
延暦寺東塔を出て「西塔」(さいとう)へと向かいます。

途中、「弁慶水」なる井戸を見つけました。

そう、弁慶は延暦寺西塔の「武蔵坊」で修行をしていました。

弁慶はこの水を浴びて、一千日夜に勇力を大士に祈ったそうです。

さて、西塔に着きました。

賑やかだった東塔地域に比べ、西塔地域は静かな空気に包まれています。

しばらく行くと、渡り廊下で繋がった二つの堂が見えます。
かつて弁慶がこの渡り廊下を担いだという伝説から「にない堂」と呼ばれます。

二つの堂は阿弥陀如来を本尊とし、「常行三昧」(じょうぎょうざんまい)のために建てられた「常行堂」と

普賢菩薩を本尊とする「法華三昧」(ほっけざんまい)のための「法華堂」からなります。

常行三昧とは、本尊である阿弥陀如来の周りを、90日間を一期として、ひたすら阿弥陀如来の名前を唱え念じながら昼夜歩き続ける修行をいいます。
24時間行うので常行と呼ばれるそうです。
本尊の周囲には手すりが設けてあり、疲れた時はこれを頼りに歩き、休む時は天井から下げられた紐につかまって休み、けっして坐ることはないそうです。
法華三昧も、21日間にわたって仏像の周囲を歩く行と座禅を中心に、一心に「法華経」を読んで精神を集中させ、仏の智慧を得ようとする修行だといいます。
二つ並んだ堂の姿は、なんとも圧巻です。

にない堂の先にやや寂れた「恵亮堂」がありました。

ここに本尊として祀られる「恵亮和尚」は「大楽大師」とも呼ばれ、修力霊験に優れ、京都の妙法院を創建し延暦寺西塔の興隆に尽力したと云います。

更に先を降りていくと、どこからともなくお経の声が聞こえてきました。

そこにあったのは「釈迦堂」(転法輪堂)。

ひと気のない世界でただ流れるお経を聞いていると、ここが極楽浄土なのか、と錯覚してしまいます。

釈迦堂は、延暦寺に現存する最古の建築物で、もとは三井寺の金堂でした。
秀吉が文禄四年(1595年)に移築したもので、 国重要文化財に指定されています。

古の空気に触れながら、しばし時を忘れて瞑想してみました。



これまで来た参詣道と反対の方に、奥へと続く道がありました。

静かな林道を歩いて行くと、西塔エリアの奥深くに、古びた堂があります。

「浄土院」といいます。

ここは延暦寺の開祖、「最澄」が眠る場所として知られます。
「慈覚大師」がここに、最澄の遺骸を安置したそうです。

ここでは伝教大師があたかも生きておられるかのように毎日食事をお供えして、掃除、読経、礼拝などのお勤めを、たった一人山に籠って12年間修行する「十二年籠山行」という、最も厳しい修行が今も行われているといいます。

浄土院は静かな気配の中で、ただただ参詣する者を見つめているようでした。


Posto magnifico!
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「侘び」と「寂び」!
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esatto
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同意する
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