
2017年、桜島を眺めつつ高速船「トッピー」に乗り、僕は屋久島を目指しています。
8年前に1度、僕は屋久島を訪れましたが、その美しさを忘れることはありませんでした。
当時はまだコンデジしか持っていなかった僕は、どうしてももう一度、あの美しい島をカメラに収めたくて再訪を決めたのです。

月の35日は雨だという屋久島は、やや曇天でしたが、なんとか雨は堪えてくれてました。

屋久島は円形に近い五角形の島で、北海道・本州・四国・九州を除く日本全国では7番目の面積の島となります。
島の90%が森林で、島の中央部には九州最高峰の「宮之浦岳」(1936m)があります。
縄文杉トレッキングのガイドさんに屋久島の魅力を聞いてみたところ、屋久島には海岸域に広がる「亜熱帯」の植物相から高山に広がる「亜寒帯」の植物相までが見られ、日本の南から北を縦にぎゅっと凝縮して感じることができるところが一番の魅力ですと言われていました。

屋久島は花崗岩でできた岩山に覆われた島で、豊富な雨量から見応えのある滝も多く存在します。
これは通り道で見かけた「竜神の滝」。

鯛之川の上流にある「千尋の滝」(せんぴろのたき)は落差60m、その広大なスケールに思わずため息が漏れます。
千尋という名前は、千人の人が手を広げた大きさという意味が由来です。
「ファイト一発」リポビタンDのCMロケ地としても使用されたそうです。

島の南西にある「大川の滝」(おおこのたき)は、九州一の落差88mを誇り、日本の滝100選に選ばれています。
滝壺近くまで歩いて行けますので、その大迫力を間近で感じられる涼スポットです。


屋久島の北部、志戸子にガジュマル公園に訪れてみました。
ここでは屋久島の亜熱帯域を感じることができます。

海沿いにある公園内に一歩足を踏み込めば、そこはもう別世界、

まるで魔界に入り込んだようです。

園内はねじれた樹木で一杯です。

志戸子ガジュマル公園内にはガジュマルとアコウという大木があります。
どちらも「絞め殺しの木」(Strangler Fig)と呼ばれていて、他には「絞め殺し植物」や「絞め殺しのイチジク」などとも呼ばれます。

それはガジュマルやアコウが、他の植物や岩などに巻きついて絞め殺すように、あるいは実際に殺して成長するためです。
大木に寄生した絞め殺しの木は、幹からおどろおどろし「気根」を垂らし、幹を強く絡めて締め付け、葉で光を遮ぎり光合成を出来なくさせて枯死させます。

寄り添って来たかと思いきや、いきなり羽交い締めにして口を塞ぎ、窒息死させる恐ろしい木なのです。。

その姿、さながら魔女の如しです。

屋久島は雨が多い風土のため、地中ではなく空中から空気呼吸をする「気根」というものを伸ばすガジュマルなどが多く育ちます。
気根は成長すると地面まで垂れ下がり、太く成長した気根はやがては大元の幹の代わりになっていきます。
するとそこから、また新たな気根が生え、それを繰り返してガジュマルは成長していきます。
長い年月を経て移動するガジュマルは「歩く木」とも呼ばれています。

ところでアコウとガジュマル、僕にはほとんど見分けがつかないのですが、どうやら気根が幹と一体になっているのがアコウ、分離して垂れ下がっているのをガジュマルと呼ぶようです。

向かって左奥がアコウ、右手前がガジュマル、ということでしょうか。

そしてこの公園の主、「大ガジュマル」です。
なんでしょう、このデスメタル感!今にも魔王が降臨しそうです。。

天井からは僕を絡めとらんと気根が垂れ下がっています。

おまけ程度に訪れた志戸子ガジュマル公園でしたが、何気に楽しめました。

ちなみに園内は15分もあれば一周できる広さです。
空き時間にどうぞ。



さて、屋久島の旅の疲れを癒すなら温泉しかありません。
島内にはいくつもの温泉が湧いていますが、どうせなら屋久島らしい温泉はいかがでしょうか。

海岸沿いにある「湯泊温泉」と「平内海中温泉」は干潮時の数時間だけ入ることのできる温泉です。

湯船の外は海、というこのシチュエーションは、通常は海に埋没する温泉なのです。
干潮時だけ姿を現すこの温泉で、一杯引っ掛けると極楽だと思われます。
