
小笠原では、どう過ごすのが正解だろう。
ダイビングやシュノーケリング、セイリングなどのマリンアクティビティは必須だろうし、固有種にあふれた森をトレッキングするのも捨てがたい。
島ならではのグルメも楽しみだし、人との触れ合いも良い思い出になる。
だけど1日くらいは、せめて半日だけでも、お気に入りの場所でただ時を過ごすだけっていうのが、実は一番贅沢な小笠原の過ごし方かもしれない。
鳥の声を聴いて、潮風を浴びて、この島との一体感を感じてみる、そんな時間が僕は欲しかったのだと思った。


【2日目 AM 11:00】
父島に到着したら、まず最初に必ずやらなければならないことがあります。

“ギョサン”を買う、これ絶対!
なぜなら、小笠原といったら、ギョサンやから☆

ギョサンとはなんぞや、と僕も思っていました。
それは島で有名なサンダルのことなのですが、「なんだビーサン(ビーチサンダル)のことじゃん」なんて島で口にしようものなら、食いつき気味でこう言われてしまいます。
「全然違う!全くモノが違う!」と。

ギョサンの正式名称は「漁業従事者用サンダル」という話ですが、その特徴はとにかく
「壊れない!」
「スベらない!」
「とにかく安い!」
ということ。
ギョサンはPVC(ポリ塩化ビニル樹脂)を金型に流し込んで作る国産の一体成型サンダルになります。
PVCは高い耐水性と耐候性、強度がある素材で、それを一体成型するので、一般のビーサンに見られるような”鼻緒が抜けて壊れる”ということがありません。
素材がとにかく丈夫で濡れてもスベりにくいので、岩場だって歩けちゃいます。
その耐久性は毎日履く島民でさえ、3年は持つのだということです。中には10年履き続けられたという伝説級のギョサンもあるのだそうです。

島民の方の中には、山だってギョサンで登れちゃう、と豪語する方もいらっしゃいます。
とにかくギョサン愛が熱い。
50年ぐらい前から、小笠原の地元漁師の間で磯などの濡れた場所でも「滑らないサンダル」としてギョサンが愛用され始め、瞬く間に島内で人気になり、デザインやカラーバリエーションも増え、サーファーやダイバー、釣り人などの観光客の間でも密かに人気が広まり、芸能人の中にも愛用者が増え、今や小笠原のお土産として全国に広まりました。
もはや、ギョサン履かずして小笠原は語れないのです。

僕が買ったのは、白い「PEARL」のカリプソタイプ。
お値段1200円だったと思いますが、これで最低3年は”ギョサラー”になれます。
「PEARL」は、奈良県にある「丸中工業所」さんのブランドで、奈良県で製造しています。
他にも国産ギョサンメーカーは「ニシベケミカル」さん、「森川ゴム工業所」さんなどが奈良県にあり、奈良はギョサンの聖地でもありました。
さすが大和王朝のDNAを受け継ぐ奈良県民の血筋よ。
素材も作りも、ALL JAPAN🇯🇵
輸入品のバッタ物もありますので、しっかり確認して購入しましょう。
ギョサンの購入、ギョサンについてもっと知りたい方はこちらがおすすめ。
【ぎょさんネット】
因みに白いギョサンは母島漁協が特注入荷したのが始まりで、この洒落た色合いがこれまで敬遠していた女性たちにも大ヒットしたのだそうです。



さて、無事にギョサん人(ちゅ)になれたら、つぎは移動の足、レンタカーを調達します。
僕はあらかじめ「ササモクレンタカー」さんで予約をしていました。
小笠原で旅を計画するときの最大注意点は、全てにおいて予約をしておくことです。
“ははじま丸”だけは予約不可ですが、その他は、食事に至るまで全てです。
なぜなら、小笠原に来る人は、”おがさわら丸”で一斉にやってくるわけです。
ですから、何もかもが一気に消費されます。

最初は原チャリを借りるつもりでしたが、ササモクレンタカーさんから注意を受けました。日常的に乗っている人でなければ、危なくて原チャリは貸せないと。
それは島に来て理解しましたが、小笠原は山道などのアップダウンが多く、舗装道路であっても落ち葉などがあちこちに吹き溜まっています。
そこにスコールが度々降るので、本当に危ないのです。
ササモクレンタカーさんが用意してくれた車は、とても良い感じに島錆びていて、個人的にドツボでした。
メーターなんかも煤焼けていて、南国の島っぽい、程よく使い古された車です。
窓を全開にして島を走れば、グッと気分が高まります。

それでは、まずはお気に入りのビーチを探してみましょう。
ネットやガイド本を開けば、小笠原の個性豊かなビーチの数々が紹介されています。

兄島瀬戸に面した弓なりのとても綺麗な「宮之浜」は、珊瑚礁が発達しており、熱帯魚が多くシュノーケリングにも最適なビーチなのでした。



おがさわら丸が接岸する二見港から車やバイクなら10分弱、徒歩なら35分程で行ける「ウェザーステーション展望台」があまりに素敵でした。

もともと気候観測所のあった場所なのだそうですが、その展望が・・・

トゥンク💕

素敵すぎる。

風がまた気持ち良くてね、ずっと居られる場所です。

僕が来た時は、きれいなお姉さんが独り東屋の下で本を読んでいてね、なんかそんな時間の使い方が羨ましく思えました。
僕もお邪魔にならないように、ちょっとだけ潮風を吸い込みます。
海はベタ凪で、雲が海面に映っていました。

ここは夕日や星空ウォッチングでも有名で、夕日が海に沈む瞬間に稀に緑になるという”グリーンフラッシュ”が見られることもあるそうです。

12月から5月頃は、ザトウクジラを見ることもできる名所です。



ウェザーステーション展望台から700mほど歩いた先に、「三日月山展望台」があるそうなので、行ってみます。

道中は森になっていて、雰囲気があります。

小笠原の島々は、過去に他の大陸や島と地続きになったことがない”海洋島”であるため、独自の進化を遂げた貴重な固有種が数多く棲息しています。
故に小笠原は、「東洋のガラパゴス」とも呼ばれたりします。

しかし意外にも、小笠原の島々、特に父島と母島は過去に開墾されでおり、そこからまた森化した部分も少なくありません。

人間が持ち込んだ生物や植物島などが原因で、絶滅の危機に瀕している固有種も少なくなく、特に野生化した猫は、多くの鳥類を捕食しており問題となっています。

島は主に噴火による凝灰質砂岩・泥岩・石灰岩などにより形成され、柱状節理も見られます。

しばらく歩いてくると、

岩を削った大きな穴がありました。

こ、これは古代人の住居跡か!と興奮しそうになりますが、この穴はいわゆる戦跡というもので、戦時中に掘られたものです。

小笠原は苛烈な戦場と化していましたので、こうした戦跡が島中のあちこちに見られます。

陽気な風景と悲しい過去が土地に染み込んでいる点では、沖縄と似ています。

そして、おお!

三日月山の頂上からは、おがさわら丸の停泊する二見湾が、一望できたのでした。



父島は海岸側と尾根沿いをぐるりと回る車道があり、一周して気になる海岸や展望台に立ち寄るのも良いです。

尾根を走っているとスコールが走り抜けていったので、もしやと思い近くの「旭平展望台」に立ち寄ってみることに。
すると、

ビンゴ!
虹が架かっていました。

小笠原はスコールが度々あるので、虹の名所でもあります。
朝夕の太陽が低い時にスコールがあれば、太陽の反対側に美しい虹を見ることができます。

朝日は尾根沿いの展望台から、夕陽は海沿いの海岸から、その美しい景色を見ることができます。

座礁した「濱江丸」(ひんこうまる)のある「境浦海岸」(さかいうらかいがん)はシュノーケリングスポットとして有名ですが、夕日も美しい海岸です。
濱江丸は戦時中、海軍が徴用していた輸送船で、外洋で被弾し、最後にここで座礁したのだそうです。

父島の南西部にある「小港海岸」(こみなとかいがん)へは、車を止めて数分歩くことになります。

海岸手前にあるガジュマルは、バスのロータリーになっていますので、ここに車を止めることはできません。

この小港海岸のバス停は「東京都最南端のバス停」となっていました。

そこから森の小道を抜けると、

小港海岸に出ます。

【PM 6:00】
小港海岸は中心地から離れており、穏やかな雰囲気の海岸です。
静かに打ち寄せる波の音を聴きながら、夜の女神が降りてくるのを感じていました。

流れている時間が違いますね。どこもかしこも絵になります!
南国の海とはまた違った風景、おもしろいですね。固有種の草花や動物も楽しみです。
そして、「食事に至るまで全て予約しておくこと」はしっかりとメモしました。要ですね。
いいねいいね: 2人
南国的であり、また違った要素もある。
一度は訪ねてほしい楽園です😊
いいねいいね: 1人
最も直近でも11年前の訪問ですが、ほぼ変わってない。変わらない。 それがここの良さなのだと確信します。
「ほぼ」と申しましたのは最初の訪問時の入島の厳しさを思い出しております。
初訪問の時代、小笠原海運にチケット電話予約しようとしましたら
かなり無愛想な対応で「宿どこですか? 先に決めてもらって証明出さないと船乗れませんよ」
びっくり! 自然保護・生態系保護で野宿やキャンプは全面禁止、
宿の方から承認番号もらわないと乗船券が発券できない。
無事宿も取りチケット確保、郵送でチケット送って貰った中には
「入島者心得」の冊子、後年防衛省の方と入間や厚木から行った硫黄島や
マーカス(南鳥島)ほど厳しくはないものの
食品の持ち込みまで生の野菜果物等(種子)絶対禁止など、豪州の検疫規準並でした。
そして乗船時に手荷物検査・・・
猫の野生化などはその時代はなかったものです。
いいねいいね: 2人
最新情報見たら、「自己管理徹底」という規準ですね。
https://ogasawara-info.jp/visit/about-alien/
それにても、美しすぎる光景です✨️
いいねいいね: 1人
島は良いですね😊
いいねいいね: 1人
入島に際しては、さほど厳しいチェックはありませんでした。
森や離島に入る時はそこそこ厳しかったですかね。
いいねいいね: 1人