登山道も2/3ほどやって来ました。
これが道か!?ってくらい険しくなって来ます。
おかしい。
おっぱ○山なら、経験上、この辺りからなだらかになるはず。
僕は目をつぶり、手でワシづかむように、その形を確認します。
「殺生禁断」の碑が立っています。
なんだか明るい光が。
ひらけた場所がありました。
随分と登って来ました。
「浄行坊墓所」とありますが、
よくわかりません。
そして見えて来ました、かの「百段ガンギ」です。
果てしなく石段が続いています。
かつて、宝満山山頂には「宝満城」という山城が築かれていたそうです。
宝満城は、天文年間に大友家の重臣「高橋鑑種」によって築城され、その後吉弘鑑理の子「高橋鎮種(高橋紹運)」が高橋家を継ぎました。
紹運は嫡男「宗茂」を立花家へ養子に送りこみ、次男「統増」に高橋家を継がせます。
宗茂は立花誾千代姫の婿養子となり、秀吉から鎮西の無双と呼ばれた武将です。
百段ガンギを登り詰めると、石垣の上に遺跡のようなものがあります。
まるでラピュタのよう。
これはインスタが捗ります。
天正14年(1586年)、島津義久・義弘兄弟が九州統一を目指して北上してきました。
立花宗茂は立花山城へ、統増が宝満城へ、紹運は「岩屋城」へそれぞれ籠城し、交戦します。
最前線の岩屋城は落城し、次いで後方の「宝満城」も開城・降伏します。
宝満城はその後廃城となりました。
岩屋城は落城しますが、紹運が必死の籠城戦で時間を稼いだおかげで、嫡男宗茂の立花山城は島津軍の攻撃を辛くも持ちこたえ、豊臣秀吉の九州征伐軍の来援を得ることが出来たと云います。
ここは宝満城の遺跡かと思いましたが、どうやら西院谷の九坊の坊跡のようです。
はっきりとした情報がないので、何ともいえませんが。
~後日、友人から解答を得ました。
なんとこの廃墟は、「松屋レディス」が、紀元2600年を記念して建てた岩窟ホテル跡であると云うことです。
それはそれで、どんなホテルだったのか、こんなとこまで誰が泊まりに来たのか、気になります。~
付近に「閼伽の井」と呼ばれる井戸が二つあります。
山道のすぐそばにひとつと、
少し奥にもうひとつ。
下山して来た初老の人は、山道近くの方が本物だと言っていましたが。
奥の井戸の先には、アドベンチャーな岩の壁がありました。
岩と木が絡み合っています。
山道を進むと、芭蕉の句碑があり、
中宮跡に着きました。
宝満山は大宰府正殿の鬼門(東北)に位置するそうです。
社伝では、天智天皇の代(668年-672年)に大宰府が現在地に遷された際、鬼門(東北)に位置する宝満山に大宰府鎮護のため八百万の神々を祀ったのが神祭の始まりとのことです。
天武天皇2年(673年)、「心蓮上人」(しんれんしょうにん)が山中での修行していると玉依姫命が現れたため、心蓮が朝廷に奏聞し山頂に上宮が建てられたと云います。
登山途中の大きな岩をよく見てみると、梵字が彫られていたりします。
大きなくぼみがあるこちらの岩の上には、
梵字が削り取られたような跡がありました。
宝満山は英彦山、脊振山と並ぶ修験道の霊峰とされています。
古くから大宰府と密接に関わった歴史があり、遺構も多く、日本の山岳信仰のあり方を考える上で重要な山として、2013年文化財保護法に基づく史跡に指定されました。
平成24年には 国指定史跡となり、霊山としては 日本百名山でもある鳥海山と富士山に次いで3番目となるそうです。
綱場が見えて来ました。
山頂が近くなってきています。
袖すり岩を体をこすらないように抜けます。
大きな岩が多くなってきました。
それらは自然にそこにあるというよりは、
何か意図を持ってそこに置かれているよう見えます。
そして見えてきました。
「馬蹄石」です。
この岩の頂に玉依姫が降り立ったと云います。
玉依姫とは龍宮豊玉姫の妹と云われています。
が、古史に実在した豊玉姫に対し、玉依姫はその存在が確認できていません。
僕が調べた範囲では、玉依姫は地方の地主神として、いくつかその名を見ることがありました。
馬蹄石の周囲を旋回するように登って行きます。
九頭の龍馬に乗って飛翔した時についた蹄の跡が残ると言い伝えられる頂部です。
肉厚で、威容を誇る巨岩です。
馬蹄岩まで来たら、山頂はもうすぐ。
最後の石段を登って登頂です。
一陣の風が吹き抜けました。
そこに佇む白亜の社「宝満宮上宮」。
奥に大きな岩が見えます。
全身汗が噴き出していますが、程よい風が体の火照りを冷ましていきます。
この岩の上が、最も高い場所のようです。
全ての男子が目指す、おっぱ○山の頂です。
裏に回ると「肇社」と彫ってあります。
標高830m。
登ってみました。
そこにはもちろん、360°のパノラマが広がっています。
お隣には仏頂山も見えます。
一通り涼を感じた頃、人も少なくなりましたので参拝します。
ポップな色合いの本殿。
玉依姫とはどんな神なのか、そんなことを思いつつ参拝します。
本殿の裏に二つの岩が見えます。
岩の一つには「宝満山上宮」と彫られています。
先まで進んでみます。
そこには気持ちの良い絶景がありました。
鳥になったような、俯瞰の風景です。
苦労して登頂した人にだけ与えられる至福。
修験の山の頂には、確かに神が宿っていました。
玉依姫様、おっぱ○は良いものです。
この世界の豊かさに、感謝。