
宮沢賢治の理想郷「イーハトーブ」を求めて花巻を散策してみます。


まず向かうのは「賢治先生の家」。

賢治先生の家は、今は花巻空港近くの「花巻農業高校」敷地内に移設保管されています。

「賢治先生の家」は「羅須地人協会」(らすちじんきょうかい)という名の私塾でした。

当校の前身「花巻農学校」で教師をしていた宮沢賢治は「農民になれ」と生徒に教える一方、自分自身は俸給を受ける身であることに葛藤します。

やがて教師を辞して自ら農民となることを決意します。

夜はこの「羅須地人協会」にて農民に勉強を教えていました。

学生の元気な声が響く校庭の端に、ひっそり佇む賢治先生の家。

賢治先生はここで、充実した時を感じたに違いありません。

有名な黒板が入り口にあります。

このメッセージには、とある秘密があるようです。
この真意は「先生は畑に行って家は留守にしているが、おやつはそこに置いてあるよ」という優しい心遣いがかくされているのです。
子供たちは学校の帰りに先生の家を訪ね、おやつを探し、勝手に食べては帰るということを楽しんでいたそうです。

家の中に入ります。

「風の又三郎」のマントが飾ってありました。

寒い夜も熱い講義が為されていたに違いありません。

家の中は当時の様子をあたたかに再現していました。

賢治先生の至福の時間が、そのまま止まっているよう。

今にも笑い声が聞こえてきそうです。

外では「花巻農業高校 鹿踊り部」の皆さんが大会に向けての練習をしていました。

鹿踊りは一度見てみたかったのですが、都合上諦めていたので、嬉しい出会いです。

鹿の格好をしているのは一年生の女の子。
勇ましくてとても可愛いです。
お邪魔だったろうに、快く撮影させていただきました。ありがとう!
遠く福岡から、応援しています!



次に向かうは「宮沢賢治 童話村」。

宮沢賢治童話村は、賢治童話の世界を体感できるやや小ぶりなテーマパークです。

メインの施設が5つのゾーンからなる「賢治の学校」。

「ファンタジックホール」は「賢治の椅子」が置かれた空間です。

とても不思議な形の椅子の数々、

それらは賢治の物語の世界へと誘ってくれます。

先へ進むと銀河広がる世界や、

イーハトーブを吹き抜ける風の世界、

イーハトーブに生きとし活けるものたちの世界が広がります。

園内には他にも様々な施設があり、

賢治先生の探究した世界や、

空想したもの、

育んだ自然などを知ることができます。



道に迷ってお腹が空いたらこちらがおすすめ、

「注文の多い料理店」で有名な

山猫軒です。

入る前からワクワクします。

おきまりの「注文」があちこちに書いてありました。

僕自身が食べられることはなく、

「すいとん」セットをいただきました。

宮沢賢治が「ふわふわの雲をたべているやうだ」と言った、すいとんの中を銀河鉄道が走っていきます。

「銀河鉄道の夜」といえば、モチーフとなった眼鏡橋が遠野にあります。

夜のライトアップが美しい。


賢治先生が名付けた「イギリス海岸」。

ぼこぼことした白い石がイギリスっぽいと名付けたそうですが、今はあまり見ることができません。



そしていよいよ花巻市桜町にある「下ノ畑」へやってきました。

のどかな田園の中を歩きます。

この先にあるようです。

37歳で生涯を終える「宮沢賢治」は人を愛し、

自然を愛した作家であり、教師であり、農民でありました。

「賢治先生の家 羅須地人協会」は、元は小高い丘の上にありました。

今、そこには「賢治先生の石碑」が立っています。

賢治が愛した終焉の地は花巻の市街地から離れた「北上川」のそばにあり、目をあげれば遠野の「早池峰山」が望めます。

宮沢賢治はこの風景を愛したのでしょう。

のどかな光景が広がります。

丘を下り「下ノ畑」を目指します。

物語にあるような小道の先に

ありました。

宮沢賢治が汗を流し、生きることの本当の意味と素晴らしさを得た場所。

短い生涯でありながら、誰よりも深く生きた人生。

「イーハトーブ」に僕もたどり着きました。


