
ああ、なんて空が青いんだ。

ということで、「調布飛行場」(ちょうふひこうじょう)に来ました。

このセスナ「Dornier 228-212 NG」に乗って、神津島に行きます。

セスナの乗客数は定員19名。
狭くて暑い。

ぶぃ~んと爆音を響かせ、Dornier 228-212 NGが飛び立ちます。

さらば都会よ。

羽ばたけ、翼よ。

見よ、人がゴミの様だ。

本土の海岸を離れると、

すぐに伊豆諸島の島々が見えて来ます。

大島の三原山。

甘食のような利島。
セスナは左側の席に座れたら、ラッキー♪

鵜渡根島(うどねじま)は立ち入り禁止の島。
「鵜渡根后明神」(うどねきさきみょうじん)が祀られています。
というか、どこに船をつけたら上陸できるのか。

ひょろながの新島。

平べったい式根島を経て、

いよいよ、我が愛しき姫神の島、神津島が見えてきました。

青き海原に、ゆったりと豊満な肢体を横たえる、神の島。

明日はあの天上山に登りますよ。

この真ん中の白く平たい部分が、禁足地の「不入ガ沢」です。

空港が見えてきました。

ハロー神津島。
ついに来ちゃったよ。

神津島空港に着くと、宿泊先の「菊乃屋」さんのご主人がお迎えに来てくれていました。
神津島の宿では、送迎付きのお宿が多いです。

神津島は小さな島ですが、平地が少なく坂道の多い島です。
車道も道幅が狭く、レンタカーなどはあまりお勧めできません。
送迎付きのお宿を選ばれた方が、よろしいかと思います。

僕が「菊乃屋」(きくのや)さんを選んだ理由、それは旅で利用する楽天トラベルで予約が可能だった唯一の神津島の宿だったこともあります。しかしその口コミ欄で99%高評価だった中の、たった一つのしょうもない理由での低評価に対する熱いご主人のご返答を見て、最終的に決めました。
僕も小さな店を経営していましたので、あのクチコミシステムの理不尽さには同感するものがあります。

菊乃屋さんは、島の家って感じで、ノスタルジックさを感じるお宿です。
僕はこんなお宿が大好き。
散策の後、部屋に戻った時のこと。差し込む夕日だけの薄暗い部屋で、開けた窓から島風が吹き抜ける、そんなシチュエーションですぐに居眠りしてしまいました。
まったりと過ごすのにも、良いお宿です。

菊乃屋さんの唯一の難点といえば、わりと坂の上の方にあること。
だからこその島風であると思えば、それも苦になりません。

明日登る、天上山登山口に近いのも良い。

島の坂道をてくてく歩いて、前浜へと向かいます。

10分ほどで港へつきました。その一角に、

鳥居が見えます。

この岩礁は以前は陸地から離れていたそうです。
細い、コンクリの路肩のような参道から

味わいのあるシワシワの石を登ったら、

夕暮れに佇む「龍神様」がありました。

龍神様には、「妖怪に取り憑かれ、生きたここちもなく早々に漁を切り上げ、港の中に逃げ込み、竜神様の前を通過すると、妖怪は逃げていった」という伝説が残されているのだとか。

龍神様が見ている景色。
この一帯は「神木」(かんき)と呼ばれ、豊漁と漁船の安全を見守る場所で、正面に「物忌奈命神社」、「天上山不動池」を向く神聖な場所と伝えられます。

「神津島」(こうづしま)は、伊豆諸島の島の一つで、活火山の火山島です。伊豆とはありますが、東京都に属します。

伊豆諸島の有人島としては最も西にあり、夕焼けも美しい島です。

神津島は古くは、伊豆の島々を作るために、神々を集めて話し合う場であったことから「神集島」と書いた、と言い伝えられています。

ある時、神津島の天上山に、島々の神々が集まり会議をしました。
その会議の一番重要な課題は、命の源である「水」をどのように分配するかでした。

そこで次の朝、先着順に分けることが決められました。
いよいよ朝になり、一番早く着いたのは御蔵島の神様でした。御蔵島は最も多くの配分を受け、次は新島、三番目は八丈島、四番目は三宅島、五番目は大島でした。

こうして水は次々と配られたのですが、寝坊した利島の神様が最後にやってきたときには、水はほとんど残っていませんでした。
それを見た利島の神様は怒り、わずかに残った水に飛び込んで暴れまわりました。

この水が四方八方に飛び散り、神津島ではいたるところで水が湧き出るようになったと云うことです。



散策を終えて、菊乃屋さんに帰ってくると、湯が沸かしてありました。
ひとっ風呂あびると、待ちに待った夕食です。

メインはもちろん魚。それも期待通りの金目鯛です♪

伊豆といえば金目鯛です。高級魚ですがババンと大盤振る舞いで登場です。

この南蛮漬けも美味しかったな。何の魚だったっけ。
ピーマンなどは家庭菜園だという話でした。

そして明日葉(あしたば)の和え物。
明日葉は伊豆の名産です。

お櫃にはご飯三杯分くらい入っていましたが、とんだコメ泥棒のおかずのおかげで、米粒ひとつ残さず空っぽになってしまいました。
部屋でふくれたお腹をゴロンと横たえていると、PM8:00ごろ、ご主人が「そろそろ行きましょうか」とのお誘いが。

やってきたのは「ありま展望台」。
そこには、夜空に広がる満天の星が!

満天の星が…あったのですが、今の僕にはこれが精一杯☆

僕の星撮影スキルは、へな猪口だったのでした。
たすけて、菊乃屋えもん~っっ!

ぱぱらぱっぱら~
ハイ、あーまーのーがーわー*・゜゚・*:.。..。.:*・’(*゚▽゚*)’・*:.。. .。.:*・゜゚・*

すっごいよね。これらの星空の写真は、菊乃屋さんのご主人が撮影されたもの。
神津島は2020年12月、東京都初の「星空保護区」に認定されました。
星空保護区とは、光害の影響のない、暗く美しい夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える国際認定制度です。
単に「星がきれいに見える場所」なだけではなく、光害から夜を守ることを目的としている制度です。

神津島は、東京から南へ約180kmと離れており、島民の多くが西側の集落に集中する「一村一集落」なので、集落の周辺を少し離れると外灯もまばらになります。
また、その全ての外灯も、夜空に光がもれず、真下にのみ光が当たる、光害対策型の街灯・防犯灯に取り替えられました。

暗さが増すと、安全性・防犯面でも対策が必要となります。
その理由から、神津島は野宿やキャンプ泊が禁じられています。
島外からのゲストは、必ず島内の宿泊施設に宿をとること、これが来島の必須条件です。

こうした島に暮らす方々の努力によって、美しい島と、心地よい滞在が守られています。
菊乃屋さんも、毎日数便ある航空・船舶便にあわせて送迎してくれ、こんな素敵な星空へも連れて行ってくれました。
カップルには、お二人の素敵な映え写真も撮ってくださります。神津島に来て、菊乃屋さんに泊まって、「ダークスカイ・アイランド」を体感するのも、良いのではないでしょうか。

古代の人々が眺めていた空が、ここにはあります。
夜空の古代遺産が残る島、それが神津島です。



朝が来ました。

朝食は、またしてもコメ泥棒シリーズで、朝からお櫃が空になります。

青い空と、青い海。

この日の午前中は天上山へと登り、午後からはスクーターで島内を駆け巡りました。

島風を感じながら、のんびりツーリングする午後は、素敵なひとときでした。
