるほど、古都に慣れ親しむには歴史物語を知っていくのも良い。と、すぐさま書店に向かい、現代語訳の平家物語を1冊買い求めました。
そして読んでみると、単なる観光名所の裏側に、往古の人々の儚くも美しい物語が綴られていることに深い感銘を覚えたものです。
滝口寺では滝口入道と横笛の悲恋が、苔むした祇王寺では清盛に捨てられた祇王と若き仏御前の寂しくも温かな日々の名残が、訪ねた僕の目に、その情景をそこはかとなく映し出すのです。
そこから僕の、真の旅は始まったのでした。

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旅に目的が生まれました。
旅先にある人々の営み、自然の中にある太古の息吹、全てが新鮮でした。
この美しい日本を記録しておきたい、僕は目の前に広がる光景をフレームに捉え、写真に残しました。
九州に神功皇后という人の伝承地があると気づき、それらを一つのストーリーとして辿ってみました。
そうした旅を一通り巡り終えた頃、僕は富家伝承を記した一冊の本に出会います。
それが斎木雲州著『出雲と蘇我王国』でした。
そこからは『古事記・日本書紀ではもう満足できないあなたへ ~富王家伝承考察への誘い』でご覧の通りであります。

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僕は専門家ではありません。ちょっと趣き深い旅が好きなだけの一般人です。
なので学校で習うようなきっちりとした古代の探求は、実は苦手です。
勝者の歴史が席巻する中、僕をまことの古代に導いてくれたものは、気の遠くなるほど昔から延々と紡がれてきた「語り」でした。
思えば、平家物語も琵琶法師らが語り継いだもの。
柿本人麿も語り部の人として、古事記の隅に、ひっそりと歴史を伝えていました。
そして貴重な、この国の宝とも言える出雲と日本の真の歴史を語り継いでくださった富家の歴代の方々、その生きた「語り」が、僕を古代の世界へ導いたのです。

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時に命をかけて、僕らの生まれたこの国の、真の姿を伝えてくれた語家の方々に、僕は感謝仕切れぬ想いで一杯です。
僕の人生で、最高の縁を結んでいただいたサイノカミ様に、僕はどれほどの恩返しをしたら良いのか分かりません。
富氏は僕にこう話してくださいました。
「五条さん、本は宝なんだよ。イギリスなんかではお城の最も重要な場所に、本を大切に保管するだろう。古い本は皮張りで装丁も豪華だよね。
そして本というのは宝物をしまう宝箱でもあるから扉が付けてあるでしょ。だからサインをするときにはね、扉に書くのが正式なんだよ」
富氏はなぜ僕を拾い上げてくださり、僕に多くのことを教えてくださるのか、今の僕の立つ場所は本当は別の人が相応しかったのではないかと、未だよく分からないでいます。
この稀な幸福に対し、富氏に僕はどれほどの恩返しができるのだろうか。

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そんな思いに押しつぶされながら、ひとまずこの本が出来上がりました。
僕が書いた本は、たくさん歴史を研究している人や、大元出版の他の本を読んでいる方には物足りないものかも知れません。
しかし日本の宝物である富家伝承の「扉」になれば良いとの思いで書かせていただいた一冊です。
『人麿古事記と安万侶書紀』と『偲フ花』、さらに続く著作をもって、今は僕もなりたいと願っています。
消えつつあるまことを歴史を、語り伝える語家たらんと。

五条桐彦

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『人麿古事記と安万侶書紀』聖地巡礼

眞名井神社
六所神社
戸田柿本神社
那津官家と水城の桜
俵田 白山神社
不破関
高蔵寺
内裏神社
軽寺
熊野道祖神社・下照姫神社
磐余神社
葛木倭文座天羽雷命神社
和歌浦
墨坂
藤原宮趾
大依羅神社
畝尾都多本神社
高津柿本神社
伊柑神社
浮布池
高角山
辛の崎
九十九里浜
意宇の杜
高滝神社
真行寺と赤人塚
戸田の海岸

於美阿志神社
海石榴市

邇幣姫神社と御礼旅

『由比正雪と薄明の月』聖地巡礼

大根地山:前編
大根地山:後編
三保の松原
朝近稲荷
紀州東照宮
和歌山城
隅田の桜
正雪紺屋
張孔堂を探して
正雪首塚

11件のコメント 追加

  1. さいとうよしみ より:

    こんばんは。
    了解しました。ありがとうございました。

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  2. さいとうよしみ より:

    五条桐彦様

    こんばんは。五条様の由井正雪をテーマになさった新刊は、いつ頃の出版の予定でいらっしゃるのでしょうか?。
    差し支えなければ教えて頂けると幸いです。

    五条様の由井正雪像や島原の乱の捉え方を書籍を通して伺いたいのです。

    いいね: 1人

    1. 五条 桐彦 より:

      さいとう様、こんばんは。

      次作につきまして、現在まだ校正をのろのろと作業中です。ちょっと本業の方がえらいことになってまして、バタバタと日々送っているところです。写真撮影に和歌山に出かけたいとも思っており、私の方の作業が終わるのが6月中くらいでしょうか。たぶんそこから、もうひとやりとりするでしょうから、早くても年内か、または来年初旬ごろかと、私は予想しています。
      お待たせして申し訳ございませんが、より良い本に仕上げてお届けしたいと思っておりますので、しばらくお待ちください。また経過も時々、ブログ内でお知らせしたいと思います。

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  3. momoji より:

    CHIRICOさん、こんにちは
    楽天にて御本をやっと
    入手することが叶いました

    静間町の静之窟前で藻塩作りをしている
    古代史好きな師匠に、
    自分が読む前に渡したのですが
    感動のあまり涙が出たそうです☆

    師匠は二度読み返してから、
    今は奥さまにも
    勧めておられるそうなので、
    わたしが拝読するのは
    もう少し先になりそうですが…
    先に師匠に代わり
    お礼を申し上げますm(__)m

    (いつの日かCHIRICOさんに
    サインをいただくのが
    わたしの夢です(^人^)(笑))

    これからもご活躍を
    島根のはじっこから
    応援しております(*^^*)

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    1. CHIRICO より:

      momojiさん、お買い上げ心より感謝申し上げます。
      ご師匠のお涙をいただいて、誠に光栄です。
      もしネットを見られるのであれば、このブログ特集もご紹介ください。お近くの石見なども掲載しております。

      近々、江津の高角山でお会いした田中俊睎さんに、お礼に本を届けに伺いたいと考えています。
      その際にサインと、ご師匠の藻塩を買い求めに伺えたら良いなと思いました。スーパーの精製塩は別ですが、ちゃんと作られた天然塩は本来、しっかり摂ることが生きていく上で重要なのだそうです。
      藻塩作りの風景も、きっと美しいものだろうなと思っています。

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      1. momoji より:

        CHIRICOさん、
        お返事ありがとうございます☆

        静間の塩爺(仮名)は
        ネット環境でないので
        好きそうな記事は
        自分がプリントアウトして
        塩焚きの日に
        持っていこうと思います

        江津で素敵な出逢いがあったのですね(*^^*)
        CHIRICOさんの真心が
        目に見えない導きを呼んでいるように感じました。

        近いうちに、こちらへいらっしゃる予定とのこと、
        とても嬉しいです~(*´∀`)♪

        月2回の塩焚きのどちらかに
        もしタイミングが合えば、
        見学もできます♪
        神迎えの日の塩も
        CHIRICOさん用に
        キープしておきますね(^-^)v
        お逢いできる日を
        楽しみにしています☆

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        1. CHIRICO より:

          それはぜひとも伺いたい!
          今年は雪は結構降っているのですかね。
          基本的に僕の車はノーマルタイヤなので、雪が解ける頃に伺いたいのですが、本当は今すぐにでも飛んでいきたい😊
          大田市まで、流石に日帰りはきついので、伺うとしたら第1・3月火のどちらかになると思います。そのあたりでも塩焚きにタイミングは合うのでしょうか?

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          1. momoji より:

            CHIRICOさん
            ありがとうございます(*^^*)

            塩爺(仮名)から
            本がなかなか戻ってこないので
            そのままプレゼントして
            自分はもう一冊購入しちゃいました~(笑)
            あーこれでやっと読めますw

            ルーツ探しの過程で
            島根の小野族の痕跡も
            ずっと探してきたので
            人麿さんに
            何かしらご縁を感じております☆

            島根の山間部は今でも
            雪があるかもしれませんが
            海沿いがつもることは
            めったに無いので
            多分大丈夫だと思いますよ(^^)v
            (今週はまた寒くなりそうですね)

            塩焚きは月2回で、
            新月満月前後の土日が多く
            塩焚き見学は
            難しいかもしれませんね(;_;)
            (ちなみに次回は
            今度の土日、15~16日予定です)
            雪の季節が終わる頃なら
            3月くらいでしょうか?
            その頃の第1or3月火で
            塩焚きできるか
            塩爺に相談してみます。

            わたしは平日仕事なのですが
            午後休ならとりやすいので
            月火曜日でも
            午後からなら大丈夫ですよ♪

            塩爺共々
            お逢いできる日を
            楽しみにしております

            いいね: 1人

          2. CHIRICO より:

            2冊もありがとうございます☆
            コロナも騒がしいので、3月ごろに落ち着いたら伺いたいですね。
            予定が立ちましたら、ブログにご連絡させていただきます!

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  4. ブサイク王 より:

    いつも楽しく拝見させていただいております。このたびは出版おめでとうございます。私めも購入させていただきました。次回作を楽しみにしています。

    さて、私も歴史が好きで旅をしますが、
    平家物語がらみですと
    鹿ヶ谷の地が忘れられないです。

    後白河院が鹿ヶ谷で平家の悪口を側近という一説ですが、すんごく上り坂なんです。
    後白河院はホントにこんな所に来たのかと思う地です。牛車や御輿で行けるとも思えない地です。そしてそれらしい史跡はほぼ皆無です。

    来年の大河ドラマがらみにぜひ
    行ってみてくださいw

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      ブサイク王さん、ご購入ありがとうございます😭
      銀閣寺方面に行きたいと思っておりましたので、その時は鹿ヶ谷も忘れず訪ねてみます。
      京都では愛宕神社に行ってみたいと思っていますが、こちらもハードルが高そうですね。
      ただ今後は今までのように旅三昧とは行かなさそうな気配です。

      いいね

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