君が代は 千代に八千代に さざれいしの いわおとなりて こけのむすまで あれはや あれこそは わが君の御舟なり うつろうがせ みがいに命 千歳という 花こそ咲いたる 沖のおんづの 潮早にはえたらぬ つるおにくわざらぬ 潮…
カテゴリー: 神功皇后紀
神在神社〜神功皇后紀 外伝
何と長閑なこと… 穏やかな陽気の中、自分の前後に連なる行軍を眺め、女はわずかに目を細めた。 松浦国では、鏡山の山頂に登り祭祀した。 そこから遥か遠く、海の向こうを眺めてみたが、神の示した異国は見えなかった。 しかし女は、…
出石神社〜日矛伝(神功皇后紀外伝)
男は茫洋と広がる景色の中にいた。 (これは夢か、私は眠っているのか) 男はそう理解した。 しかし見えている映像は、曖昧な夢というには、あまりにリアルで、鮮明だった。 その場所に見覚えがあった。 「誰にも受け入れてもらえな…
磐余の若桜宮〜神功皇后紀 終
2月17日春、大和国磐余に築かれた都、若桜宮には賑やかな笑い声がこだましていた。 数々の武将や一般の民も迎えての大宴会だ。 戦で、片腕を失った者も、片目を失った者も、息子や父、伴侶を失った者もいたが、 この時ばかりは皆、…
氣比神宮〜神功皇后紀 39
「お父様、ただいま帰ってまいりました。」 そこには懐かしい、優しげな風が吹いていた。 琵琶湖のほとり、田園の中にある小高い丘の上で、神功皇后はそっと目を閉じていた。 そこは神功皇后の故郷であり、優しかった父、息長宿禰王が…
逢坂〜神功皇后紀 38
「我々は優勢でございます。 畏れながら、騙し討ちとは納得がいきません」 若く猛る武者、武振熊は物怖じせず、武内宿禰に真っ直ぐに告げた。 「うむ、だが一刻も早く、忍熊王を打ちとらねばならない。 これは皇子様のお命に関わるこ…
住吉大社〜神功皇后紀 37外伝
大阪住吉区にある「住吉大社」(すみよしたいしゃ)は、全国に約2,300社ある住吉神社の総本社です。 博多の住吉神社、下関の住吉荒魂本宮とともに「日本三大住吉」と言われています。 境内に着くと、大きな石燈籠が目に入ります。…
生田神社〜神功皇后紀 36
「今が好機よ」 物部肝咋連は得意の策謀を働かせていた。 忍熊王の軍は思いの外、手強い。 明石の海にさしかかった辺りで反撃を受けた皇后軍は、進退窮まり苦戦を強いられていた。 潮の流れもうまくない。 「こんなところで立ち止ま…
住吉荒魂本宮〜神功皇后紀 35
忍熊王は明石海峡を眼下に望む、小高い岬の上に立っていた。 「うむ、壮観だ。」 陸地には兵士が隊列を為し、海上には勇壮な軍船が所狭しと浮かんでいた。 「父上の主だった群臣はあちらに付いたようだが、兵士の数では我らが圧倒的だ…