姫島 前編:常世ニ降ル花 阿加流孤月篇 06

投稿日:

img_0080-2023-11-24-07-40.jpg

まさか丸い子がもえる日が来るとはね。

b011225-2023-11-24-07-40.jpg

茫洋としたアニメの偉大さを胸に、国東半島の港を旅立つ僕の行き先は、

b011223-2023-11-24-07-40.jpg

姫島だった。

b011217-2023-11-24-07-40.jpg

国東半島の北約6km、瀬戸内海西端、周防灘と伊予灘の境界に位置する離島、それが「姫島」(ひめしま)。
かのヒメコソの神が降臨したことにより、その名が付いたとされます。

a020007-2023-11-24-07-40.jpg

島との行き来は、国東市の伊美港と姫島港を結ぶ、「姫島村営フェリー」を利用します。

b011396-2023-11-24-07-40.jpg

自治体としては姫島全体が姫島村となっており、大分県内で唯一の村でもあります。

b011398-2023-11-24-07-40.jpg

普段はとても長閑な島ですが、鎌倉時代の念仏踊りから発展したといわれる姫島村の盆踊りでは、キツネ踊り、アヤ踊り、銭太鼓踊り、猿丸太夫踊り等がくり出して、とても賑わうのだそうです。

b011405-2023-11-24-07-40.jpg

また、春と秋は旅するアサギマダラが飛来することでも有名で、幻想的な風景を求めて、カメラマンもたくさん来島します。

mg_2810-2023-11-24-07-40.jpg

島の楽しみといえば美食。姫島は車エビの養殖が有名で、速水の瀬戸のタコも絶品。ならばと車エビとタコの天丼を賞味しようではないか。
ちなみに姫島の食堂は、どこもランチタイムを過ぎると閉店してしまうので、お早めにどうぞ。

mg_2811-2023-11-24-07-40.jpg

c1d-2023-11-24-07-40.jpg

b011231-2023-11-24-07-40.jpg

姫島の長さは東西約7km、南北約4kmで東西に細長い形をしています。
島内には「七不思議」と呼ばれるスポットもあり、広範囲に散策することができます。
その散策の足におすすめなのが、

b011235-2023-11-24-07-40.jpg

レンタルの超小型電気自動車です。
1人乗り、2人乗り、4人・7人乗りなどがあるようです。

b011232-2023-11-24-07-40.jpg

狭い島道も、こいつならスイスイ移動できます。

b011233-2023-11-24-07-40.jpg

また、七不思議の他にも、島内にはジオパーク的な見所も多く、チョイ止めで見学するのにも便利です。

b011234-2023-11-24-07-40.jpg

c1d-2023-11-24-07-40.jpg

b011239-2023-11-24-07-40.jpg

姫島の東端に来ました。

b011242-2023-11-24-07-40.jpg

この先には灯台があるのですが、その下の海蝕洞窟内の海面から上2m位の所に、牡蠣が群棲する場所があるそうです。

pb0112382-2023-11-24-07-40.jpg

その牡蠣は海水につかることがなく、食べると腹痛を起こすといわれています。

mg_2807-2023-11-24-07-40.jpg

また阿弥陀三尊の形に似ているので、阿弥陀牡蠣(あみだがき)と呼ばれ、姫島七不思議の一つに数えられています。

b011244-2023-11-24-07-40.jpg

電気自動車を止めて、灯台まで歩いてみます。

b011245-2023-11-24-07-40.jpg

すると、「ハートの切り株」なる案内がありました。
ここ最近、ぽっかりと穴の空いた僕のハートに、愛を注入するのに丁度良さそうです。

b011249-2023-11-24-07-40.jpg

と思ったら、こちらもぽっかりと空っぽで、愛は売り切れでした。

b011252-2023-11-24-07-40.jpg

このハートの切り株は、お姫様のしわざのようです。

b011251-2023-11-24-07-40.jpg

この切り株はまだ生きているのでしょうか。愛が蘇ることを、願いましょう。

b011257-2023-11-24-07-40.jpg

灯台が見えて来ました。

b011260-2023-11-24-07-40.jpg

ひっそりと、旅人の行く末を照らす白い塔。

b011272-2023-11-24-07-40.jpg

姫島灯台は、明治37年(1904年)に初点灯した石造りの灯台です。

b011263-2023-11-24-07-40.jpg

『慶長年間(西暦1596年~1615年)に小倉城主の細川忠興が、豊後国姫島で「かがり火」を焚いて航行する船に便宜を与えた』との記述が残されており、古くから航行する船舶の要衝であったことが知れます。

b011275-2023-11-24-07-40.jpg

c1d-2023-11-24-07-40.jpg

b011280-2023-11-24-07-40.jpg

少し西に戻ったところに「浮田」(うきた)と呼ばれる七不思議があります。

b011282-2023-11-24-07-40.jpg

ある時、姫様が島民へ穀物の作り方を教えることになりました。その農地を造る際に、誤って大蛇の夫婦が住む池を、雌の大蛇ごと埋めてしまったと言い伝えられます。

b011284-2023-11-24-07-40.jpg

そのため、この田が揺れるというので「浮田」と呼ばれるようになったということです。

b011285-2023-11-24-07-40.jpg

また、この浮田には、大蛇に因むむかし話もあるようです。

b011287-2023-11-24-07-40.jpg

姫島は小さな島ですが、『古事記』の国産み神話にも登場します。
イザナギとイザナミが12番目に産んだ女島が姫島とされ、別名を「天一根」(あめのひとつね)と呼ばれています。

b011286-2023-11-24-07-40.jpg

アメノヒトツネ、これは神格化した名前だと思われますが、どのような意味を持つのかわかりません。
ただ、僕は筑紫・伊勢忌部の祖神とされる製鉄の神「天目一箇」(あめのまひとつ)を思い浮かべました。

b011288-2023-11-24-07-40.jpg

姫島が国産みで登場するのは、とても良質な黒曜石がこの島から採れたためであろうと思われます。
天然ガラスと呼ばれる黒曜石は、鉄器が生産されるまでは主要な刃物であり、生きていく上での必需品でした。

b011290-2023-11-24-07-40.jpg

姫島産の黒曜石で作られた石器は、中国地方や四国地方の縄文時代遺跡から発見されており、この時代に広く流通していたことが知られています。

b011291-2023-11-24-07-40.jpg

なにやら、怪しげな水溜りがありました。

b011292-2023-11-24-07-40.jpg

これは「拍子水」(ひょうしみず)と呼ばれる七不思議のひとつで、お姫様がおはぐろをつけた後、口をゆすごうとしたが水がなく、手拍子を打って祈ったところ水が湧き出したのでその名が付いたといいます。

b011297-2023-11-24-07-40.jpg

この水は飲用も可能な炭酸水素塩冷鉱泉で、水温は約25℃です。
近くに源泉(25℃)と、温水を加えた温泉(41℃)を楽しめる施設もありました。

b011331-2023-11-24-07-40.jpg