そうだ、隠岐へ行こう!
隠岐島(おきのしま)は、実際には約180を数える島々の総称で、隠岐諸島(おきしょとう)または隠岐群島(おきぐんとう)と呼ぶのが正しいと思われます。
その中でもメインとなる有人島が4つあり、島後水道を境に3つの島からなる「島前」(どうぜん)と、1つの島の「島後」(どうご)に分けられます。
このうち、島後には空港があり、出雲空港を介して、福岡からは二段ジャンプでたどり着くことができます。
しかし島前には空港が無く、船で行き来する必要が出て来ます。
休日数も限られた僕は、一度に4島を巡ることは諦め、まずは難易度の高い「島前」をクリアすることに決めました。
そして選んだ行程は、自宅から車で6時間かけて松江の港まで行き、車ごと船で島に渡るという方法です。
隠岐島へのフェリーは、島根半島北側の七類(しちるい)と南側の境港から出ており、行きは七類9:30発の「くにが」に乗り、帰りは境港13:20着の「しらしま」に乗る計画を立てます。
福岡ー松江は、ノンストップで6時間ですから、途中休憩も入れて7時間以上は見ておきたいところです。
境港13:20着でも、自宅着は21:00近くになるわけです。
ところが、フェリーの予約を取ってみると、「行きは車を乗せる方は、出航時間の1時間前までに来てください」と言われました。
まあ、当然と言えば当然です。
というわけで、0時に飛び出して来たったぜ、七類港。どや、もうこんな無理したらあかんお年頃やで、わいも。
途中で仮眠をとりつつも、もし寝過ごしたらという恐怖でさほど睡眠はとれず、ふらふらゆらゆらとやって来ました。もうきつい。
遠く離れゆく七類の港町。感無量DEATH。
さらば、島根半島。さらば、青春の日々。
涙で滲む瞳の先には、美保の岬と大いなる大山の姿が、映っていました。
ハッ、と我にかえり、よだれを拭きつつ看板に出てみると、島前の島影が見えていました。
見よ、あれが神の島だ。
島前は、「島前三島」と呼ばれる知夫里島(知夫村)、中ノ島(海士町)、西ノ島(西ノ島町)から構成される群島です。
この三つの島は元は一つの島でしたが、噴火でカルデラ化し、中に海水が流入してこのようになったのだとか。
カルデラが湖になったり、町になったり、海になったり。日本てスゲえ。
七類・境港から出るフェリーはこの島前三島の他、島後も巡行しますが、便数が少ないので、三島間は島前内航船の「いそかぜ」(漁船サイズ)や車も運べる「フェリーどうぜん」を利用します。
僕の最初の目的地は、隠岐島で最南端、島根本土に最も近い「知夫里島」(ちぶりじま)ですが、
さらにその南端に浮かぶ島は、「神島」(かんじま)と呼ばれています。
知夫里島は、島根県内唯一の村である隠岐郡知夫村の主島であり、村役場が置かれています。
主要産業は、水産、畜産、観光業。
しかし観光と言っても、来る人は3島とも釣り人が多い印象でした。
人口は2022年1月時点で約624人。
僕の学生時代の一学年くらいの人数です。
しかし、島留学や定住支援、子育て支援に力を入れており、2018年には全国1位の人口増加率となったそうです。
知夫里島の港の地名は「来居」(くりい)といいます。
来居港の近くには、「来居神社」が鎮座していました。
おそらく何てことのない地主神を祀る神社なのでしょうが、
謎の階段があります。
登っていくと壁にめり込み、おそらく異世界に転生してしまうのだと思われます。
君もチート能力でウハウハライフをお約束。
港から少し車で走ると、一度も枯れたことのないという「河井湧水」があります。
“た” おされても
“ぬ” かれても
“き” ぼうもて
なぜ”たぬき”なのかというと、昭和20年ごろにペットとして海を渡ってきたホンドタヌキ2匹が野生化し、知夫里島では現在、島民620人よりもむしろ増えているのだと噂されます。
僕も旅の途中でたぬきのカップルに出会いましたが、隠岐4島で唯一たぬきが棲息している知夫里島は、すでにたぬきの支配下にあり、島民も徐々に変身したたぬきに入れ替わっていると云われています。
つまりもう、阿波たぬきとのぽんぽこ合戦の準備は、できているということです。
また、島の覇権を狙っているのは、たぬきばかりではありません。
今回訪れた島前の3島には、どこにでも牛がいました。
牛さんは島のどんなところにも、どこにでもいらっしゃいます。
こんなとこ、絶対落ちたやつおるやろ。
そして当然、牛様は人様よりもえらいので、道を塞がれたら彼らが立ち去るまで、そこで立ち往生しなければならないのです。牛さんお願い、そこどいて~。
果ての島、隠岐。
そこに流れてくるものは、空き缶や流木ばかりではありません。
時には人も流れて来ます。
藤原千春、平の致頼、源義親、
そして、後鳥羽上皇や後醍醐天皇といった方まで、流れて来ちゃいます。
中には、閻魔大王とメル友の小野篁(おののたかむら)さんまで流れて来ていました。
流れてくるばかりではなく、生まれるものもあります。
• 隠岐の海歩 – 大相撲力士(八角部屋所属)
• 隠岐の富士和也 – 大相撲力士(八角部屋所属)
• 佐渡卓 – 元日本国土開発社長
• 田中美佐子 – 女優(隠岐郡隠岐の島町、海士町出身)
• ながいのりあき – 漫画家
• 中川秀恭 – 哲学者
• 永海佐一郎 – 化学者
• 濱根隆 – 吉本興業所属のお笑いタレント、漫才師(濱根・杉本)、エアコンクリーニング店(エンジョイライフHAMINI)の経営者
• 平野甲斐 – サッカー選手(ブリーラム・ユナイテッドFC所属)
• 枡田史子 – 元山陰中央テレビのアナウンサー、退社後はフリーアナウンサー(隠岐の島町、旧布施村出身)
• 仁支川峰子(西川峰子) – 女優
• 横地治男 – 柔道家、講道学舎を創設
• 池田裕子 – アイドル
• 井手上漠 – モデル(海士町出身)
Wikipediaには、こんな方々が隠岐島にゆかりある人物として挙げられていました。
ぶらりと立ち寄ったこの神々しい神社は「大山神社」。
大山祇命を祀ります。
島内の神社は大切に守られつつも、手が及ばず、風化しつつあるものが多く見受けられました。
そしてなぜか、春日造りのものが多い。
この日最後に訪れたのは、「知夫赤壁」(ちぶせきへき、ちぶりせきへき)でした。
これはなんか古墳らしい。
車を止めて少し歩くと、
おお、見えて来ました。
隠岐旅の見どころの一つが、これらのジオサイト。
赤壁は、知夫村の西海岸にある高さ50から200mの巨大な赤い岩石の壁になります。
600万年前の噴火活動で外輪山が形成され、500万年前の噴火活動で粗面岩のマ岩脈が形成されたとされるとのこと。なるほど、わからん。
色が赤いのは、酸化鉄によるためだそうで、隠岐ユネスコ世界ジオパークの他、国の名勝および天然記念物に指定されています。
NHKの朝ドラ「だんだん」のロケ地にもなったそうですが、とにかく怖い。
おたまも程よく”ひゅん”として来ましたので、そろそろ次の島へと向かうことにしました。
「落とし穴」って?と思っていたのですが、お聞きするのも・・・と遠慮しておりました。大変でしたね。
私もインバウンド、大反対。高野山でも多くの外人が来ています。そのための経費がかかるとかで、入山料を徴収しようと考えているようです。昔からの信仰よりインバウンド優先の風潮には絶対に賛成できません。
京都や奈良などに出かけるのも躊昨してしまう今です。
asamoyosi
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日本に興味を持って、大切にする意思のある方々は良いと思うのですが、円安でなだれ込むオーバーツーリズムは、日本文化に悪影響です。
小さな島国に、インバウンド政策は悪手そのもので、ものづくりの国として、舵を取るべきです。
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五條様 おはようございます。
いつもありがとうございます。
隠岐の島、車で行けるんですね!知らなかった・・・。
田舎に住んでいて、年をとるとドアtooドアでなければなかなか出かける気がしません。
もろ観光旅行ですが、ひとつ夢が出来ました。年を取り過ぎないうちに何とかしなければ・・・。
asamoyosi
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asamoyosi様、
車で行けるには行けるのですが、遠い道のりでした😅
しかもこの後、思わぬ落とし穴が待っていました。
幸運だったのはお天気で、結果的には、とても気持ちの良い旅となりました😊
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