
遠野の外れ、「山口」というところへやってきました。

やや奥まった、ひっそりとした場所に、「デンデラ野」と呼ばれる場所があります。

そこは、ひと気のない場所にススキが群生しているだけのように見えました。

しかしそのススキの中に押し入って見ると、藁葺きの小屋が一つ作ってあります。

ここは柳田國男に遠野の民話を語った「佐々木喜善」(ささき きぜん)の生家の裏手にあたる場所ですが、
その昔、いわゆる「姥捨山」として、老人が寄り添って住んでいた野原だといいます。

寒さの厳しい遠野では幾度かの大飢饉に見舞われています。
草木の根を食べて命を繋いだのは決して大げさではないようです。

そのような中で、弱い赤子やお年寄りは、やむなくして犠牲となっていきました。
今の価値観で当時の物事を推し測ることはできません。
飢えることのない今の時代に、ただただ感謝するばかりです。



デンデラ野からまた少し離れたところに「山口の水車小屋」があります。

茅葺の古い水車小屋は遠野の原風景の象徴として人気の観光スポットです。

この素朴な外観が、昔から変わらない営みを今に伝えています。

しかし、今も現役の水車小屋ですが、老朽化激しく建て直す予定らしいです。
(平成27年9月10日~平成28年3月18日に建て直されました。)

のどかな風景の中で、おばあちゃんから孫へ語られる遠野の昔話。
そんな情景が思い浮かばれました。
