中ノ島(隠岐島 島前三島)

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みなさん、おはようございます。五条です。
今の時刻は朝の5時。良い子のみんなはまだ、お布団で大好きなママの夢を見ている頃かな。
そんな早朝に僕は何をしているかって?それはね、

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チャリで島を爆走しています♪
何故そんなことをしているのか聞きたいって?じゃあ仕方ないね、ことの成り行きをお話ししましょうか。

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今回の隠岐旅に向けて、僕は2ヶ月前から綿密な計画を立てていました。
どうやったら隠岐島・島前の三島を、2泊3日で余すことなく巡れるか、とね。

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その完璧な計画がこれです。

【1日目】
9:30                七類港から隠岐汽船「くにが」で、知夫里島へ
11:30        知夫里島着 4時間散策
15:51        内航船フェリー「どうぜん」にて、中ノ島へ
16:54        中ノ島着 宿チェックイン

【2日目】
7:00                中ノ島 4時間半散策
12:15        内航船フェリー「どうぜん」にて、西ノ島へ
12:30        西ノ島着 5時間散策
18:00        宿チェックイン

【3日目】
10:20        西ノ島別府港から、隠岐汽船「しらしま」で、境港へ
13:20        境港着

どうです、素晴らしい。

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ところがですね、
知夫里島の散策が1時間くらい早く終ったので、早めに次の船のチケットを取っておこうと、港のチケット売り場に来ました。
すると、なんか売り場の様子がおかしいんです。
カウンターを見てみたら「本日の乗船券販売は終了しました」ってあるじゃない。

・・・は?
どゆことー?

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で、慌てた僕は、チケット売り場のお姉さんを呼んで事情を確かめたんです。

「あの、僕はこれから、中ノ島に行きたいんですけど、これどういうことですかね。フェリー”どうぜん”の時刻表を見たら、この後の15時51分の便がありますよね」
「あっ、フェリー”どうぜん”は、今日と明日はドック入りで就航していないんですよ」
「は?ちょっと待ってください。”くにが”を予約した時に、”どうぜん”も予約しようとしたら、内航船は予約不可なので、直接現地でチケットを買ってくださいと言われたんですが」
「そうですね、電話口ではそう言いますね」
「ドック入りの予定なんて聞いていませんよ」
「でもずっと予定されていたことですから」
「ネットでもそんなこと書いてありませんでしたよ。ともかく僕は車でここまで来て、今夜は中ノ島で宿を取ってあるんです。明日は西ノ島に行かなければならない。どうしたら良いですか?」

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「そうですねぇ、とりあえずここに車を置いて、あなただけ中ノ島に行かれたらどうですか。人を運ぶ便はまだあります。そして明日の朝、またここに戻って、今朝乗ってこられた”くにが”に車を載せて西ノ島に行かれては」

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つまりこう予定していた僕の完璧な計画は、

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こういう変更を余儀なくされたのです。
いや、もうこれしか方法がない。

「わかりました。その人を運ぶ船というのは、次いつ出るんですか」

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「5分後ですっ♪」

南無三っ!
後のことは、とりあえず船の中で考える。僕は車から荷物を取り出し、船に駆け込んだのでした。

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そうしてたどり着いた中ノ島(なかのしま)。
海士島(あまとう)の別名で呼ばれるこの島は、隠岐郡海士町の主島となっています。

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人口は約2,400人で、知夫里島の約4倍です。

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ところで中ノ島に着いた僕でしたが、足がない。
そこで海士町観光協会にレンタカーの貸し出しをお願いしました。

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「すみません、レンタカー借りたいんですけど」
「あいにく今はお貸しできる車がありません」
「え?そんな。本当は車で海士町に来る予定だったんですけど、思わぬハプニングで足がないんです。明日の午前中まで島内を観光したいんですけど、どうしたら良いですか」
「電動アシスト自転車ならありますよ。それで観光されてはいかがでしょう」

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この時の僕の絶望感。
明日の朝10時にはこの港に戻り、知夫里島行きの便に乗らなければ、西ノ島に行く「くにが」に乗ることができません。

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それで結局僕は、翌日の日の出と共に、中ノ島を絶賛爆走することになったのでした。

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とりあえず中ノ島入りした初日に僕は、青いラインの10kmを走って、3社巡りました。
それで港に戻って、夕食をあてにしていた食堂に出向くと、「今日は満席です」と断られました。隠岐の女神はイヂワルです。
明日は島一周の20km(オレンジライン)を走破しなければなりません。空腹で死ぬな、これは。

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とぼとぼと宿にチェックインすると、心身ズタボロの僕を見た宿のご主人が憐れんで、「あり合わせでよければ、何かお出ししましょうか」と夕食を提供してくださいました。

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それがとても豪華で、むしろこっちの方が贅沢だったんじゃないかと思えました。最初から宿の食事を頼んでおけば良かった。
捨てる神あれば、拾う神もあるもんだ。
ズタボロのおっさんの目には、その時キラリと光るものがこぼれたのでした。

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そして初夏の隠岐といえば岩牡蠣です。まさかこんな形で、プリップリの生岩牡蠣を食せるなんて、思いもしていませんでした。感涙。

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アップダウンを繰り返す島道を、1時間半ほど走ったでしょうか。
牛くん、キミたちはどこにでもいるね。

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ちょうど島の反対側あたりに位置する、知々井というところに来ました。

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そこに「穂々美神社」(ほぼみじんじゃ)というのがあったので、参拝してみたのですが、

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うっわ、草に埋もれとる。。

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島の神社は、かつての災害の記録を残している場合も多く、ゆえに高いところに鎮座しているものです。
だから、チャリ漕いで階段登るを繰り返さなければなりません。

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それにしてもすごいな。
こういった神社も風情があって好きではありますが、おそらく氏子さんたちも手が足りていないのでしょう。深い問題です。

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階段も割れている。

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当社の創建は不詳。
元禄16年の『神名記』に記載はなく、天保4年の『隠州風土記』には「客 大明神 素盞鳴尊卜云」とあるようです。

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よって、祭神は「素盞鳴命」(すさのうのみこと)となっていますが、『国内神名帖』の海士郡の中に、「従四位上穂々美明神」とあり、本来は穂々美神を祀っていた神社であったと考えられます。

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では、この穂々美神とは誰なのか。
僕にはミホススミの名前に似ていると、思えてなりません。

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妖怪が潜んでいそうなお社。

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この穂々美神社から西に少し進んだところに、

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日本名水百選にも選ばれた「天川の水」(てんがわのみず)と呼ばれる湧水があります。

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「奈良天平の頃、僧・行基が訪れた際に木陰の洞窟から湧く水に霊気を感じ、ここに建物を建てて聖観世音菩薩をまつり、清水寺と号し、この水を天川(天恵の水)と名付けた」といわれています。

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天川の水は水量が豊富で、1日約400tもあると言われており、この水が枯渇したという記録は残されていません。

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かつては簡易水道水源として利用されていましたが、現在は主に農業用水として利用されており、清水寺境内の聖域として地元住民により大切に保全されていました。

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島の重心あたりにある「奈須神社」(なすじんじゃ)に来ました。

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この頃にはもうふくらはぎがパンパンになっていました。
そして尻が痛い。チャリ漕ぎはケツが痛いというのを、僕は高校生時代ぶりに思い出していました。

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で、続くよねー階段。

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旅は、アクシデントを楽しむものだって、リンちゃんも言っていたよ。たぶん。

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無理だダメだと愚痴っていたら、何も結果は生まれない。愚痴は呪いだと思う昨今。
旅で出会うアクシデントさえも友達にできたなら、人生はとても豊かだと思えてしまうんだよね。

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ようやく見えてきました。

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ここも、荒廃感が漂っています。

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キュートな狛犬さんたちですが、

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あれ?向きが違うんじゃない?

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奈須神社の狛犬さんは神様好きすぎて、本殿をチラ見していました。これはこれで可愛い。

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奈須神社の祭神は「奈須比古命」(なすひこのみこと)。
奈須神は、『国内神名帖』にも「正三位上奈須彦神」とあって古くからこの地に斎われていたようです。

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元禄16年の『島前村々神名記』及び天保4年『隠州風土記』に「奈須大明神 奈須比古命 大巳貴ノ子、日御崎、日神鏡」と記載されており、興味深いです。
ここでいう「大巳貴ノ子」とは、「天佐志比古の子」という意味ではないでしょうか。

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興味深いといえば、この本殿の右側に、

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成長する「石神さん」というものがあります。

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昔、植え付けの終わったばかりの田んぼに、ひと抱えほどの石が落ちていたので、その石を拾い、土手の上に置いておきました。
すると、その石が翌日もまた同じ場所に落ちていたので、「これは子供のいたずらだろう」と思いこの石を道の上に置きました。
するとさらに翌日もまた同じ場所に石が落ちていて今度は子供にいたずらされないように遠くへ運びましたが、また翌日も同じ場所に…。
そこで「この石はただの石ではなさそうだ」と言う事になり、氏神の奈須神社に奉納したところ、不思議なことに今度はその石がだんだん大きくなり、今では横2m、高さ1m、厚さ57cmほどの大岩に育ちました。

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今もなお成長し続けるこの石神様に、地区の人たちは屋根をつけて大切に祀り、奈須神社に参拝する人は必ず石神様にも柏手を打って祈り、帰宅するのだそうです。

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なんとも不思議な石神様ですが、

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隣の立石も気になるー。

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お、ミニコマみっけ。

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ここにも。

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とんだアクシデントではありましたが、終わってみれば、ことさら記憶に残る旅の思い出となりました。
無事、朝の船にも間に合いましたし。
帰りがけ、”あんでぃ”さんと奥様が見送ってくれました。

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島根の果ての地の旅の縁。旅は何があるか分からないからこそ、楽しいものです。

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