日本三大八幡宮の一つ、「筥崎宮」（はこざきぐう）。

博多湾から真っ直ぐに伸びた参道の先にある楼門は、「敵国降伏」の扁額を高く掲げ、海の果てを睨みます。

鎌倉中期の蒙古襲来の際には、俗に云う“神風が吹き、未曾有の困難に打ち勝った”ということから、厄除・勝運の神としても広く親しまれています。

その筥崎宮のお膝元に、昭和初期を思わせる、レトロな建物があります。

そこで営まれている「ナガタパン」。

昭和47年（1972年）、福岡県春日市に永田亀一さんが開店した小さな町のパン屋「パン・ナガタ」は、パン好きの福岡民であれば知らない人はいない名店です。

「パン・ナガタ」は福岡で初めて石窯を取り入れたベーカリーとしても知られています。
その「パン・ナガタ」は春日本店の他に那珂川店があり、箱崎店として出店したのが当店だったはずなのですが、

当店だけは「ナガタパン」と店名を変え、ホームページも別々になっている様子。
ん？老舗あるある、ってやつですかね？

まあ、そんな下世話な話はさておいて、美味しいものは美味しい。
もし運が良ければ、「ナガタパン」ではシックな2階でイートインすることができます。
運が良ければ、というのは、席数が限られているから。

屋根裏部屋のような素敵な2階では、筥崎宮を参拝する人たちの姿などを眺めたり、読書をしながら、美味しいパンとコーヒーをいただくことができます。
ただし、会話は禁物。静かな時間を過ごす場所となっています。

これまで、「ナガタパン」にばかり気を取られていましたが、そのお隣もお店になっていました。

こちらは茶房「筥崎 鳩太郎商店」（はこざき きゅうたろうしょうてん）さんです。

天正15年、豊臣秀吉が島津氏征討を果たした帰途に、博多に寄り筥崎宮に20日滞在しました。
この際、秀吉は千利休や博多豪商の宗湛らとたびたび茶席を設けたそうです。
特に、松原のえびす堂の傍らの松に小釜をつるし、松葉を集めて湯を沸かした茶席は有名で、後に「筥崎茶会」と呼ばれるようになりました。


「筥崎 鳩太郎商店」さんはこの茶会をコンセプトとしているとのこと。

僕がオーダーしたのは、一番人気の「鳩太郎の七輪団子」
自分で団子を焼き焼きして、好みでトッピングするという、とても楽しくて美味しい甘味です。

白とよもぎのお団子は、焦げ目がしっかりつくくらい焼いた方が美味しい。
その焼き上がるまでの時間を、静かに眺めるもよし、会話を楽しむもよし。

「筥崎 鳩太郎商店」さんは、甘味の他にも全11種類の樽生クラフトビールや世界のビール、名物おでん、元寇鍋、新鮮な海鮮料理、お肉料理など、ランチやカフェ、ディナーも楽しめるお店です。
一人でも利用しやすいカウンター席や、爽やかな風を感じられるテラス席、お座敷などもあるようです。
これはまた、人に教えたいけど教えたくない、そんな店が増えてしまいましたね。

「ナガタパン」さんで、気になっていたハトサイダーを購入。
ジンジャーが効いたガツンとくる系のサイダーで、さて、暑い夏を乗り切りますか。