沼島:鞘型褶曲

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真のおのころ島「沼島」を知りたいなら、クルージングも是非体験するべきです。
しかし僕はこれに参加するか、ギリギリまで悩みました。

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沼島のクルージングは、「おのころクルーズ」と称して、地元の漁師さんが手の空いた時間を利用して船で島を周回してくれます。
数名で利用すると1人2千円程度で利用できるのですが、僕のように1人だと6千円かかってしまいます。

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しかしせっかくここまで来たのだから、思い切って乗船。
ただ1人の僕のために、若手の漁師さんが快く船を出してくれました。

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小気味良いエンジン音とともに、滑るように海面を漁師船が進みます。

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沼島の岸壁を見てみると斜めの縞模様が見られますが、これは中央構造線によって分断されているため、淡路島とは異なる地形が見てとれるのだと言うことです。

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「古水浦」(古水ノ浜)という砂浜が見えます。
この浜には「赤猫」(化け猫)が住んでいて、夜な夜な人々を困らせたという伝説が残される浜です。
この砂浜からは縄文土器が多数発見されており、古くから人が住んでいたことを物語っています。
また、大正10年頃まで、うみがめの産卵を確認していたそうです。

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「観音バエ」と呼ばれるこの岩礁には、むかし千手観音像が流れ着いたそうです。
「バエ」とは岩を意味するそうです。
その観音像は観音寺に安置されています。

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島の南端に出ました。

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「青磯」はその名の通り、全体が青い岩が見られる磯です。

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非常に珍しい岩で、沼島でもこの青い岩が見られるのはここだけだそうです。

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青磯は沼島で最も大きな磯で、中瀬からこの青磯までがチヌ釣りのメッカとして有名なのだとか。

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青磯の隣にある浜は「鏡浦」。
この浜の中央付近の山肌に、鏡のように光り輝く巨石があつたところからこの名がついたと云われています。

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鏡浦を過ぎると、大きな岩が近づいてきました。
ここからがおのころクルーズの山場です。

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巨大な岩は「下立神岩」(しもたてがみいわ)。
かつては上立神岩より高かったと云われる巨岩です。

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この岩は安政元年(1854年)の大地震と津波によって真ん中から折れました。

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その時、岩が重なって中心に穴が空いた状態になったそうです。
ですがこれも昭和9年の室戸台風の直撃を受け、2度目の崩壊となり、現在では巨大な根っこのみの姿を見せています。

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下立神岩を通り過ぎる時、僕には巨大なナポレオンフィッシュに見えました。

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船はどんどん進みます。

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この崖の崩落は、昨年の連続台風によって崩れたものだそうです。
これほど頑強な岩も、自然の力はいとも簡単に打ち崩すのです。

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ぽっかりと空いた穴が見えてきました。

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高さ80mの「屏風岩」(びょうぶいわ)に空いたこの洞窟は、「穴口」(あなぐち)と呼ばれています。

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古事記神話でイザナミの命が死後に住んだとされる黄泉の入り口のモデルとも云われ、またこの穴は東区にある観音堂の裏に通じているという伝説があります。

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しかし洞穴の実際の深さは50m余りというところ。
それでも吸い込まれるような、異様な気配が漂っています。

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この辺りの岸壁が白くなっているのは、ウミウが糞を落とすからだそうです。

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11月から3月まで、越冬するためにウミウとヒメウが本州北部から飛来して、島の南側の岩棚に数百羽の集団で越冬します。

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これらの鳥は昭和46年(1971年)に兵庫県の天然記念物に指定され、ヒメウは日本国内では絶滅の危険が高いとして絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。

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そして目線の先に見えてきました。
そう、上立神岩です。

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と、その手前にあるこの岩礁。
沼島では上立神岩の方が観光の目玉として注目されますが、この岩礁「平バエ」こそが神聖な岩なのです。

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平バエは竜宮の屋根に例えられる神聖な岩。

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下立神岩が崩壊する以前は、上・下の立神岩の間にこの聖なる岩礁があり、まさに国生み神話の様相を呈していたと云います。

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二つの立神岩は「天沼矛」もしくは「天御柱」のように屹立し、平バエはイザナギ・イザナミ両神が国生みを行なった「八尋殿」(やひろどの)さながらだったと云うことです。

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平バエは今も、沼島の人たちは決して足を踏み入れない、最大の聖地として禁則を守り、旧暦3月3日には漁船が大漁旗を立てて平バエを周回する祭り「平バエ祭り」が行われます。

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そんな神聖な岩を間近に見れるのも、おのころクルーズの素晴らしいところです。

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上立神岩の手前にある、あのスフィンクスのようだった岩は「阿弥陀バエ」と呼ばれるそうです。
昔この磯に一体の阿弥陀仏が流れ着いたところから名付けられ、その阿弥陀仏は西光寺のご本尊となっています。
それにしても、仏像がよく流れ着く島です。

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そして見えてきました「上立神岩」(かみたてがみいわ)です。

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高さ約30mを誇る巨岩。
その形状から、国生み神話にある天沼矛のモデルとも、天の御柱のモデルとも云われます。

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海側から見るその形状はどこか有機的で、陸側から見る印象とはまた違っています。
しかしここから国が生まれていったのだと思うと、とても畏れ多い気持ちになりました。

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さて、おのころクルーズのハイライトは終わりましたが、まだまだ沼島の見所は続きます。

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しかしこれほどのシチュエーションが揃っていると、沼島が国生み最初の島「おのころ島」だという説にも説得力があります。

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しばらく進むと白い岩が突き出た場所がありますが、これは「猩々バエ」(しょうようばえ)と呼ばれます。

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昔、漁師の三郎太夫がこの磯の上で狸々と出会いますが、酒を求められたので与えると狸々は喜び、金は家に置いておくと言って姿を消したそうです。
そのお金はいくら遣っても減ることがなく、代々家が栄えたという伝説の残される磯です。

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ゴツゴツとした岩が飛び出た磯は「殿飛」(とのとび)といい、天正9年(1581年)沼島城主の梶原秀景は織田信長配下の三好勢の攻撃を受け、この断崖から馬もろとも入水し最後を遂げたという伝説が残されます。

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この場所では、今も時折、馬のいななく声が聞こえると言い伝えられています。

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太陽が反射し、キラキラと海面が光っていました。

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この場所は「薬師浦」と呼ばれます。

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その昔、沼島で疫病が流行したとき、島を訪れた僧侶がこの砂浜付近はえていた薬草を用いて島民を救ったと云う伝説がその名の由来です。

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クルーズ船が最後に向かうのは、「鞘型褶曲」(さやがたしゅうきょく)という珍しい模様が見れる岩。

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それは、1億年前の「地球のシワ」と言われるもので、平成6年に発見され、引き潮の時にしか姿を現しません。

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今から9200万年前、沼島がまだ深さ30kmのプレート沈み込み帯にあったころ、その沈み込むプレートの運動によってつくられたものです。

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地層が引きずリ込まれる過程で、極度に強い力が加わり褶曲すると、さやの様な形をした同心円状の構造ができます。
それがこのようなマーブル状のシワとなるようで、非常に貴重な褶曲の、この規模のものは、ここ以外ではフランスとカナダでのみ見られるということです。

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ついにおのころクルーズも終わりとなりますが、これほどの面白く、貴重な岩々に取り囲まれた沼島は、まさに神話のおのころ島と呼ぶにふさわしい小島であると思います。

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たった1人の客のために、船を出していただき、丁寧に船の操作をしながら各名所の説明をしてくださった、沼島の若い漁師さんに感謝です。
いや、やっぱり「おのころクルーズ」を体験してよかった。

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おのころクルーズの手配をしてくださったのが沼島総合観光案内所兼、お土産・休憩処の「吉甚」(よしじん)さんです。
こちらでも大変丁寧に接していただけました。

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吉甚に戻った僕は、クルーズのお礼を述べて、ひと休憩させていただくことにしました。
淡路牛乳、とても気になりましたが、ここは一押しの「国生みソーダフロート」をいただくことに。

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ブルーのグラデーションの海を、天沼矛のストローでかき混ぜていただきます。
すると海面にしゅわしゅわの泡が立ち上り、おのころ島のアイスができあがるというイメージ。
見た目の美しさもさながら、甘さを抑えたさっぱりした味がとても美味しく、最後まで楽しませていただきました。

7件のコメント 追加

  1. すごい所ですね。これは6000円でも乗る価値はありますね(^.^) そしてすごい岩の連続です。海もきらきらしてとてもきれいですね(*^^)v

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      思い切って乗って良かったです。
      若い船頭さんもとても親切で、詳しく解説してくれました。
      晴れていたので、とても気持ち良かったです。

      いいね: 1人

  2. 生きる塾 より:

    6000円分のかいはありましたね!
    私も随分と前ですが、琵琶湖遊覧でボート代15000円取られたことがあります。笑
    国生みソーダフロート旨そうですね〜

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      乗って良かったです!
      国生みソーダフロートは見ても楽しいし、飲んでもちょうど良い甘みでした。

      いいね: 1人

  3. Chirico, bellissimo il tuo giro in barca! Grazie per le descrizioni precise! Spiegami una cosa: ci sono tante spiagge in Giappone ma non ci sono mai persone che vanno in spiaggia a prendere il sole come in Italia? In Italia ci sono stazioni balneari ovunque sulle coste.

    いいね: 1人

    1. CHIRICO より:

      Ciao, Alessia.
      Naturalmente, il Giappone ha spiagge sabbiose e molti giapponesi amano nuotare in estate.
      Mi piaceva anche nuotare nel mare fino ai miei vent’anni.
      Ho anche una licenza di immersioni subacquee.

      いいね: 1人

      1. Wow! Che bello! l’isola che hai visitato è molto bella, selvaggia e le rocce stupende. Grazie per queste foto e questo post

        いいね: 1人

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