畝尾都多本神社:語家~katariga~ 15

奈良県橿原市に、「畝尾都多本神社」(うねおつたもとじんじゃ)が鎮座しています。 当社は天香久山北西麓に鎮座し、「啼澤神社」「哭沢神社」「泣沢神社」の別名があり、その境内は「なきさわのもり」と呼ばれています。 御祭神の「哭…

大依羅神社:語家~katariga~ 14

『夏影の 房(つまや)の下に 衣裁(きぬた)つ吾妹 裏設(ま)けて わがため裁たば やや大に裁て』(1278)  「夏の木陰がかかった部屋で、妻が衣を織っているよ。もし私のためならば、少し大きめに織ってくれない…

藤原宮趾:語家~katariga~ 13

『やすみしし 我ご大君 高照らす 日の皇子 荒栲(あらたへ)の 藤井が原に 大御門 始めたまひて 埴安(はにやす)の 堤の上に あり立たし 見したまへば 大和の 青香具山(あおかぐやま)は 日の経の 大御門に 春山と 茂…

墨坂:語家~katariga~ 12

土形娘子は妊娠したので、お産のために実家に帰っていた。だがそろそろ産まれる頃なのに、何故か知らせが遅い。 ある夜、墨坂の家で人麿は夢を見た。 夢の中で妻・土形娘子の声を聞いた気がした。 ひんやりと柔らかい、細い指の感触を…

和歌浦:語家~katariga~ 11

「若の浦に 潮満ちくれば 潟をなみ 葦辺をさして 鶴鳴きわたる」 万葉歌人「山部赤人」らを魅了した、和歌浦を訪ね歩きました。 「和歌浦」(わかのうら)とは、和歌山県北部、和歌山市の南西部に位置する景勝地の総称です。 そこ…

葛木倭文座天羽雷命神社:語家~katariga~ 10

「どうしたのですか、こんな時分に」 「いや、姉さんと少し話をしたかったから来ました」 大津皇子は姉で伊勢神宮の斎宮である大来皇女に会いに来た。それは表向きは今後の政権についての相談だったが、死の予感から一目会いたいとの思…

磐余神社:語家~katariga~ 09

奈良県橿原市、神山「二上山」に相対するように鎮座するのが「磐余神社」(いわれじんじゃ)です。 街中にあって広い境内。 長い参道の先に社殿があります。 祭神は「神日本磐余比古命」、つまり「神武天皇」が祀られています。 しか…

熊野道祖神社・下照姫神社:語家~katariga~ 番外

福岡にも出雲はあった。 「熊野道祖神社」(くまのどうそじんじゃ)を訪ねてきました。 熊野道祖神社は福岡の要部・大橋にほど近い塩原にありながら、深い杜をまとった趣深い神社です。 境内は決して広くはありません。 しかし不思議…

軽寺:語家~katariga~ 08

人麿は空を見上げていた。ゆらゆら揺れる雲はつかみどころもなく、彼の心情を表しているかのようだった。 久しく土形娘子と逢っていない。二人の逢引きが彼女の母親に知られ、そして会うことを禁じられた。 まだ彼女が、幼さを残す振り…

内裏神社:語家~katariga~ 07

日本最大級の砂浜海岸「九十九里浜」の東の果てに、藤原耳面刀自の墓と言い伝えられる場所がありました。 千葉県旭市に鎮座する内裏神社(だいりじんじゃ)は、弘文帝(大友皇子)妃の「耳面刀自媛」(みみもとじひめ)を祀る神社です。…

高蔵寺:語家~katariga~ 06

千葉県木更津市にある真言宗豊山派の寺院「高蔵寺」(こうぞうじ)を訪ねました。 当院は「藤原鎌足」(ふじわらのかまたり)出生に深い関わりがある寺院と伝えられていました。 山号は平野山(へいやさん)。本尊は聖観世音菩薩であり…

俵田 白山神社:語家~katariga~ 05

天智帝には父親の違う兄がいた。宝姫と高向王・石川臣武蔵との間に生まれた大海人皇子である。 「私は大君となったが、大和はまだ磐石とはいえぬ。兄上の力を私に貸してはもらえぬか。私の次は兄上に位を譲りたいと考えておる」 「大君…