川淀さん、がんばって!

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「たれよりも命が大切」
「家族のような店」は大火の中に

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2024年1月日午後、北九州市小倉北区魚町、小倉駅前に位置する小さな商店街「鳥町食道街」で火災がありました。
この火災で約2900㎡が焼失し、35店舗が被災。鳥町食道街の全てが失われてしまいました。

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鳥町食道街は昔ながらの古い飲食店が軒を連ね、ノスタルジックな、家庭的な場所でした。

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密かに愛される店が複数あったこの場所で、僕が大好きだったのは、うなぎの名店「川淀」さんです。

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各地のうなぎを食べ歩いた僕の中でも、トップランクの美味しいうなぎを食べさせてくれる名店でした。

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店に入ってうなぎを注文すると、3代目のご亭主が目の前で、丁寧にうなぎを捌いて焼いてくれます。
川淀さんのうなぎは、よくある洗練された食べやすいうなぎというよりも、どこか土の香りを感じさせる、それでいて嫌な生臭さはない、本物のうなぎの味でした。
強いうなぎの味に負けない、それでいてしっかりと本来の味を引き立てるタレは、もちろん創業以来、じっくりと育ててきたものでしょう。

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ご亭主とお母様が切り盛りをしていた、小さなお店。

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そのお母さんが守り続けていた100年床のぬか漬けが、また絶品でした。
こんな素敵な店は、他にそうありません。

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北九州の有名な食堂街の旦過市場では、度々大規模な火災が起きていました。
それで、鳥町食道街では「絶対に火事を出さない」と皆で気をつけており、川淀さんも火を扱うため、特に神経を使っていらっしゃったそうです。

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火災の日、店の近くで上がっていた黒煙にいち早く気づいて119番し、近所の店に避難を呼びかけて回ったのが、川淀さんのご亭主だったのこと。
ご本人たちも逃げる際、お母様が「たれを持ち出そうか」とおっしゃったそうですが、ご亭主は「たれよりも命が大切」と、「持って出らんでいいよ」と答えたそうです。

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確かに、「たれも百年床も大事だった」でしょうが、命があれば、また取り戻せるものも必ずあります。難しい問題はたくさんあり、再興には時間と忍耐も必要でしょう。
でもいつか、またあの「家族のような店」に足を運ぶ日を、僕は夢見てます。ぜひ、がんばってください。そしてまた100年かけて、あのタレと床を後世に残して欲しいと願うのです。

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