
熊野古道街道沿いにある九十九王子のひとつで、大阪府内で唯一現存する王子に「阿部王子神社」(あべのおうじじんじゃ)があります。

熊野三山の使いである三本足のカラス「八咫烏」(やたがらす)に縁のある社です。
鳥居の前の道が旧熊野街道となるようです。

仁徳天皇の創建と伝わります。

ご祭神は「伊邪那岐命」「伊邪那美命」「速素盞鳴命」「応神天皇」。

阿倍野の王子ということで「阿倍野王子」と呼ばれていたそうです。

街中にあって、決して広い敷地ではありませんが、様々な社があります。

境内にはご神木がそびえていますが、

その一柱一柱が神様そのもののようです。


さて境内を出て50メートルほど北に境外社である「安倍晴明神社」があります。

安倍晴明生誕の地とされ、こちらを目当てに訪れる方のほうが多いようです。

晴明誕生というからには、晴明には母親がいます。
「葛の葉姫」(くずのはひめ)がその人。

葛の葉姫は信太の森の白狐だったという言い伝えです。

命を「安倍保名」に助けられた白狐は、女の姿となって保名に恩返しをしますが、そのうちに恋仲になってしまいます。

やがて子を孕み、「童子丸」を出産。

童子丸はすくすくと育ち、のちの安倍晴明となるのです。

ただ、童子丸が5歳の時、保名に自分がかつて助けられた狐であるとバレてしまいます。

バレたからには去らなくてはならないのが、物語の定石。
葛の葉は信太の森へと帰ってゆくのでした。

