那珂川の中流にある小さな村社「日吉神社」は、年初に、いつも訪れるところです。
珍しい下り宮の当社は、普段はひと気もなく、暇な時は僕は、境内でごろごろしてたりします。
当社の祭神は「猿田彦」であるということですが、とある霊能者は、ここには女神がいらっしゃるという話をされたそうです。
以前から当地は懐かしい、心安らぐ気がしていましたが、そんな話を伺って妙に納得したものです。
ただ、参拝者の少ない当社で、その女神はいつも寂しそうにしているとのことなので、もっと足しげく通うべきなのかもしれません。
お正月ばかりは、人の姿もそこそこに見え、姫神も嬉しそうにしているような、そんな気がしました。
またこの神社の横にある杜の清々しさ。
御神木のオガタマノキも優しく見下ろし、
たくさんのマイナスイオンを降り注いでくれます。
風に揺れる葉の音、
周りを流れる川のせせらぎなど、いつ訪ねても、本当にここが好きなんだなと思わせられるのです。
さて、日吉神社から少し福岡方面に向かったところは、「不入道」(ふにゅうどう)と呼ばれます。
その奥に進んだところに、「不入道の滝」という場所があります。
かつて福岡市南区の老司というところに住んでいた僕は、「不入道行き」と表示された西鉄バスに乗るたびに、変な地名だなと思っていました。
その場所に、こんな滝場があると知ったのは、今から十数年前のこと。
そう、不入道の滝は滝行の修行場となります。
参道を進むと、着替場がありました。
その先に修行場がありますが、川を挟んだ対岸に、
いくつかの御堂があります。
そこには修行大師の涅槃像や、
子安観音、
ちょっと奥まったところに
愛宕将軍地蔵が祀ってあります。
愛宕将軍は、勇ましく馬にまたがっています。
そこから元の対岸を見渡すと、大小の御堂が見えていました。
お滝場のあたりに来てみると、たくさんの像や石碑が立ち並んでいます。
ところで不入道という不思議な名前の由来は?と調べてみました。
『筑前國続風土記』によると、
「むかし背振山盛なりし時は、守護不入の地なりと云、此所より上すべて守護不入なりし故に、名付しならん。」
と記されています。
かつて当地は、絶大な勢力を持っていた背振山東門寺の寺領でした。
なので「ここより上は霊地であり、税の取り立てのために役人が立ち入ることを禁ず」としたことが、名の由来だということのようです。
境内でひときわ大きな本堂と思わしき御堂に向かいます。
『筑前國続風土記附録』には、「不入道瀧」の項目に、「大岩あり。梵字を彫刻せり。瀧の観音といふ」と記されているそうです。
ここに祀られるご本尊の「十一面観音菩薩」を覗いてみると、
大きな岩が祀られています。
なんとなく梵字のようなものが彫られた跡が見受けられます。
これが十一面観音なのでしょうか。
本堂を出ると、奥の院へ続くとされる階段があります。
滝を横に見つつ登っていくと、
奥の院と思われる小さな祠があります。
下を見下ろすと、3本に取り分けた滝場が見えています。
そこからさらに裏に回る道があり、
大岩を回り込むように進むと、
数体の地蔵が祀られていました。
ここは岩陰ということもあり、陰の気が満ちているようです。
さすがにちょっと、ゾクッと来ました。
そびえる大岩を撮影していると、背中がゾワゾワしてきます。
なので早々に退散しました。
表に出ると陽の気が降り注ぎ、ホッと一息つけました。
帰りに気づきましたが、奥に御神水が設けてありました。
あえて口にはしませんでしたが、清らかな水が流れる聖地ですので、美味しい水なのでしょう。