愛媛県今治市宮下町の「姫坂神社」（ひめさかじんじゃ）を参拝しました。

参道に入って左手、社務所前にはお稲荷さん。

何稲荷かは不明です。

右手には「青木神社」が鎮座しています。

亀みたいな石がありましたが、これは力石か。

青木神社の祭神は「少彦名神」。
当鎮座地と浅川を挟んで対面の北日吉町一丁目あたりは「青き通り」と呼ばれていたようで、小千（おち）国造が神籬を立てて祀ったのが始まりだそうです。

江戸時代藩主の祈願所として庶民の信仰あつく、病に悩む人々特に「咳」の守護神として、祈願と感謝になぜか草履を奉納する慣わしだったとか。

参道を少し歩いて階段を登ると、

社殿が見えてきました。

祭神は「市杵嶋比賣命」。
往古は、日吉の里「姫の宮」（現在の南日吉町）に鎮座していたそうですが、いつの頃か（江戸時代？）、現在地へ遷座したといいます。

地元では「宮島さん」とも呼ばれているようで、祭神は安芸宮島の厳島の影響がありそうです。

神紋も「三つ亀甲に花菱」であり、厳島神社の「三つ亀甲に花剣菱」から剣を取ったものになっています。

しかしそれは後で付与された設定なのではないでしょうか。
姫坂の姫は、愛媛の姫ではないかと思ってしまいます。

ネット上で情報を探してみると、『神名帳考証』『伊予二名集』に祭神は「屋船豊宇気姫」であると見えるようです。

姫坂神社の姫神は、「常世織姫」であろうと考えていましたが、豊宇気姫＝豊姫だとすると、当たらずとも遠からず、と言ったところでしょうか。

もう一つの境内社には、「大己貴神社」と「大山祇神社」、「山王神社」が祀られていました。

Googleマップで検索すると、今治市町谷にも「姫坂神社」がヒットします。

訪ねてみると、ずいぶんひっそりとした神社でした。

どうやらこちらは「三島神社」でもあるらしい。

参道は鬱蒼として怖いくらいです。

宇宙人的な狛犬が、睨みを効かします。

飛鳥時代末期、元明天皇期に国司「越智玉純」が三島宮として勧請したのが始まりだそうです。

『愛媛県神社誌』によれば、明治41年（1908年）に境内社の姫坂神社を合祀し、昭和21年（1946年）に元の社地へ復社。昭和44年（1969年）に再度合祀したということです。

祭神は大山祇命で、楠谷神社と呼ばれていたとも。

境内社は、大己貴神社・山神社・秋山明神社になります。
左側の大きな拝殿の裏に、

姫坂社奉還の石碑があるので、こちらが姫坂社だろうと思われるのですが、昭和44年（1969年）に再度合祀とあるので、今は本社に合祀されているのでしょうか。
ならばこちらの社殿は一体何？

本社本殿は荘厳な造りです。

当地は、一説に今治市宮下町の姫坂神社の旧地であるということです。宮下町の姫坂神社では、急社地は南日吉町を元鎮座地としていましたので、両者で食い違いがあります。

僕が姫坂神社を訪ねた目的は、多岐神社の御朱印が宮下町の姫坂神社でいただけるとのことでしたので伺った次第でしたが、社務所に立ち寄ると、今は管轄違いで多岐神社の朱印は書いていないとのこと。
多岐神社じたいには、こちらの町谷の方がずいぶん近い位置になります。
目的は果たせませんでしたが、面白い発見もあり、参拝した甲斐はありました。