油山夫婦岩:常世ニ降ル花 朝近残月篇 05

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太陽が人間に「時」を教えた

人間が起きて働いている間も、夜、寝て休んでいる間も時は絶えず流れてやまない。時には形がない。しかし誰にも時が時がたってゆくことはよく感じられる。

人類は太古の昔にこのとりとめなく流れる時に区切りをつけた。それが時刻である。時刻をきめるのには正しくくりかえされる何かのよりどころが必要であった。原始人はこれを太陽に求めた。朝、太陽が東の空に顔を出し夜西の空に沈む。それを一日とし、一日をまたいくつかに分けた。今が何時かというのは太陽の位置でわり出す。そしてつかみどころのない広い広い大空、そこを動いてゆく太陽の位置を、そのつど決定し、時刻をきめる役をするのが日時計である。

地面に棒を立てると、太陽が西へゆくにつれて棒の影も動く。太陽と地球との動きに狂いがない限り棒の影は刻刻正しく動き、正しい時刻と示し、日時計となる。人間は大昔にこの事実を発見し、そして現代においてもこの原理に従った時刻法を世界各国が用いている。日時計は最も原始的でしかも科学的な天文時計である。

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福岡県春日市下白水南の春日丘陵の先端、住宅街に「日拝塚古墳」(ひはいづかこふん)が鎮座しています。

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前方部を西へ向けた前方後円墳で、古墳の規模は全長46m、後円部径26m、同高さ6m、前方部幅36m、かつては周濠がめぐっており、濠を含めた全長は約60mになるといいます。

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当地は弥生時代には奴国の中心地があったとされ、奴の国王墓とされる須玖岡本遺跡からも近い場所にあります。

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内部からは1929年に獣形鏡、金製耳飾、環頭大刀柄頭のほか、装身具、武器、馬具、須恵器などが出土しており、古墳築造は6世紀前半とみられています。

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春分・秋分の日には16km東方の大根地山山頂から朝日を拝めることから、その名がつけられています。
家屋の右側に見える三角形の山が大根地山で、左側の屋根にかかる丸い山が宝満山です。
が、実はこの春分秋分の太陽のラインから大根地山と日拝塚古墳を結ぶラインは微妙にずれており、実際には大根地山山頂からずれて日が昇るのだそうです。

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では春分・秋分の日に大根地山山頂から朝日を拝める場所はどこかというと、それは「油山」(あぶらやま)山中にあるのだと教えてくれた方がいました。
例のあの人「N氏」です。

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油山は市民の森として整備されており、車で乗り入れることも可能なのでチャラっと目的地に辿り着けると思っていました。

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が、思いのほか登らされました。
後で調べたら、もう少し楽に行けるルートがありましたが。

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そして見えてきました、展望所です。

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キャラフルな階段を登ると、

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眼下に見えたるは磐座・夫婦岩です。

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夫婦岩と反対側の背後には

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油山山頂が見えます。
油山は、福岡市城南区・早良区・南区にまたがる山で、名は、聖武天皇の御代に天竺(インド)から渡来した清賀上人が、油山観音正覚寺で日本で初めて椿の実から椿油を精製したことに由来するとされています。

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東麓の柏原遺跡群で弥生時代の石斧が出土していますが、当時近くに集落はなく、低地から来た人がここで木を伐採していたと推定されています。

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二つの岩が並ぶ夫婦岩から東に目線を移すと、

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宝満な丸みを帯びたOPPAI宝満山と、そそり立つ大根地山が見えます。

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正面のとんがった山は若杉山でしょうか。

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そして立花山と三日月山がサイノカミの親子神のように三峰になって見えています。素晴らしい。

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Googleマップで確認するとこのような感じです。
僕は宝満山と大根地山は、夫婦の神奈備だと考えていますので、それを油山の夫婦岩が遥拝しているというシチュエーションにムネアツです。
そしてやはりやはり、大根地山には重要な何かがある。
日拝塚古墳はこの二峰ラインの間に位置しています。

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ただ、この夫婦岩は宝満山・大根地山を正面に向いているのではなく横向きで、二つの岩の峰を結ぶようなラインになっています。

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岩の正面が指すのはこの方向か。
その位置には福岡の西公園、筑前福岡藩祖・黒田孝高(龍光院殿、如水)と、その子で初代筑前福岡藩主・黒田長政(興雲院殿)を祀る「光雲神社」(てるもじんじゃ)が鎮座しています。

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黒田長政公は油山にたびたび来ているようで、この上に国見をした国見岩があるそうです。

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しかし実は現・光雲神社は後に移設されたもので、もともとそこには2代福岡藩主、黒田忠之が建立した荒戸山東照宮(徳川家康を祀る東照宮を分祀したもの。筑前国続風土記に依れば各地の東照宮に劣らぬ壮麗華麗な社殿群であったと伝わる)があったそうです。

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果たして黒田家もこの磐座を神聖視していたのかどうか。

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古代の何者かがここを祭祀の起点としていたことは間違いなさそうですが。

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さて、この夫婦岩の近くに妙なものがあります。

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この熊の彫り物群ではありません。

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これ、日時計です。

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とても精巧な日時計ですが、これは福岡地区、北九州地区、筑豊地区及び筑後地区からなる県内24組合を一丸とする福岡県時計貴金属眼鏡商組合が設置したもののようです。

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時差表グラフなども極めて緻密です。

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そして古代に想いを馳せる、意味深なメッセージ。

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日時計ボディの中は

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タイムカプセルになっているというこだわりよう。

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なぜ唐突に、このような場所にポツンと日時計のモニュメントが置かれているのでしょうか。
日時計の機能としても、木立があって常に日が差すわけでもなく、あまり良い立地とは思えないのです。

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この違和感に対し、N氏も日時計制作に携わった中に古代の秘密を知っている人がいて、暗に当地が古代の起点となっていることを伝えたかったのではないかと推察されます。

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真実は分かりませんが、とりあえずタイムカプセルの中身が気になります。
とんだ暴露もんが入っていたりして。

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この夫婦岩の先は崖になっていていますが、

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進めるギリギリ先に亀の甲羅のような模様の入った岩がありました。

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龍宮、が関わっているということでしょうかはてさて。

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7件のコメント 追加

  1. あちゃりんぐ∞ より:

    今年の元旦に初日の出を拝みに行きました。中央展望台or吊橋を目指していたのに、人の流れにまかせて進んだ結果、こちらの夫婦岩展望台に到着。登ってみると人はわんさかいるものの、方角が違う気がして反対方向の中央展望台を目指しました。

    しかし、小学生の時、社会科見学で行った夫婦岩浄水場があるから夫婦岩展望台なのかと思っていましたが、この夫婦岩があってこその夫婦岩諸々だったんですね!

    道中、熊の彫り物群は見かけましたが、日時計には全く気付きませんでした!タイムカプセルいつ開けるのか気になります。

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    1. CHIRICO より:

      あちゃりんぐ∞さん、コメントありがとうございます♪
      春分の日に大根地山山頂から昇る朝日が見れるというので、その日夫婦岩に早朝から登ってみようかと一瞬考えましたが、たぶん実行しないでしょうね😅
      あのあたりの夫婦岩の地名の由来は、この岩だそうです。タイムカプセルに歴史を揺るがす大暴露ものが入っていると楽しいのですが。いつ開けるのでしょうかね?

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  2. mstk より:

    大学生の頃この公園でアルバイトしていました。懐かしいです。

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    1. CHIRICO より:

      mstkさん、コメントありがとうございます♪
      子供が小さい頃に行ったのが最後で、僕もひさしぶりに油山に行きましたが、昔とあまり変わっていないように感じました。
      とても懐かしい景色が残っていて嬉しかったです。

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  3. Nekonekoneko より:

    🐥見事なぱっかん夫婦岩🪨

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    1. CHIRICO より:

      ぱっかん岩からは桃太郎ならぬ、なに太郎が生まれたのでしょうかね😁

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      1. Nekonekoneko より:

        岩に渡してある縄(ヒモ)から推定すると、おそらくムネアツ爺さんではないかと🐥

        いいね: 1人

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