
東京というのは何でもあるが、何にもないところ。
漠然とではあるが、いつもそう感じてしまう。

旅の楽しみの一つが、ご当地グルメだけれども、東京のご当地グルメって何なんだ。
結局は地方の寄せ集めであって、それなら本場の地方で食べた方が旨いにきまっている。

なんて思っていたのですが、「浅草 酒膳 一文」(いちもん)さんは、今回2度目の訪店。
東京に来たら食べたい、僕の中の東京グルメイチオシ店になっていました。

その一文さんで食べるものと言えば「ね☆ぎ☆ま」。

一文さんの暖簾をくぐり、味わいのある店内に足を入れます。

「へい、大将やってる?」

いえ、一文さんは人気店です。
あらかじめ予約しておかなければ、まず入れません。

まずは一杯。
「おやじ、いつものキツーぃやつ、ちょうだい」

大人の辛口ジンジャーエールが、雑踏にまみれてきた僕の疲れた喉を刺激します。

お席は四と同じ、カウンター。
場所も前回と同じじゃないかな。

お通しの謎木箱は、ところてんでした。
なかなか、小細工が効いています。

前菜に、牛すじ煮込みも評判がよろしいようです。

そして真打登場!
使い古された鉄鍋に入った、真っ黒な液体。
東京の醤油スープの色ですな。

さて、ここで食べる「ね☆ぎ☆ま」とは『ねぎま☆鍋』のことです。
僕のようなベテランネギ・マーでなくとも、安心して食べれるレクチャー付きです。

「ね☆ぎ☆ま」といえば、地元九州に限らず、現在では鶏肉とネギを串に差した焼き鳥を言うかと思われます。
しかし、本来の「ね☆ぎ☆ま」とは、ネギ(葱)とマグロ(鮪)を使った『ねぎま☆鍋』のことを言うのです。
ここは明日の試験に出ます。ひっかけ問題なので、気をつけて。

江戸時代末期の天保以降、マグロが一般的に食されるようになるのですが、足の速い(劣化しやすい)マグロは”ヅケ”(醤油漬け)で食べるのが主でした。
しかしマグロのトロは脂が多く、醤油をはじくためヅケにならず、肥料にされるか廃棄されていました。

もったいない文化の日本のオヤジがある時、「このいつも捨てちょるトロ身を、どうにかして旨く食えんじゃろうか」と試行錯誤します。
醤油、酒、味醂、出汁または水を合せてすき焼きのような割下を作り、ぶつ切りにした葱を煮る。
そこへ適当に切ったマグロを乗せ、好みの煮え加減で食べる。
「なんじゃこりゃ、でら旨かやないか!」

そうして『ねぎま☆鍋』が世に爆誕したのでした。

『ねぎま☆鍋』はマグロにはネギの香りが移り、ネギにはマグロの脂と旨味が移って双方が美味となる。
マグロは生でも食べれる新鮮なものですが、『ねぎま☆鍋』の場合はしっかり煮込んだ方が美味しいです。
ネギとマグロはまるで夫婦のサイノカミが如く関係であり、思わず”出づ芽三唱”を叫びたくなる旨さなのです☆

ある時、江戸の殿様が、お忍びで浅草にやって来ました。
すると、庶民らが立ち並び、旨い匂いを漂わせる一軒の店があります。
「おい、あの店で売っているのは何と言う食べ物だ」
殿様は家来に尋ねました。
「あれは”ね☆ぎ☆ま”という、庶民の食べ物です」
「あの匂いを嗅げば、腹が減ってたまらん。よし、わしも喰ってみよう」
下々の食べるものだから、という家来の声に耳も貸さず、殿様は醤油樽に腰掛けて、ついに『ねぎま☆鍋』を食べてしまいました。
するとどうでしょう、殿様がこれまで食べて来た城で出される食事とはまるで違う、熱々で濃厚な味わい。殿様はすっかり『ねぎま☆鍋』の虜になってしまいました。
「酒だ、酒ももらおう」
殿様は『ねぎま☆鍋』と酒をグイグイやり、あっという間に酔いが回って、上機嫌に店を出たのでした。

屋敷に戻った殿様はすぐに料理長を呼びつけ言いました。
「あの”にゃー”が食いたい」
「はて、”にゃー”とは何でしょうか」
「”にゃー”じゃ。浅草庶民らが食うておる、あの”にゃー”じゃ」
殿様は、店の小僧が言った「ねぎま」が早口過ぎて「にゃー」と聞こえたのでした。
家来の話を効いて、料理長はなるほど「ねぎま」のことか、と理解しました。

料理長はとても気の利く人でした。
殿様の注文通り「ねぎま」を作ろうとしましたが、庶民が食すものをそのまま殿様に出してはいけないと、ネギの青いところを切り捨て、骨が一本でもあっては危険だと身をほぐし、脂や味が濃くてはお体に悪いと、ありとあらゆるいらぬ気を利かせ、見事、見目も味も素っ気も無い『ねぎま☆鍋』を完成させたのでした。
これを食べた殿様は
「これは”にゃー”でなない。灰色の”ちゅー”(ネズミ)じゃ。あの麗しい三毛の”にゃー”を持て」
とがっかりと、気分を悪くしてしまったのでした。
料理長は困り果て、今度は殿様が食べた店に出向き、そのレシピ通りに、葱の青い部分やマグロの血合いで作り直したところ
「これじゃこれじゃ、これが”にゃー”じゃ」
といって殿様はとても上機嫌になりました。
それからさらに殿様は言いました。
「おい、酒が飲みたい。酒をたくさんもってこい。それと醤油樽もじゃ」
「醤油樽ですか?そんなものどうするのですか?」
「おう、あれに座って”にゃー”を喰らうのが、これまた旨いんじゃ」
お後がよろしいようで。

さて、〆の卵とじうどんを食べていると、妙な気配がしました。

正面にあるのは、僕は口にしないお酒ばかり。

やはりここは前回食べた時と、同じ席だなぁっと上を見上げると、

そこに氣配の主がいらっしゃいました。
そうここは、森羅万象に神が宿る神様王国JAPAN✨
『ねぎま☆鍋』にも『ねぎま☆鍋』の神が宿っているのでした。

東京の割下の色ですね笑
今度マグロのアラを買ったら、「ネギマ」をやってみたいと思います。(トロを買ってやる勇気はないので笑)
ネギもキノコ類も秋に向けておいしくなってくるはずなので‼
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そうですね、これからが旬かも💕
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黒木本店の中々と㐂六があるじゃんよー!!
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五条さんはお酒飲まれない中、この写真というのは出来すぎですよね。
まさか宮崎高鍋の名店のがあるなんてねぇ😉
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そうなの?
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僕は酒のことはさっぱりでして。
レアなの?
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20年あまり前「百年の孤独」というのがやたら宮崎県外でウケたんですが、
https://www.kurokihonten.co.jp/shochu/
高鍋の酒蔵でそれこそ未成年・・おっとっと;だった半世紀前から好きな酒造さんです。
地元民の普段飲みは「橘」が標準です☺️
といいますか三九郎さんがうちのブログで黒木本店さんの名前言われてビビった経緯です😅
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あれ、また名前消えてました。高鍋の誇りっちゅうレベルの会社なのです。原料仕込みから徹底したこだわりの逸品です😋
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高鍋町と言ったら~の話から焼酎になりましたね😂
リンク、ありがとうございます。
今、家に中々があってそれが終わったら、謳歌行きます!!
お二人とのこの会話で、もう今日は「中々」ですわw
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神様の土地に銘酒あり、ですね😚
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高級って感じですね♪
海外の人にも大人気なのー
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知りました😳
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魚料理というものは、冷凍技術のなかった時代のものこそホンモノの地方の味じゃないかと思っています。
すき焼きの割り下に近い食べ方は始めて知りました。こりゃ旨いの写真でもわかります😋
地域性、ヅケはヅケで好きで、伊豆諸島にいらしたらぜひ😉 あちらのヅケの意味は淡白な魚を
しっかり味でという意味で、シマアジ・カンパチ辺りは締まってますが、そうじゃない魚も
だいぶ良くなります。ワサビが穫れないから辛子でというのも地域性ですね。
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伊豆諸島を通り越して、小笠原に来ています😅
伊豆諸島もまたぜひ!
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ひええー、なんとまぁ😅
イルカさんと泳いでくださいませ。
キャッチバー乙姫のキャッチの亀にはご注意のうえで
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昨日、魚になってきましたε( ε^o^)э
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🐣マグロも割下も、いかにも美味そうな色味ですな。この果報者‼️🐥
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こんがり褐色の肌艶は、ヨメにしたいくらいですな。
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🐥ヨ…ヨメかどうかは分かりませんが、ヒヨコの肌艶はどうですかね。こんがり褐色というよりはうっすら褐色の健康的な…🐤
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ほう🤔
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