
長雨と自粛の夏
立ち止まっていても、季節は流れてゆく
気が付けば歳だけ取っていた、ということのないように
時間だけを生きるのでは無く、今こそ人生を歩もう


「千綿駅」(ちわたえき)は、長崎県東彼杵郡東彼杵町平似田郷にある海の見える駅。

素朴な駅舎を通り抜けると、

潮の香りが吹き抜けました。

ふわりと届く海からの便り。

レールは大村湾の海岸線に沿ってゆるやかにカーブを描き、

海辺のこの駅でひとときの邂逅を得るのです。

列車というのは、そこにレールがあるという意味でも、人生によく似ている。

千綿駅は昭和3年に駅舎が建ち、営業が開始されました。

海辺に建つ素朴な駅は知る人ぞ知ることとなり、2014年冬季の「青春18きっぷ」ポスター写真に選ばれてからは、多くの写真愛好家にも注目を浴びます。

2016年12月3日には町おこしグループの長咲プロジェクト協議会が委託を受け、個人・湯下龍之介氏が駅舎内に千綿食堂を開業しました。
地元の野菜や米を使った人気メニューの「日替わりカレー」は、モダンな波佐見焼の皿に盛り付けられるそうです。

メロディが流れ、列車が再び走りゆきます。
ここから見る、夕暮れ時の大村湾も絶景だとか。

僕らの人生も、誰かが敷いたレールの上を生きているに過ぎないのでしょう。
違う道を歩むことを許さない、そんな強い意志を感じる今日この頃です。

それでも、僕の人生は僕のもの。
僕の人生を歩むのは、僕にしかできないことなのだと胸に刻んだのでした。



車を走らせ島原へ。

長崎県雲仙市瑞穂町、そこにある「古部駅」(こべえき)へ立ち寄ります。

これはまたなんとも素朴な駅。

背後に広がる海は諫早湾です。

海の先では多良岳がゆるやかな裾野を広げ、穏やかな時間に彩りを添えます。

このような海の見える駅は全国にあるようで、次のサイトで詳しく紹介されています。
『海の見える駅』
モヤモヤする時は、近くの駅に足を伸ばしてみるのも良いのでは。
まあそれにしても、見事に人影がない。

この先に有名な大三東駅があるのですが、そこは近年の人気スポットなので、人ごみを避けてゆっくり過ごしたいなら古部駅は穴場と言えます。



海の見える駅の本命は「大三東駅」(おおみさきえき)。
日本一海に近い駅です。

大三東駅は島原鉄道線の駅で長崎県島原市の有明町苅木にあります。

先の古部駅と数駅しか離れていませんが、島原半島を弧を描くようにレールが敷かれているので、こちらの背景は有明海になります。

また「日本一海に近い駅」と称される駅はJR東日本鶴見線の海芝浦駅や同信越本線の青海川駅がありますが、ロケーションで最も美しいのがこの大三東駅と言えるのではないでしょうか。
なぜなら、

ジブリ!
『千と千尋の神隠し』に登場する「海原電鉄」そのものです。

島原鉄道の黄色い車両も可愛らしく、そこはまるで映画の世界のよう。

そしてキリンレモンのCMにも使われました。
CMの主演は上白石萌歌さん。かわいい♪

彼女が立った場所には映えの「足跡ペイント」が施されています。

ホームの待合でガチャ発見。

出てきたのは大三東駅の入場券と缶バッチ2個、それに黄色いハンカチ。

これはそのまんま「幸せの黄色いハンカチ」と呼ばれているらしく、秘めたる想いや大切な人へのメッセージを書いて掲げます。

このハンカチは、後に神社へ奉納して幸せを祈願するのだそうです。

ん、まあ、僕は幸せを願うというよりも、すでにここに来れた幸せに感謝させていただきました。
ありがとう。

これまでたくさんの旅をしてきた僕ですが、時には死にそうな目にも遭い、トラブルに苛まれることもありましたが、この『偲フ花』に綴ってきたように全てが素晴らしい旅の連続でした。

そしておもむろに、絶対に行きたいと思っていた場所のほとんどを、すでに旅していたことに気がつきます。
人の傲慢・強欲による思惑で知らないうちに歩まされているレールの人生でも、僕は僕の人生を生きることができたのです。
それにはただただ、感謝しかありません。

僕の旅はこれからも続いていきますが、それでもひとつのターニングポイントを迎えている気配を感じ取っています。
今までのようにはいかない人生。されどそれも良し。
この先のレールがどのような世界に繋がっていようとも、僕は僕の人生を楽しんで生きていけるのです。


ジブリ繋がりということで船で熊本に渡り、宇土市住吉町の「長部田海床路」(ながべたかいしょうろ)に向かいました。
海路ではカモメと戯れてみます。

海床路とは、潮が引いたときにだけ現れる道のこと。

干満の差が激しい有明海で海苔養殖や採貝を営む漁業者のために、1979年に建設されました。

海中へと続く街灯が『千と千尋の神隠し』の「海原電鉄」に例えられ、まるで大三東駅とひとセットのようです。

海床路の長さは約1km。
そこに24本の電柱が並び、満潮時は道が完全に海に沈んで、海上に電柱のみが立ち並びます。

この電柱は熊本地震と台風の影響でしばらく倒壊していましたが、住吉漁業協同組合(宇土市)が県の助成や銀行の融資を受けて復活。

多くの人がフォトジェニックなその姿をひと眼見るために訪れています。

中でも人気なのが夕焼けと電柱の灯りのコラボレーション。

その美しい光景に時を忘れてしまいます。

海床路は線路ではありませんが、

列車を待つ千尋の姿が見えるような気がしたのでした。

こんなに素敵な駅があるんですね~。
電車がすぐ来ちゃったら、がっかりしそうです(笑)
海床路、すごいですね!!
確かに、千と千尋の映画で!!
潮が引いて現れた道と夕日がとっても綺麗です(*^^)v
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想像以上に素敵な駅でした♪
海床路は海に沈んでいるところも見にいきたいと思っています。
電車は1時間に2本って感じだったので、あえて1本乗り過ごして海を堪能する、というのが正しい乗り方でしょう!
まあ、でもきっと地元の人たちは「なんでこれが人気だべか〜」って思っているのかもしれません😁
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1時間に2本ならいいですね。
私はまた3~4時間に1本くらいかと…(^-^;
地元の人には見慣れた風景でしょうからね~。
逆に、海しかない、って思ってたりして…(^^ゞ
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島原では主要な交通手段なんで、意外に本数多いようです。
今度は電車に乗ってみたいです♪
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素晴らしい写真の数々ですね。黄色ハンカチと黄色い車両、完璧すぎて。。。世界の車窓も素晴らしいですが、日本の車窓も素晴らしいですね。必ず自分の眼で確かめようと思っています。
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鳥よりも自由さん、コメントありがとうございます♪
そうですね、完璧なロケーションでした!
僕の翼は大きくありませんので、旅できる範囲は日本国内に限りますが、その中では自由に飛び回っております。
写真も良いのですが、やはり世界は自分の目で見てこそのもの。どのような財産よりも素晴らしい、純粋な感動を与えてくれます。
コロナ禍で翼を奪われつつありますが、逆に、自分に本当に大切なものが分かってきたような気がします。
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写真がどれもこれも美しい!!! 日本は海岸線を走る電車がいくつもありますが、九州の夏の海は海の色がクッキリとしていますね。電車とのコントラストも見応えがあります!!
それにしても、何かの広告に使ってほしいような写真ばかり。
こんなにキレイに写真が撮れたら楽しいだろうなぁー。素晴らしいです☆
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CoccoCanさん、お褒めに預かり嬉しいばかりです。
しかしこれは被写体が良いので、みなさん素敵な写真を撮られております😊
でも写真を撮っていると、全国の海が見える駅を訪ねてみたくなりました。できることなら列車に乗って♪
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いや、私が撮っても同じ仕上がりには”絶対に”なりません笑
全国巡ったら楽しいですよね。
全く鉄道ファンでもないのに、大はしゃぎしちゃいます。いつもw
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CHIRICO様
おはようございます。
「海の見える駅」本当に素敵ですね。最近、人生って何だろう、運命って何だろうと思うことが多くなってきています。歳をとってきたというだけの理由ではなく・・・。こんなきれいな風景を紹介していただき、月並みな表現ですが心が癒やされる気がします。敷かれた人生のレールを進んでいく私たちですが、出来ればこんな美しい風景との出会いばかり到着できたらと切実に思っています。でも今は奇跡が起こらない限り、まず無理なのではないかと・・・。
なんだか拝見していて涙が出てきそうになりました。
asamoyosi
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asamoyosiさま、おはようございます。
「海の見える駅」では、何度か文章を大きく書き換えて、このように落ち着きました。
自分なりに踏ん切りをつけたといったところです。
もはや多くを得ることは叶わないのも事実ですが、asamoyosiさん、大丈夫です。
世界にも稀な、路傍の花を愛でる感性をもつ民族が日本人です。美は目覚めた瞬間からそこら中に散らばっていて、それを認識する感性を私たちは幸運にも持ち合わせています。
日本に生まれただけで、既に幸せなのでした。
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