佐賀県の「九年庵」の近くにちょっと変わった山があります。
土器山(かわらけやま)です。
土器山は八天山の別称。
山頂で土器をもって神に祈りを捧げていたのが由来です。
八天神社の境内に登山口があります。
土器山は標高429m、登頂時間も約90分程度の決して高い山ではないですが、
その道はなかなか個性的で険しいです。
短時間でアクティブな登山を楽しむのに向いています。
山自体が御神体なのでしょう。
登山口は鳥居をくぐって進みます。
すぐに小さな祠がありました。
遥拝所でしょうか。
清々しい竹林の道が現れます。
しばらく行くと傾斜もきつくなり、土器山独特の道が見えて来ます。
この山は花崗岩に覆われているようで、そこを流れる水が削った、溝のような山道を登ることになります。
足元はやや滑りやすいです。
しっかりした登山靴と手袋を装着して臨みます。
中腹に来ると「中宮菩提寺」が見えてきますが、
ここは崩れ落ちて風化していました。
今にも潰れてしまいそうです。
中宮の近くに清らかな水場があります。
飲める水のようです。
少し口をつけて見ると、甘い水の味がしました。
さらに押し進み、山頂も近くなってくると「親不孝岩」の標識があります。
この親不孝岩を無視して先を進むと、土器山最大の難所にぶつかることになります。
この岩場は、その難所を上から撮影したものです。
あまりの道の細さと両崖の高さに思わず絶句。
なのでよほどのMでない限りはここで迂回して、親不孝岩経由のルートを進むことをお勧めします。
かつて、壮絶な儀式が行われていた親不孝岩。
ここから両足を縛られて突き落とされていたと云います。
これ以上、先に進むのは無理です。
こわすぎる。
親不孝岩から程なく進むと聖地「磐座」が見えてきます。
「上宮・御神体岩」
そこからもう少し先に山頂があります。
まずは山頂からの眺め。
気持ちの良い風を全身に受けたのち、御神体岩へと戻ります。
大きな岩が見えてきます。
不思議な造形の磐座「御神体岩」。
まるで「支石墓」(しせきぼ・ドルメン)のようです。
不安定なはしごを伝って岩の上に登ることもできます。
はしごがずり落ちないように、注意しましょう。
その先にある絶景です。
佐賀平野が一望できます。
角度を変えれば、そこには広大な山々。
岩のそばに小さな祠があり、
瓦のようなものが祀ってあります。
たぶん、この岩の隙間に土器を捧げて、祈祷したのでしょう。
この御神体岩は僕に奈良の三輪山や熊野の神倉神社を思い出させます。
山道はなんとなく宗像の沖ノ島を彷彿とさせました。
土器山は神聖な空気を手軽に感じることのできるおすすめ隠れスポットです。
登山は気合が必要ですが、それに見合うだけの神秘が、そこにはありました。