多祁御奈刀彌神社:常世ニ降ル花 八坂無月篇 01

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我等の聖地「諏訪」其の中央に鎮座まします御祭神の建御名方神は、大国主神(大国さま)の御子神で八重事代主神(えびすさま)は御兄神に当たる。御鎮座の年代について今から約千年前延喜式の神名帳にその名が有り、少なくとも千数百年以上前と言われており、わが国最古の神社の一つに数えることが出来る。又、長野県諏訪市に有る諏訪大社は(宝亀十年(779))阿波から移遷されたとの説もありこれをうらづける説として、
武勇秀でたれば天照大神に豊葦原中国を奉ることを拒み戦ひて長野県信濃國に至り戦利あらず彼地にて崩御、則信濃國諏訪神社尊を奉祀せる官幣大社なり、我諏訪は蓋し尊の御住居地なるか、
一説に尊の戦ひの初めは出雲に近き阿波國の諏訪にて信濃は最後の地なりと有り。更に農耕生産、開運招福、特に武将から勝負の神様として称され戦前戦中氏子が出征する際にはこの神社に武運長久を願ったものである。更に古くは徳島市左古町の山上に諏訪神社あり、これは藩主蜂須賀公が毎年大祭に徳島城より参詣せしが秋季鮎喰川出水の為困難なるにより当社の分霊を此の地に移し佐古の諏訪神社を創立せり。殊に寛文年間(1661~1673)第四世光隆君疱瘡にかかられし際当社に御祈願あり、奇瑞著しかりし事との説が有る。いずれにしても古き時代より氏子は基より、全国の信仰者等多くの参拝の絶えない尊い神社と言われいる。

平成24年10月吉日 多祁御奈刀彌神社

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徳島県名西郡石井町浦庄字諏訪に「多祁御奈刀彌神社」(たけみなとみじんじゃ)が鎮座しています。
こちらは「元諏訪」なのだと伝えられていました。

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元諏訪とはつまり、長野の諏訪大社はここから勧請されたということです。
しかし諏訪大社の祭神・タケミナカタは出雲の八代目少名彦「八重波津身」の息子です。なぜその元宮が四国の阿波なのか。

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以前の僕ならば、「また適当なことを言っているよ」と素通りしたことでしょう。
阿波王朝説・阿波邪馬台国説などがあることは聞いていましたが、さほど興味もなかったのです。

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境内への入り口には、狛犬の代わりに石像の随身像が置かれていました。

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社名からも察することができるように、当社の祭神は「建御名方命」(たけみなかたのみこと)であり、后神の「八坂刀賣命」(やさかとめひめ)を配祀しています。

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江戸時代までの祭神は建御名方命一柱だったそうで、由緒によると「阿府志(あわし)に多祁御奈刀弥神社は諏訪に在り諏訪大明神也 大己貴命の御子なり御母は阿波の高志の沼河姫命天水塞比売命なりと云へり」とあり、タケミナカタの母・沼川姫の郷の高志とは阿波のことであると伝えているようです。
高志国とは越国のことで糸魚川のある新潟にあったことは違えようのない事実ですが、少々気になることもあります。

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珍しい社紋の「違え鎌」、こちらでは「鎌の打ち合い」と呼ぶようです。
この紋を見て、富家の家紋である剣の交差紋を僕は思い浮かべました。また剣ではなく鎌であるという点、これは諏訪で御神木に打ち込むという「薙鎌」をも彷彿とさせます。
果たして出雲族が、御神木に鎌を打ち込むような神事を行うだろうか、その点にひどく違和感を感じたものでした。

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境内の御神木の根元に「力競石」(ちからくらべいし)と呼ばれる石が置かれています。

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これは国譲りの時、タケミナカタとタケミカヅチが力比べを争った石だと云うことです。

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この石は古代から祀られてきたものか、または記紀神話の意向にそって後付けで祀られたものか。
おそらくは後者であると思われますが、あるいはサイノカミを祀った古代祭祀の痕跡なのかもしれません。

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さて、当社が元諏訪であるという謎解きです。
長野の諏訪大社は平安時代中期に編纂された『延喜式』によれば、「南方刀美神社二座」と記されていたそうです。
これはミナカタ・トミと読み解くことができます。
タケミナカタは富家の人なので、そういうことなのでしょう。しかし今、僕の頭には、別の意味合いが思い浮かびます。

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現在の諏訪大社はタケミナカタを主祭神としながらも彼の存在感は希薄です。
実際に諏訪大社四社のうち、タケミナカタを主祭神とするのは上社本宮のみであり、上社前宮と下社春宮・秋宮の主祭神は后神の八坂刀賣となっています。
そこで南方刀美とは、南の方の刀賣、八坂刀賣姫を指しているのであり、南方とは阿波国なのではないかと思い至るのです。

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僕はこれまで、八坂刀賣姫の出自はどこになるのだろうかと疑問を感じていました。ある人は阿曇族であると言っていましたが、阿曇では時代が合わない、しかし阿曇の祖である古い一族であれば納得が行く話となります。そう越智族です。

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当社、多祁御奈刀彌神社の祭神も本来は八坂刀賣姫であり、記紀に合わせて後に祭神を変更したのではないか。
そのように考えて地図を俯瞰すると、越智族が諏訪に至る道筋が見えてくるのです。

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9件のコメント

  1. 匿名 より:

    まとめ

    宇佐古伝や、海部の伝承がスレスレのヤバいところを突いてても怒られずに居たのは基本的に記紀服属であり、とりわけ日本書紀風にしておけば罪には問われなかったと考えられます。
    宇佐古伝は、崇神を神武とすればお咎め無し
    海部は御影を大和宿禰と言わなければ、隠した系図と、穴あきの村熊とカゴヤマを抜いた本系図の全てがバレてもお咎め無し

    つまり、阿波がなんでも阿波紀元節を言っても問題ないのは同じ様な構図を逆利用しているからだと思います

    故に記紀成立後の明らかに後年の神社を利用しても起源説を唱えることができるのは設定上、天孫降臨してるからだと思われます

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    1. 五条 桐彦 より:

      うむむ、なるほど。

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  2. 匿名 より:

    narisawa110
    最近の仮説なのですが
    前宮→物部氏が上書き
    本宮→阿波忌部氏か伊勢阿部氏により上書き(これにより鎌と、イセツヒコの同一視)
    秋宮→安曇氏、中臣家により上書き(四賀地籍)
    春宮→阿智、越知により上書き

    諏訪の神社って昔から善光寺化していたのかもしれません

    実は諏訪神社の密度は極端な話、諏訪よりも、その周辺の方が濃密になっています
    この構図だと、阿智、安曇がミナカタを監視する構図にも矛盾が起きませんし
    下社の御柱のキヤリ(これは山王へ)の掛け声にも繋がる気がします
    確か山王権現は阿智だか越知に近いと思われます

    ミナカタは、奈良における三島(越知)の様に、頼りになる母系として存在していたのだと考えられます

    いいね: 2人

    1. 五条 桐彦 より:

      narisawaさんが教えてくれた天之冬衣のお后様の墓が諏訪にあるという事実、そういうことなのだろうと思います。
      それにしても諏訪周辺は訳わからなくなってますね😅本当の事を絶対にわからなくしてやろうという意思さえ感じます。諏訪にある、それほどの魅力とは何でしょう?

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      1. 匿名 より:

        narisawa110
        冬衣衣の皇后様→宮木諏方神社の刺国若姫ですね。

        もう一つ、混乱の元をw

        第8代クニクルのお嫁さんは3人。
        ウツシコメ、イカガシコメ。
        出雲伝承でも複数の物部の姫が嫁入りしています。
        ウツシコメが曲者で、下記の設定上の物部の祖であるオオヘソキとは兄妹です。
        ヘソキの奥さんは高屋アワ良姫で、その子供がイカガシコメ。
        それが崇神の奥さんになってるわけですから、なんと崇神神武の関係で、記紀においては阿波がチャッカリ天孫降臨してるわけです。
        そうすると阿波が神代にも投影されている可能性が出てきます。

        果たして、不仲のイザナギイザナミの仲違いに口を出せるのは、阿波だったのか越知だったのかww

        阿波や越知が諏訪にも来るわけですよねww

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        1. 五条 桐彦 より:

          おお、確かに!
          しかし、記紀の国産みでは淡路島に続いて四国が生まれておきながら、その後一切四国は無視されています。これは意図的としか思えないのですが、古代からタブーだったのですかね、彼らの話は。

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  3. Nekonekoneko より:

    御神木に鎌🦑一体、御神木に何を鎌で打ち付けたんですかね🐥力石はまるで俎板の様ですし、2体の狛犬は地獄から這い出た魔獣みたいに見えますがな。…カマカマシャーマニズム乙🐣

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    1. CHIRICO より:

      和歌山の鎌八幡宮というものもありますが、御神木に金属を打ち付けるというのは尋常ではない気がします。丑の刻参りとか。

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      1. Nekonekoneko より:

        カマハチまんぐう🐥

        いいね: 1人

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