「うむ、いつ見ても、なんと美しいことよ」 タケミナカタは北側から諏訪湖を見下ろす、この小高い山の景色がお気に入りだった。 その先には霊峰富士の、末広がりの姿がことさら美しく見れた。 「ここは威風ある山々に囲まれているとい…
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阿須波神社:八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 番外
「庭中の 阿須波の神に 小柴さし あれは斎はむ 帰り来までに」 – 『万葉集』巻二十・防人の歌 – 千葉県市原市市原の「阿須波神社」(あすはじんじゃ)を目指します。 が、こんなところに!?ってくらい辺鄙な場所に、その神社…
萩の宮・足長公園夫婦岩:八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 29
当社は荻で屋根を葺いていたので、「荻の宮」と呼ばれた 初代大祝・有員が役目を終えた後、崇敬し、広大な社殿を造営したという足長神社。 その元宮らしき場所があるというので訪ねてみました。 細い路地を抜けてたどり着いた場所にび…
守屋神社:八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 番外
長野県諏訪市と伊那市との境には、標高1,651mの「守屋山」(もりやさん)が鎮座しています。 その麓にある「守屋神社」を訪ねてみました。 神社はとてもローカルな場所にあり、ともすれば通り過ぎてしまいそうでした。 この守屋…
折橋子之社:八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 28
この精進屋の話をしている時、野菊さんの瞳が宙に浮かんだようになり、こんなことをいったのである。 「待ってくださいよ。そういえば、その精進屋を、どこかの村で買いとったということを聞いたことがあったけれど。はて、どこだった…
鶏冠社:八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 27
まず、柊の木の下にある末広形の平な石の上に、〈からむしろ〉あるいは〈葦/あし〉を敷き、その周囲を簀(す)の垣で巡らす。 即位石の前には、三個の金壺石(鉄漿石/おはぐろいし)があり、平常は厳重に注連縄が張られていた。 即位…
神長官守矢資料館:八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 26
茅野市宮川、諏訪大社上社の本宮と前宮のちょうど中間に位置する「神長官守矢史料館」を再度訪ねました。 今回はこの資料館がメインとなります。 リアルな動物の剥製を撮ってきました。 閲覧ご注意ください、くれぐれも。 「神長官守…
御座石神社:八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 25
八ヶ岳の山麓にあたる山深い糸萱から、バスに揺られて下ってくると、今まで視界をさえぎっていた山肌が消えて、パッと眺望が開けるところがある。 一面、なだらかな平野で、山の間を流れてきた急流の幾筋かが、合流して渋川と名を変える…
御頭御社宮司総社(ミシャグチ社):八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 24
桓武帝の御代、奥州に悪事の高丸という朝敵がいて、人々を苦しめていた。 帝は田村丸に将軍として高丸を征伐するよう命じた。 田村丸は清水寺の千手観音に願掛けをし、その七日目の夜半にお告げを受けた。 「鞍馬の毘沙門は我が眷属で…
足長神社:八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 23
【手長神社】 諏訪湖の南東、本宮から北東に2km程の場所に桑原郷と呼ばれた場所があります。 その桑原郷はいつの頃か、上桑原と下桑原に分かれ、上桑原に足長神社、 下桑原に手長神社が祀られて今日に至ります。 手長神社は諏訪湖…
諏訪大社 上社前宮:八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 22
さて、東出雲王家・富家の伝承から古代の日本を紐解く『雲ニ散ル花』シリーズですが、「愛瀰詩ノ王篇」シリーズでは東方のエミシ族を率いた王として大彦を中心に執筆してきました。 しかしもう一人このシリーズに欠かせない王がいます。…
諏訪大社 上社本宮:八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 21
「御名方様、洩矢の長老が話に応じると言ってきました」 「そうか、わかった」 タケミナカタらが諏訪にたどり着いた時、先住の洩矢一族の激しい抵抗を受けた。 「彼らの抵抗を受け流すのだ。決して殺しても、殺されてもならぬ。遺恨を…